*NEW YEARS DAY*


 元旦の朝、愛する男性と一緒にのんびりとするのが、何よりも幸せ。
 香穂子は、吉羅のすんなりとした脚に、自分のほっそりとした脚を絡ませながら、つい幸せの吐息を零してしまう。
 吉羅の躰に自分の躰をすり寄せながら、香穂子はいつまでもこうしていたいと願う。
 大晦日は、シルベスターコンサートを見た後、のんびりと愛し合った後、しっかりと抱き合って眠った。
 時間なんて忘れてしまうほどに夢中になって愛し合い、そのまま心地よい疲労を手にしてそのままごく自然に、眠りに落ちた。
 こんな朝も素敵なのだと思う。
 しかも、香穂子よりも吉羅が寝坊をしているのは珍しいから、つい寝顔を見つめてしまう。
 優しい寝顔だ。
 香穂子は吉羅の寝顔を見つめながら、幸せな気分になった。
「…ん…」
 吉羅の艶めいた声が唇から漏れ、香穂子はうっとりとその姿を見つめる。
 吉羅はゆっくりと目を開くと、香穂子を眼差しで捕らえた。
「…起きていたのかね…?」
「はい。暁彦さんの寝顔を見ていました」
 香穂子がうっとりと幸せな気分で答えると、吉羅はわずかに苦笑いを浮かべた。
「そんなに見つめても、何も起こらないよ」
 少し眠そうな声で吉羅は囁くと、香穂子を腕の中に閉じ込めるようにしてギュッと抱きしめる。その強さが、香穂子にはちおても心地が良かった。
「…暁彦さんの寝顔がとても可愛かったので」
 香穂子がくすりと微笑むと、吉羅は照れくさそうに笑う。
「君にしか寝顔は見せないけれどね」
「嬉しいです」
「無防備に一緒に眠れるのは、君が初めてだからね…。それは本当だ。私は誰かがいると眠れなかったんだが…、君と出会って、こうして一緒に眠れて、無防備に寝顔を晒すことが出来るようになった…。これは君でないと出来なかったことなのかもしれないね…」
 吉羅は優しい声で香穂子に語りかけてくれる。
 自分が吉羅にとって『特別』であることを教えても洗えて、こんなに嬉しいプレゼントはない。
「なんだかお年玉を貰った気分です」
「お年玉?」
 吉羅は不思議そうに言う。
「そうです。最高のお年玉です…」
 香穂子はにんまりとっほほえみながら、吉羅の胸に自分の頬を宛てて甘える
「私にとって、君が一番のお年玉だろうね。毎年、更に素晴らしいお年玉になっていくね」
 吉羅の甘い言葉に、香穂子は幸せな笑みを零す。
 いつもは甘い言葉をくれないが、こうして甘い言葉をくれるのが嬉しい。
「毎年、あなたの素晴らしい『お年玉』でいられるように、頑張りますね。暁彦さん」
「君はずっとそういられるよ」
 吉羅は香穂子を組み敷くと、そのまま愛し始める。
 香穂子は最高の愛のお年玉だと感じた。

 少しのんびりと起き出した後、吉羅が雑煮を作ってくれる。
 香穂子も吉羅も出身地は同じだから、雑煮でけんかをするようなことはない。
 雑煮は吉羅が作ると言ってくれ、香穂子はダイニングで待つ。
「香穂子、出来たよ」
「はい、有り難うございます」
 焼き餅におすましのシンプルな雑煮。
 香穂子は吉羅と向かい合わせになって、そのとっておきの雑煮を食べる。
「美味しいです」
「それは良かった…」
 ふたりでのんびりと雑煮を食べるのがとても嬉しい。
「香穂子、これからも毎年、こうして雑煮が食べよう」
「はい」
「家族が増えても、これは私の仕事かもしれないね」
「え…?」
 家族が増える。
 その幸せなことは、さほど遠くないと思えた。

 あけましておめでとうございます。



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