小松と恋人になって随分になる。 ゆきは幸せな時間を重ねられていると感じている。 このままずっと一緒にいられたらと、思わずにはいられない。ずっと一緒にいられることを確信している。それぐらいに絆は強いと感じているから。 恋人として、ゆきは小松は最高だと思っている。 忙しいからなかなか一緒にいられないが、それでも一緒にいる時は、いつも最大限にゆきを楽しませてくれている。 それはとても感謝をしている。 小松には、本当に心から感謝していた。 今日は久し振りのデートだ。 ゆきは朝から楽しみで、楽しみでしょうがない。 小松とのデートの日は、いつも踊りを踊ってしまいたくなるぐらいに、機嫌が良くなる。 そばにいられる。 ただ、近くにいられる。 それだけで、ゆきは幸せだった。 だから、本当な、どこでも良かった。 何をしても良かった。 ただ、小松がそばにいてくれたら、それだけで、ゆきは良かった。 小松はかなり多忙だから、本当は無理なんてさせたくはない。 いつもゆきのために、色々と尽力してくれているから、たまには小松に思いきり休ませてあげたかった。 今日もわざわざお迎えに来てくれている。 家の前で待っていると、小松のハイブリットカーを走らせてこちらにやってくる。 この瞬間が、最高にわくわくしてドキドキして、ときめくのだ。 幸せな気持ちがいっぱいで、ゆきはつい笑顔になった。 車が静かにゆきの前に停まる。 「ゆき、お待たせしたね」 小松は、車から静かに降りると、助手席のドアを開けてくれた。 「有り難うございます」 ゆきはほんのりと頬を赤らめながら、車に乗り込んだ。 ここからは、ゆきが小松を独占することが出来る。 それは本当に嬉しい。 「ゆき、今日はドライブでもする?どこに行きたい?」 最近、デートの計画を立てることが出来なくて、当日に決めることが多い。 それでも、小松はいつもゆきの望み通りのデートを、してくれるのは、やはり流石なのだと思う。 「今日はのんびりとしたいです。帯刀さんと、ふたりで、のんびりと出来たら私はそれでも構わないです。何だかのんびりしたい気分なんです」 「そう。だったらうちで過ごそうか? のんびりとね」 「有り難うございます」 「しかし、今日は春うららかなとても気持ちが良い日だよ。出掛けても構わないよ?」 「春うららかな日だから、逆におうちでのびのびするのも、贅沢だと思いますよ」 「確かに、そうかもしれないね。じゃあ、ふたりきりで、のんびりと過ごそうか?」 「はいっ!」 ゆきが笑顔で返事をすると、小松もまた笑顔になった。 小松の家に入り、リビングでのんびりすることにした。 ゆきは、お気に入りの小松の飼い猫と一緒に、遊んだり、他愛のない話をしたりする。 窓を開け放つととても爽やかな風が入ってきて、とても心地が好かった。 「こうしてリラックスしてのんびりするだけでも、とても嬉しいです。何だか幸せです」 「そうだね」 小松も本を読むのを止めて、爽やかな風を浴びている。 「何だかこういう時間も大切だね。特に何をするというわけではないけれど、リフレッシュ出来るね……」 「はい」 小松は不意にゆきを腕のなかに抱き寄せてくる。 いきなり抱き寄せられて、ゆきは心臓が飛び出してしまいそうになった。 「こうして、家でのんびりとしていたら、やっぱりのんびりとしているからこそ、こんなことが、好きな時に出来るね」 甘くクスリと笑った後、小松は更に強く抱き締めてくる。 小松に抱きしめられると、安心出来るのと同時に、ときめきすぎて、ハートのゲージがマックスになった。 その証拠に、ゆきの顔は、ひどく真っ赤になってしまった。 「……どうしたの?こんなことは、今更でしょ?」 小松はからかうように言うと、ゆきに顔を近づけてくる。 こんなにも近付けられると、ゆきは緊張し過ぎておかしくなりそうだ。 小松は、ゆきの表情を明らかに楽しんでいる。 少しずつ顔を近づけてこられると、つい、目を閉じてしまう。 小松は甘いキスをゆきの唇にそっと落としてきた。 甘い、甘いキス。 ゆきがどのようなキスが好きなのかを、小松は分かりきっているのだろう。 「ふたりだけでいると、こういうこととか、こういうこととか……」 小松は艶やかな声で楽しむように、ゆきの身体をまさぐってくる。 ニットの内側から手を入れられて、ゆきはつい焦ってしまった。 「あ、あの、ひ、昼間から」 「昼間以外ならば、良いってこと……?」 艶やかな声で、小松は低く囁いてくる。官能的なからかいに、ゆきの身体は蜜のようにとろけてしまいそうだった。 ドキドキする。 「あ、あの、そ、その……」 「まあ、夜と朝なら、君は経験しているからね……。そんなに、困ったような顔をしないの……。余計に先を進めたくなるね……」 小松はクスリと笑うと、ゆきをフローリングに押し倒した。 「あ、あの、ま、窓が開いているし……」 「窓が空いているのが気になるの? しょうがないね。閉めたら済むことでしょ?」 小松はからかうように、いうと、窓を閉めにいった。 ゆきはその間に起き上がったが、直ぐに小松がそばに来て、抱き締めてくる。 「ダメ、今日はふたりでゆっくりするって決めたでしょ?」 小松は甘えるように言うが、何処かからかいも含んでいる。 どうしていつもこんなにズルいのだろうか? ゆきが抵抗出来ないツボを心得ているかのようだ。 「ゆき、抵抗しないの?」 「抵抗出来ないのは、帯刀さんが一番分かっていらっしゃるんじゃないですか」 拗ねながらゆきが言うと、小松はクスリと笑う。 「君は良い子だね……。だったらご褒美を、あげようかな」 小松はそう言うと、ゆきに小さな箱を渡した。 「開けて良いよ」 「有り難うございます」 何だか嬉しくて、ゆきは箱を開ける。するとそこには、ダイヤモンドの指環が入っていた。 「指環!」 「そう。婚約指環とかいうの。私はもう君を離す気はないからね。それで捕まえる」 ゆきは嬉しすぎて、瞳に涙が溢れてくる。甘く切なくて、ゆきは苦しくなった。 「有り難うございます。大切にします。捕まります。だから、小松さんも私に捕まって下さい……」 ゆきが笑顔で言うと、小松はしっかりと抱き締めてくれる。 「捕まるよ、君に。ずっとこうしてふたりで、暮らして行こう。これからは、ずっと一緒にいよう。会えないなんてもう、我慢できないから……」 「はい」 ずっと一緒にいたい。 ふたりの想いが、最初の花を咲かせた。
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