*ワインの似合う年になれば*


 こんなものを受け入れられない。

 ゆきは怯えながら、愛する小松を見つめた。

 このように大きな欲望を示されて、自分では受け入れられない。

「……そんなに、大きいのは無理です……」

 口にするのも憚られたが、今は、小松にきちんと伝える必要があるかもしれない。

 ゆきは不安に震えながら呟いた。

 すると、そんなことなど想定内とばかりに、小松は薄く官能的に微笑む。

 それがまた、ゆきをゾクリとさせるぐらいに魅力的だった。

 ゆきが息苦しさを感じるぐらいに鼓動を速めていると、小松は柔らかく抱き締めてくれた。

「私を受け入れるために、君の身体は出来ているのだから、何も心配しなくても大丈夫だよ……。だって、君が受け入れるのは、私が君を愛している証だよ?だから、心配しなくても、大丈夫だから……」

 小松は甘く笑うと、痺れるゆきの中心を撫で付けた。

 それだけで、ゆきの身体の最奥は震える。

 身体が小松を求めている。それはゆきも同じだった。

 気持ちは、小松とひとつになりたい。

 心も身体も、小松とひとつになりたいと囁いている。

 受け入れたい。

 大丈夫。

 愛する小松を受け入れるのだから、きっと大丈夫だ。

 ゆきは、緊張でカチカチになっていた身体から力を抜いた。

「……そう。良い子だね……」

 小松はゆきの瞼にキスをすると、そのまましっかりと抱き締める。

「怖くないから」

「はい……」

 小松が護るように包んでくれるのだから、何も怖いものなんてないのだ。

 そう考えると、ゆきは身体からゆっくりと力を抜くことが出来た。

 小松は改めて、ゆきの足を大きく開くと、その間に自分の身体を押し入れてきた。

 小松は欲望に燃えたぎった楔を、ゆきの入り口に押し当てる。

 そこから感じられる情熱に、ゆきは息を呑んだ。

 小松が今、感じさせてくれている情熱を、もっと激しく感じたい。

 それを仕草で伝えるために、ゆきは精悍な小松の身体にしっかりと抱きついた。

 それが、ゆきの合図だと小松は分かったのか、入り口に先端部を突き立てる。

 小松がゆっくりと胎内に入ってくる。

 小松の欲望が入ってきた瞬間、入り口が裂けてしまうのではないかと思うほどの強い痛みが、ゆきの脳天を突き抜けた。

「……痛いっ……!」

 感じたことのない痛みに、ゆきは思わず悲鳴を上げる。

 痛すぎて、涙がこぼれ落ちた。

 結ばれる行為が、こんなにも痛いのだとは、思ってもみなかったのだ。

 痛すぎて、このままどうかなってしまいそうだ。

 肉体的には、抜いてほしくてたまらない。

 だが、気持ちとしては止めて欲しくなかった。

 痛みがこんなにも強いとは、正直、思わなかった。

 小松の背中にすがり付いてしまう。

 ちゃんと爪を切っていて良かったと思えるほどに、強くすがり付いた。

「大丈夫だよ。慣れれば、君にとっても、愛を確かめあっていると、感じられるだろうからね……」

「帯刀さん……!」

 小松が更に先を進んでくる。

 大きい圧迫に、自分が破裂をしてしまうのではないかとすら、ゆきは思った。

 それほどに、押し広げられる痛みは強かった。

 涙がこぼれ落ちる。

 小松が動くたびに、抉られるような痛みは続く。

 同時に徐々に、小松の形に慣れていった。

 小松の息遣いが乱れ、いつもよりもずっと官能的に響く。

 声だけで、蕩けるようなときめきを覚えた。

 小松は、ゆきに気遣うように、この上なく優しく動く。

 その優しさに、ゆきの中心は柔らかく溶けてきた。

 小松が最奥まで腰を進めてくる。

 抉られるような痛みに、ゆきは涙を溢した。

 だが、小松がそばにいてくれたからこそ、堪えることが出来た。

 小松の形を覚え込むように、ゆきは楔を強く締め付けた。

 それが強かったからか、小松は甘くて艶やかな呻き声を上げる。

「……君はかなり良いものをもっているね……」

 小松はゆっくりとこの上なく優しく動く。

 痛みと異物感に、ゆきは顔をしかめる。

 だが、止めて欲しくはなかった。

 小松にしがみついていると、ひとつになっている幸せに、涙が滲んでしまう。

 小松が動くたびに、少しずつ異物感に慣れてきた。

 小松がゆきが感じるようにと、敏感な中心を指で愛撫をする。すると、痛みと快楽が交差した。

 同時に、気持ちよくなっていく。

「ゆき……。君は私だけのものだよ……。これは、一生、覆らない事実だよ」

 小松は艶やかに囁くと、更に激しく動いてきた。

 甘い吐息が漏れて、腰や繋がっているところが、段々痺れてくる。

 気持ちが良い。

 愛し、愛されているひとと結ばれるというのは、なんて素晴らしいことなのだろうかと、ゆきは思った。

 何も考える隙間などないぐらいに、小松との愛に満たされる。

 満たされて、世界で一番幸せな気持ちでいっぱいになる。

 痛みから快楽へ。

 こんなにも劇的に変わるなんて、思ってもみなかった。素晴らしい変化に、ゆきはくらくらせずには、いられなくなる。

 小松の欲望をしっかりと抱き締め、締め付けながら、ゆきは快楽の高みへと一気に向かう。快楽を掴み取ると、ゆきはそのまま墜落してゆく。

「ん、あ、ああっ……!」

 息遣いを激しくさせながら、ゆきは身体を弛緩させる。

 総てが空っぽになるぐらいに、気持ちが良い。

 ゆきはそのまま、快楽の歪みに堕ちていく。

 小松の身体も震え、熱い飛沫を、ゆきの最奥に放つ。

 温かな感覚に、ゆきは幸福感を得た。

 

 愛し合った余韻に浸るように、小松はゆきをしっかりと抱き締めてくれた。

 こうして抱き締められていると、この上ない幸せを感じずにはいられない。

「……ゆき、これで君は、名実ともに私のものだよ。それは忘れないように」

「はい……。帯刀さんも、名実ともに私のものですよね?」

「もちろんだよ……」

「嬉しいです」

 ゆきは笑顔で小松を見つめた後、しっかりと抱き締めた。

「愛しているよ。ここまで待ったのだから、もう遠慮はしないよ。君を、一生、離す気はないから」

「私も離れません」

 ふたりは唇を重ねて、もう一度、愛を確かめあう。熱い口づけに、全身が再びとろけて行く。

 今度は、はじめての時よりもしっかりと濃厚に楽しむことが出来た。

 甘い濃密な時間は、大人が幸福でいられる素敵な時間。

 ワインが飲める大人になった日。

 愛するひとに、大人の女性にしてもらった。




 マエ モクジ