キャンドルの灯を見ているだけでとても落ち着く。 キャンドルの灯はマジック。 女の子を最高の女性に見せてくれる。とっておきの魔法。 だから今夜はロマンティックに、一番大好きなひとと過ごしたい。 スペシャルなキャンドルナイト。 柊が視察を終えて帰ってきた。 「おかえりなさい、柊」 千尋が甘えるように抱き付くと、柊はしっかりと抱き留めてくれた。 「ただいま、千尋」 柊の声にうっとりとしながら、千尋は甘えるように更に躰を密着させた。 「あなたが好きそうだと思いましてね」 柊がスッと差し出してくれたのは、可愛いキャンドルだった。 「うわあ! 物凄く可愛いキャンドルだよ! 本当に大好きだよ!」 「それは良かったです」 柊は嬉しそうに言うと、千尋を甘いまなざしで見つめてくれた。 「私ね、こういうロマンティックに可愛いものが大好きなんだ。だから凄く嬉しい」 本当に嬉しくて、飛び上がりたくなりそうになった。 「凄く嬉しかった。どうも有り難う」 千尋は何度も礼を言って笑顔になっていた。 「今夜ね、早速、使おうかと思うよ」 千尋の言葉に、柊は深々と頷いてくれた。 ふたりきりの甘い夜の時間が何よりも幸せなひととき。キャンドルの甘い炎が、何よりもの糖分になる。 「ふたりでこちらのキャンドルを見ながら、ゆっくりしましょうか…」 「キャンドルの炎って何よりも落ち着くものね。柊と一緒に見ていたら、本当にリラックス出来るよ」 千尋がうっとりと呟くと、柊は頷いてくれた。 千尋が大切にしている時間。それは愛して止まない柊とのふたりきりの時間だ。 今夜は久し振りの二人だけの時間だから、誰にも邪魔されたくはなかった。 二人だけで温かな食事をする。そこにあるのはキャンドルだ、優しい光に心まで満たされる。 「本当にキャンドルの光は綺麗だね。私、やっぱりこれぐらいの光が落ち着くよ」 「そうですね…。私もこれぐらいの光が落ち着きます…」 柊はフッと笑うと、千尋の頬を優しく撫で付ける。 優しくも官能的なリズムに、千尋は思わず目をゆっくりと閉じた。 柊にほんの少しだけ触れられるだけで、肌が滑らかになって輝きを帯びる。柊だけが行えるマジックなのではないかと、千尋は思った。 「…綺麗ですね…、あなたは…。どんどん美しくなっていく…。いつか、私の手を離れて何処かに行ってしまうのではないかと思うほどですよ…」 「私は何処にも行かないよ。柊…。私は何処にもね…。だって…柊がいなかったら、私…、こうして頑張れないもの…。柊がいるからこそ、こうやって頑張れるんだよ。だから、私から離れるなんてあり得ないよ」 千尋は笑顔で言った後、不意に不安になる。 反対のことだって有り得るのだ。 柊がいつか中つ国も千尋も見限る日が来ないとは限らないのだから。 千尋が不安そうなまなざしを向けると、柊はその気持ちを察してくれたようだった。 「心配ありませんよ。私もあなたから離れるなんて有り得ませんから…。あなたから離れる時は…、私が…」 柊がそこまで言ったところで、千尋は柊の唇に指を押し当てる。 「言わないで…。私たちはどんな時にもずっと一緒だよ…」 「そうですね…。はい…私たちはどのような時にも一緒です…」 「有り難う…」 柊の力強い言葉に、千尋は頷いた。 「さあ、冷めないうちに食事をしてしまいましょう。あなたと食べる食事は一番美味しく感じられますから…」 「有り難う。私もだよ。柊と食べるご飯が一番美味しいよ」 千尋は柊に笑いかけると、食事を始めた。 柊と一緒だというだけで、最高のスパイスになる。それは未だに恋をし合っているふたりだからこそだろう。 「今日のあなたはとても美しいから、失いたくないなんて思ったのかもしれませんね…」 柊の深みのある声で言われると、こころが蕩けてしまいそうになるぐらいに、甘くなる。 「…有り難う。柊も今夜はいつにも増して…綺麗だから…」 千尋がはにかみがら呟くと、柊はほんのりと苦笑いを浮かべた。 「…私は男ですから…、綺麗だという言葉はちょっと…」 柊の苦笑いに、千尋もまた苦笑いを浮かべる。 「そうだね。だけど…、綺麗だって言葉しか思い浮かばないぐらいに、柊は綺麗だったから…」 「有り難うございます…」 柊は目を愛しげに細めながら千尋を見つめると、頬を撫でてくれた。 食事を終えた後、ふたりはキャンドルの灯だけで緩やかに寛いだ。 千尋は解っているだろうか。 キャンドルの灯の下での彼女が、どれほど美しいかということを。 きっと解っていないだろう。 柊は千尋をじっと見つめながら、その美しさを堪能する。 本当に美しいとこころから思う。 千尋以上に美しい女性など、この世にいないのではないかと思ってしまった。 柊はいくら見ても飽きないと思う。 千尋の美しさは、生涯見つめ続けても決して飽きない。 抱き寄せたくなって、柊は千尋を自分に引き寄せた。 「…柊…」 千尋から甘い声で名前を呼ばれて、ときめく余りにくらくらになる。 ただ名前を呼ぶだけなのに、なんと威力を持っているのかと、柊は思った。 千尋の柔らかな躰を抱き寄せているだけで、この世で一番幸せなのではないかと思う。 千尋のただひとりの男になれたことが、生涯で間違いなく一番の幸せだろうから。 キャンドルの光だけに照らされて、こうして二人だけで過ごす。 それが何よりものとっておきの贅沢なのだということを、柊は充分解っていた。 柊の腕のなかでゆったりとした気持ちで寛げるなんて、とっておきの瞬間だと千尋は思った。 少しの間だけでも離れていたから、今は少しでも寂しさを埋めたい。 千尋の為に、いつもきびきびと働いてくれる柊に感謝をしながら、柊に甘えた。 キャンドルは本当に不思議な力を持っている。 こうして闇を照らすだけなのに、この上ない幸せに導いてくれるのだから。 「柊…とても素敵なキャンドルのプレゼントを有り難う…。物凄く嬉しかったよ…」 「それは良かったです。私もキャンドルには沢山癒されましたから…」 「そうだね」 お互いに顔を見合わせてくすりと笑った後、唇を近付けていく。 ゆっくりと近付けていくと、とっておきのキスが待っていた。 こんなにもロマンティックなキスは他にない。 何度も唇を重ね合って、何度も深い角度で自分達を確かめ合う。最高に幸せな瞬間だ。 お互いに息苦しくなるまで何度も唇を重ねた後、肌が熱情で熱くなっているのを感じた。 「…千尋…」 「今夜は…、とっておきのロマンティックな夜だよ。本当に最高のお土産だよ…」 千尋がくすりと笑うと、柊に抱き寄せられた。 「…千尋…もっともっとロマンティックな夜にしませんか?」 「そうだね…」 千尋が柊に抱き付くと、そのまま軽々と抱き上げてくれる。 柊はキャンドルを消すと、千尋を連れてふたりが甘い幸せを浸れる場所へと連れていってくれた。 ふたりで甘い時間を堪能した後、柊はキャンドルを寝台の横にある机に置いて灯してくれる。 なんて美しくてロマンティック。 柊と見つめるキャンドルの炎は、なんと温かく美しいのかと思った。 キャンドルも素晴らしい。だが、千尋にとっての何よりのお土産は、やはり愛する柊なのだ。 「キャンドルも良いけれど、柊の温もりが何よりものお土産だよ」 千尋の言葉に柊は嬉しそうに笑うと、そのまま抱き締めてくれる。 これ以上に幸せ瞬間はないと千尋は思った。 |