愛の風景


 たとえ何度運命を上書きしても、きっと幸福になってみせる。
 何度でも苛酷な運命を乗り越えてみせる。
 幸福になる為なら…。

 もう運命の上書きなんて、しなくてもいい。あのひとを輪廻の輪からようやく解放してあげることが出来た。
 堅くてきまじめで、クールだけれど優しい、望美だけの先生。それがリズヴァーン。
「おまえが欲する場所なら、私はどこでも陰になって着いていく」
 リズヴァーンのその一言で、望美は自分の生まれ育った世界に帰ることに決めた。
 様々な困難が待ち受けているかもしれないが、そんなことは苦労なうちに入らない。
 それ以上に苦しい運命を、何度も辿り続けていたのだから。
 だから、お互いが離れるよりはどれほど良いか。この世界なら、ふたりで手を取って乗り越えていける。
 リズヴァーンがソファにどっかりと腰を据えて、バルコニィの向こう側を見ている。人生を達観した深い眼差しが、望美の胸に深く染み通る。
 見えない時間の河を見つめているのだろうか。望美は寂しい気分になり、広い背中に自然と抱き着いていた。
「どうした、望美」
「何でもありません。こうして先生が隣にいてくれるのが、とても嬉しいんです…」
 ギュッと背後から抱きしめて、望美はありたけの幸せな笑みを浮かべる。リズヴァーンは、それを受け入れるように微笑んでくれた。
 源平の時空にいた時はー決して見せてはくれなかった笑顔だ。いつも切なく、寂しげに笑っていた。
 その背中で静かに護り、時折寂しい笑顔をたたえて。
 だからこそ、今度はこの背中をもっと護ってあげたくなる。もっともっと、包み込んであげたくなる。
「…先生?」
「何だ?」
「ずっと一緒にいてくださいね」
「ああ、当然だ」
 リズヴァーンは穏やかに微笑むと、約束とばかりにその手を握り締めてくれた。
「大好きよ、先生…」
 望美がそっと唇を頬に落とすと、リズヴァーンは微笑んでくれる。
ずっと隠していた火傷の痕を唇でなぞると、リズヴァーンは深い吐息をついた。愛と興奮が溢れている。
「好きだ…、愛している、神子…!」
 何かから関を切ったように、リズヴァーンは望美を抱きしめ、激しいキスをぶつけてきた。
 穏やかなリズヴァーンでは信じられないような、容赦のない情熱的なキス。
 いつしか望美の呼吸すらも奪っていた。
「…はっ、んんっ…!」
 何度でも激しくキスをし、リズヴァーンは舌で望美を奪っていく。
 いつもはストイックなリズヴァーンでは信じられないような、舌の動き。望美の口腔内を舌で愛してくれる。
 上顎を舌で愛撫された時には、背中にぞくりとした甘い戦慄が走った。
「好き…!」
 情熱に竿されて、望美は快楽にうち震える。
 突然、リズヴァーンのキスが止んだかと思うと、いきなり抱き上げられ、寝室に運ばれる。
「あっ、先生っ! 段取りが…」
「段取りなんかはどうでもいい。私はおまえが欲しいのだ。それだけだ」
 静かなる激しい情熱を見せ付けられて、望美はもはや抵抗出来なくなっていた。
 リズヴァーンの瞳の中に炎を見てしまったから、もう止められない。
 望美は素直に、リズヴァーンの首に手を回して、同意をする。
 リズヴァーンは微笑みながら、それをちゃんと同意として受け止めてくれると、望美をベッドの上に寝かせてくれた。
「愛している」
「先生…!」
 お互いの魂が、ずっとこうしたかったと切望していたのだから、今、こうして結ばれるのは、至福の時間。
 唇に羽根のようなキスを何度か繰り返した後、リズヴァーンの情熱を湛えた唇は、首筋を捕らえていく。
ブラウスのボタンをぎこちなく外した後、乳房に手をかけてきた。
「あっ…!」
 下着の上から揉みしだかれた後で、リズヴァーンの手が止まる。
「望美…」
「はい?」
「これはどうしたら外すことが出来るのだ?」
「あ…」
 そういえば、リズヴァーンの時代には、ブラジャーといった下着は存在しない。
 望美はくすりと笑うと、開けたシャツを脱ぎ、ホックを示した。
「…先生…、これを…」
「ああ」
 初めての玩具を使う子供のように、リズヴァーンは望美の下着のホックを外した。
 圧迫がなくなり、望美の胸があらわになる。揺れる胸を、真摯な眼差しで見つめられて、気恥ずかしい気分になった。
「…あまり見ないで下さい…。恥ずかしい…」
「私は望美の総てを見たいのだ。隠さないで、見せてくれ…」
「…先生…」
 切迫した情熱に支配され、望美は胸をリズヴァーンに差し出す。
 崇めるように微笑むと、リズヴァーンは望美の胸に顔を埋めた。
「あっ…!」
 初めは、まるで小さな子供が母親にするように顔を埋め、その感触を楽しんでいるかのようだ。
 大きな節くれだった強い手が、望美の乳房を揉みしだき始める。
「…ああっ…!」
 痛みが伴うぐらいに激しく揉まれ、張り詰めが苦しい。
 顔をしかめると、リズヴァーンが心配そうに覗きこんできた。
「痛いか? 神子。つい夢中になってしまって、済まない」
 息を切らして、リズヴァーンが深刻そうな顔をして見つめてくれる。それを否定するかのように、望美は微笑んだ。
「大丈夫だよ、先生…」
 高い頬骨の上に触れると、リズヴァーンは切ない顔をする。そこには想いが溢れていた。
「神子は…」
「神子じゃないよ、望美だよ」
 リズヴァーンは照れたように笑うと、ボディラインを撫で上げてきた。
「望美…。本当におまえは優しいな…。いつでも、どこでも優しい…」
「先生…あっ!」
 張り詰めた胸を、愛しげに舐められて、望美はベッドから躰を浮かせる。とてつもない快感が、心にも躰にも起こっている。
 リズヴァーンの舌は、ひとしきり真っ白な丘を舐めた後で、強くキスの雨を降らしていく。そこには、リズヴァーンのものである証がしっかりと付いていた。
 幸福が波となって襲ってくる。望美は、リズバーンの肩に縋り付いた。
「愛している、神子…、望美」
「あっ…! 先生…!!」
 間接的な愛撫で、すっかり勃ちあがってしまった乳首を、まるで命を欲するように吸い上げていく。
「大好き…先生っ…!」
 献身的に愛撫をされて、望美は震えを隠せない。
 乳房の後は、平らな腹部へ、そして柔らかな恥草に向かう。
 その間も手は、すんなりとした望美の脚のラインを確かめるかのように動いていた。
「先生…っ!」
 脚が大きく開かされ、望美は躰を不安で震わせる。どうしようもないほどの羞恥が、躰を駆け抜けた。
「や…だ、先生…っ!」
 脚を閉じようとしても許されなくて、どうしようもない。余りに恥ずかしくて、望美は涙を零した。
「…先生キタナイから…。お風呂に入ってないのに…、止めて…」
「望美は綺麗だ。汚いなんてことは全くない」
 淡々と話すリズヴァーンに、望美は更に羞恥をかきたてられる。
「あっ、ああっ!」
 リズヴァーンの指が、望美を開き、そこをじっと見つめている。
「…変だから見ないで…っ!」
「神子のここは花びらみたいに美しい…」
 どこか畏敬の念が秘められた声でリズヴァーンは囁くと、濡れた花に顔を埋めた。
「…あっ! いやっ!」
 リズヴァーンの舌は容赦なく、望美から溢れる蜜を舐めとっていく。さしずめその姿は、まるで砂漠の旅でオアシスを見つけた者のようだ。
 襞を丹念に舐められ、望美は、下腹部の中心がもっと熱くなるのを感じた。もどかしい熱が、快感となって支配していくのが解る。
 舌はやがて硬くなった花の芯を捕らえて、ぐるりと舐め回す。
 痺れてしまうぐらいの気持ち良さに、望美は泣き出してしまいそうだった。
「…望美…。綺麗だ…」
「あっ…!」
 ぴりりとした痛みが躰に走り、リズヴァーンが胎内に指を入れたのが解った。
 元々太くて長い指は、もどかしいぐらいの遺物感を感じさせた。
 緩やかに指が動かされる。ソフトに動かされる度に、痛みは少しずつ解消されていく。それがとても心地が良かった。
 ふわふわとだんだん快楽に登りつめていく。ちょうど、雲で出来た階段を歩いているようだった。
「あっ、ああんっ…!」
 望美の声が、快楽に上擦り始めると、リズヴァーンは舌でもねっとりと絡み付くように愛撫をしてきた。
 子宮がズドンと痛むほどの痛みを感じた。だが、それがどうしようもないぐらいに気持ち良いのだ。
 高まりへとどんどん上がってくる。まるでジェット機が上昇するみたいに。気持ち良さがだんだんレベルを越え、とうとう望美は初めて達した。
 まだ息が乱れている。満足したようで満足していない複雑な心境だ。
 するとリズヴァーンは、望美の脚を立派な躰で開き、ズボンのベルトを抜く。そうしてあらわになったリズヴァーンの男性自身を見て、呆気に取られた。
 勃起し、鎌首を上げたそれは、想像以上に大きく、太かった。
 そんなものを、果たして自分は受け入れられるのだろうか。
「…先生、大きいから裂けない?」
「大丈夫だ…。優しくしてやるから、安心しなさい」
「はい…」
 望美が笑うと、リズヴァーンは入口に自分を宛てがってきた。
「あっ!」
 宛がわれたら、どれほど大きいものかが直ぐに判る。望美はびくりと腰を浮かせた。
 一つになるのは嬉しいのに、なぜか怖い。でも止めてなんか欲しくない・・・。
 複雑な感情が、望美を支配した。
 リズヴァーンは深呼吸をすると、望美の中に、まるでドリルを押し込むように入ってくる。
「…やああっ!」
 自分の身体の一部がえぐれてしまうような、そんな感覚に望美は震えた。
「…先生っ…!!」
 痛みを堪えて望美はリズヴァーンの背中に爪を立てる。
 女が男に爪を立てることが出来るのは、よほど愛しているからに違いない。望美はそう感じた。
 リズヴァーンの逞しい剣は、望美の胎内をいっぱいにしても、まだ納まりが利かない。壁を抉られて、広げられていっぱいいっぱいと言った形だ。
 じんじんとした痛みとリズヴァーンの熱を感じるだけ。
「望美…」
 いつもはクールな表情を崩すぐらいに、リズヴァーンは理性を失いつつあった。
 優しく、気遣うように、リズヴァーンは望美の胎内にを進んでくる。
 望美がリズヴァーンを飲み込む度に、痛みか快楽かが解らない痺れが、望美を襲ってきた。
「あ、ああ、ううう…」
 甘くなった呻き声を宥めるように、リズヴァーンは優しいキスを何度もくれる。
 それで何とか耐えていられる状態だ。
「あああぅ!」
 何かが破れてしまったような気がして、激しい痛みに襲われた。
 その瞬間、完全に奥までリズヴァーンを飲み込んだ事を知る。
「先生…」
「もう少し…我慢出来るか?」
「はい、出来ます…、ああ!」
「良い子だ」
 リズヴァーンがこの上なく優しく動き始め、望美は息を詰めた。
 痛いのに止めて欲しくなくて、一緒にぎこちなく腰を揺らすと、だんだん痛みが遠いところに行く。
 その度に、自分でコントロール出来ないぐらいに、気持ち良くなってしまう。
「-----望美…っ!」
「せ、先生…」
 ゆっくりとした動きが深まる度に、望美は気持ちが良くなっていく。
 こんなに、『気持ちがよい』と感じたことはない。
 肌に直接感じるリズヴァーンの体温も、胎内で感じる体温も、総てが温かい。
「ああ、ああ、ああっ!」
 リズヴァーンの動きが速くなり、まるでマリオネットのように全身から力が抜ける。ただ、感じればいい。
 リズヴァーンと同じ熱と快楽を共有すればいい。
 何かが爆発するほどの高まりがやってくる。
「先生…っ!!」
「望美っ…!!」
 意識を手放す直前、誰に求められない勢いで高みがやってくる。目を閉じれば白い光、そしてその先に見えたのは、ふたりの幸せな未来だった----


 静まりかえった寝室で、二人揃って甘い余韻に浸る。
「愛している…。これからもずっと離さない」
「離さないで下さい、ずっと…」
 望美はそっと目を閉じる。
 幸せな光がふわふわと舞い降りる。そこに見えるのは、紛れもない、ふたりの『愛の風景』だった----
コメント

ED後のふたりです。
何度も二人して、運命の上書きをしなければならなかったjからこそ、甘い幸せに浸って欲しいです。



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