彼女の部屋


 久しぶりに将臣を部屋に呼ぶせいか、望美は妙に色々したくなってしまう。
 片付けが甘いと思いやり直して、結果は先程と同じになってしまったり。
 幼なじみで、ずっとお互いの部屋を行き来していたというのに、何だか今回は照れてしまう。
 お互いに元の高校生に戻ってしまったが、心の中を通り過ぎてしまった時間は、長いものだったから。
 将臣が部屋に来るのは本当に久しぶりだった。
 中学生の頃は、お互いによく行き来をしていたが、高校生になり、ぴったりとそれが止まってしまった。
 望美が一方的に、将臣のところに行くパターンばかりになった。
 一緒に勉強をするのは、必ず将臣の部屋だったし、起こしに行くのも将臣の部屋に入り込んでいたから。
「…相変わらずガキっぽい部屋だって言われそうだな…。だけどこれが一番落ち着くし…、貝殻だって将臣くんがくれた大切なものだし…」
 望美が考え込んでいると、階段を誰かが上がっていくのが聞こえた。
「望美! 将臣くんが来たわよ!」
「えっ!? もう!」
 母親の声と同時に、足音が大きくなっていく。同じリズムで鼓動も激しくなった。
「望美、邪魔するぜ?」
「どうぞっ! 入って」
 将臣はコンビニの袋を片手に、部屋に入ってくる。
「何買ってきたの?」
「特撰肉まんとカレーまん! おばさんにも土産にあげた」
「有り難う。あったかいお茶を入れてくるね」
 将臣が自分の部屋にいる事実が、望美をドキドキさせる。舌の根がからからに渇いてしまうぐらいに、将臣を意識した。
 自分の部屋にはない男の匂い。決して不快ではない、むしろ心をとろとろに溶かしてしまうような香り。
 ドキドキし過ぎて、望美は同じ部屋の空気が吸えなかった。
 だから、お茶を煎れにいくなどと逃げの口上を使ったのだ。
 キッチンに下りていくと、母親は鼻歌混じりにお茶の準備をしていた。
 母親は、望美が将臣か譲のどちらかと付き合うことを願っていたから。
「将臣くん、最近、特にステキになったわよね! お母さんがもしあなたぐらいの年だったら!」
「もうお母さん止めてよ」
 望美は苦笑しながら、マグカップにお茶を注いでいく。
「モテるだろうね。あれなら」
「確かにね。将臣くんはもてもてだよ」
 望美が淡々とお茶の準備をしていると、母親は含み笑いでこちらを見てくる。
「何よ」
「さっさとキスでもしちゃって、将臣くんにつばでも付けちゃいなさい」
 何を言い出すかと思えばそんなことかと、望美は真っ赤になりながら俯く。
 あなたの娘は、キスどころか、将臣狼に食べられてしまいましたと、望美は心のなかで呟いた。
「既製事実を作っておきなさいよっ! あんなにステキなひとはそうそういないからね!」
「はいはい」
 望美はマグカップを乗せたトレーを運びながら、心のなかで溜め息をつきたくなった。
「お待たせ」
 望美が部屋に戻ると、将臣は懐かしそうに色々と見ているようだった。それがかなり恥ずかしい。
「暫く見ないうちに、お前の部屋の感じが変わったな。貝殻とかがらくたいっぱいになってるな」
「が、がらくたじゃないよっ! だって将臣くんが全部くれたものだよ」
「そうだったな」
 望美がテーブルの上にお茶を置くなり、将臣は背後から強く抱きしめてくる。
「サンキュな。ちゃんと飾ってくれていて、嬉しかった」
「うん」
 望美も抱きしめてくれる腕を、優しいリズムで撫でる。
「…こんなもんまで持っていてくれたんだな」
 将臣は、チェーンに通された玩具の指輪を、懐かしそうに目を細める。
「ずっと宝物だったからね」
「サンキュな」
 暫く、ふたりはふたりにしか解らない想い出に浸った後、幸せな気分で心を温めた。
 不意に将臣の手が望美の胸に触れる。
「…肉まん、食うか」
「……!!」
 なんとムードのない恋人だろうか。確かに食べなければ冷めてしまうし、冬のお楽しみには叶わない。
「ムードないなあ。食べようっ! 肉まん!」
 望美はからりとした明るい空みたいな笑みを浮かべると、肉まんをテーブルに広げる。
「お前は特撰肉まんな。俺は特撰カレーまん」
 ふたりして、冬のお楽しみを手にすると、ほわほわとした幸福のなかでかじりつく。
「おいひーね」
「冬ならやっぱりこれだろ?」
「そうだよね!」
 将臣はカレーまんをじっと見つめながら、ふとノスタルジックな表情になる。
「あっちにいてあったかい蒸しもん食った時に、よく思い出したな」
「私も、将臣くんと食べた肉まん思い出していたよ」
「俺達の想い出は食い気まじりばっかだな」
「だね」
 ふたりでふわふわで温かな肉まんとカレーまんを仲良く食べていると、あの時空で起こったことは、総て夢の中の出来事だと、思わずにはいられない。
 だけど確実にこの心には刻まれたことなのだ。
「将臣くん、具の入ったところを、交換しようよ。カレーまんも食べてみたい」
「しょうがねぇな」
 将臣が苦笑しながら、ひとかけをくれたので、望美もひとかけを上げた。
「おいひい。カレーまんも幸福な感じがするー」
「そうだな」
 ぴったりと躰をくっつけあって、ふたりは楽しいひと時を過ごす。お互いの温もりが心地良かった。
 肉まんを食べ終わった後、将臣が躰を密着させ、服の上から胸に触れてくる。
「ちょっと、下にはお母さんが…っ!」
 甘い声を堪えるように出すと、将臣は楽しむかのように、首筋を舐めてくる。
「おばさんなら気にしねぇだろ。仲良く勉強でもしてるって思っているぜ?」
 将臣のイタズラな手は、望美のセーターをめくりあげ、下着を押し上げて、強く揉みこんでくる。
「何の勉強しているのよっ…!」
「セックスのだろ?」
 将臣は悪びれることなく言うと、敏感になった望美の乳首を、指先で摘んだ。
「…やっ…! ああっ…!」
 将臣の指先の刺激で、硬くなった望美の蕾はかなり敏感だ。
 下から持ち上げるように揉みこまれてしまい、熱い吐息が部屋を舞う。
「んっ…! んっ!」
 将臣の手が、スカートをめくり上げる。下着のなかに手を入れられ、下草を撫でられる。それだけで芯が熱く燃え盛った。
「まっ、将臣くん…っ!」
 肉芽を弄られて、腰が抜けそうになる。足を大きく広げられて、とてもいやらしいスタイルだ。
 こんな恰好を娘がしているなんて、きっと母親は思わないだろう。
 こんなにいやらしい恰好をされているのに、すぐ近くには母親がいるなんて。
 想像するだけで、余計に敏感になった。
「…今日は随分濡れてるな?」
「言っちゃ嫌だっ!」
 望美は呻くように言うと、背筋をのけ反らせる。
 肉芽を弄られるだけで、腰が痺れるぐらいに感じ、水音を響き渡らせた。
「あっ…!」
 将臣の指が、胎内に滑り込んでくる。指が内壁を刺激して、言葉では表すことが出来ない程のうねりを生んだ。
「あっ、ああっ!」
「…もう、スタンバイが出来たみたいだな」
「将臣くん…っ!」
 深いところを指で突かれると、蜜が溢れかえる。とくとくと音を立てて流れる感覚に、望美は腰を揺らした。
 将臣に下着だけを抜かれた後、指も胎内から離れる。その喪失感に、望美は泣きそうになった。
「ま、将臣くん…」
「すげえ溢れかえってるな…。今日はバックからお勉強をしようぜ」
「えっ!?」
 将臣は、望美をよつんばいにさせると、腰だけを少し浮かせる。
 背後から包み込まれるように抱きしめられると、熱くなった分身を入口に宛ってきた。
「…やっ、ああっ!」
 ぐっと力強いものが猛々しく、胎内に侵入してくる。余りの強さに、このまま意識を失いそうだ。
 将臣は望美の躰をしっかりと支えながら、乳房を揉み上げ、最奥まで一気に入り込んだ。
 肌が沸騰しながら震える。
「…気持ちが良いか…?」
「…うん…っ! 凄いよっ! 将臣くん…っ!」
 男らしい自分のもので、将臣は望美の胎内を掻き混ぜてくる。
 頭の芯までとろけてしまうぐらいに気持ちが良かった。
「ま、将臣くん…っ!」
 視界が揺れ過ぎて、もう目を開けていられなくなった。
「…将臣くん…っ!」
 ふたりがひとつになって噛み合う音がとてもいやらしい。
 何度も出し入れを繰り返されて、もう我慢が出来ないぐらいの心地良さに追い詰められた。
「ま、将臣くんっ!」
 将臣の突き上げが強くなり、全身がざわざわと音をたてる。細胞が化学変化寸前になり、涙が滲むぐらいに感じた。
「あっ、ああっ…」
 大きな声が漏れそうになって、流石に将臣が手の平で口を押さえてくれた。
 最奥がジンジンと欲望を求めて甘く痛む。
「…もうダメっ…!」
「…俺も…っ!」
 追い詰められて、どうしようもなくなったところで、将臣が渾身の力で突き上げてきた。
もう何もいらない。
そう感じた瞬間、望美は意識を手放した。

 まだ呼吸が乱れて胸が上下する。
 将臣は抱きしめながら、甘いキスを唇にくれる。
「レッスン終了だな」
「うん…」
 淫らな勉強会はこれからも続く。
 甘いふたりの恋人達を、満たしてくれた。
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十六夜ED後のふたりの日常です。





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