デートはベッドで


 鎌倉が数年ぶりな大雪で、真っ白に染まった。
 窓を開けるなり白い絶景が広がり、望美は白い息をはきかけながら、じっくりと眺めた。
 今日、学校は休みで、将臣とぶらぶらとデートでもしようかと思っている。
 鎌倉が白く染まることは滅多にないことだから、それを大好きな将臣と楽しもうと思った。
 望美はデートの準備を済ませた後、将臣の家に向かう。
 幼なじみでねぼすけな恋人を起こしてやるのだ。
 有川家に入るとしんとしていた。
 こんな雪の日にも、将臣の両親は温泉に行き、譲はクラブの試合で出払っている。
 お馴染みの古びた階段を上がり、望美は将臣の部屋に向かった。
「将臣くん、おはよーっ! 凄い雪だよ! 遊びに行こうよ!」
 明るく元気に挨拶をしたものの、将臣は予想通りに出て来なかった。
「予想通り過ぎるから笑えちゃうんだけれどね」
 望美は将臣の部屋にそっと忍び込んだ。
「さむっ!」
 流石にクラシカルな有川家なだけあり、底冷えする。望美は躰を震わせながら、ベッドに近づいた。
「将臣くん、外は凄い雪だよ! 珍しいから遊びに行こうよ! だから起きて!」
「…解ったから…、もうちょっと寝かせてくれよ…」
 将臣は眠さ満開とばかりに、けだるそうに言うと、蒲団を頭から被ってしまう。
「ちょ、ちょっともうっ!」
 いくら揺すっても将臣には効かない。
 呆れ返って座りこんでも、将臣は何の反応も示さなかった。
「ったく…。しょうがないなあ」
 望美は呆れて溜め息をつきながら、将臣の躰を何度か軽く叩いた。
じっとしているとやっぱり寒くなってしまう。将臣の蒲団に手を入れてみた。
「あったかい!」
 その温もりに感嘆の声を上げながら、望美は手を温める。将臣の蒲団の中は、信じられないぐらいに温かい。まるでパラダイスみたいだ。
「中に入っちゃおうかな?」
 望美はそっと上かけを取ると、将臣が眠る蒲団に滑り込んだ。
「あったかいー!」
 思わず声を上げると、将臣は苦笑する。
「だから蒲団から出られねぇんだよ」
「なるほど」
「お前が入ってきて蒲団の温度が下がっちまったからな。温めろよ」
「きゃっ!」
 将臣に思い切り抱きしめられて、望美は甘い声を上げる。ギュッと音が出るぐらいに強く抱きしめられ、胸の奥に甘い欲望が灯った。
「お前、柔らかくて暖かいな。抱き枕にちょうど良いぜ」
 将臣に肌を密着されて、望美も甘えるようにくっついてみる。
「将臣くんもかなり温かいよ。…柔らかくはないけれど」
「ヤローは女の盾になるためにいるから、別に温かくなくって良いんだよ」
 将臣は片手だけで、しっかりと望美を抱き留め、もう一方で望美の躰をまさぐり始める。最初はボディラインをなぞっていただけが、今度は服の中に入ってくる。
「ちょっ、将臣くん…! デートに出るのに、これじゃあ外に行けなくなっちゃうっ…!」
 望美は腕のなかでもがいたが、もう後の祭りだ。将臣にがっちりと捕らえられて、離れられない。
「ま、将臣くんっ!」
「デートなんて、ベッドの上でも出来るだろ? それより俺は寒いんだよ。お前が熱を取るから。それに裸で抱き合えばあったかいしな」
 将臣は自分の理論を振りかざしながら、望美の衣服を取り払っていく。折角、将臣の為にお洒落をしたというのに、これでは台なしだ。
「ま、将臣くんっ…!」
「構わねぇだろ? お前が綺麗で可愛い姿は見せて貰ったから、もっともっと良い顔を見せてもらうぜ」
 下着とタイツだけにされて、もう抵抗は出来ないし、する気も失せてしまった。
 将臣は、望美の熱を得るかのようにぎゅっと抱きしめてきた。
「すげえ気持ち良いな」
 将臣は心からの言葉を呟くと、自分のパジャマなどを総て脱ぎ捨て、望美と素膚を合わせてくる。
 お互いの熱を肌に感じると、それだけでとろけてしまいそうになった。
「寒いから、全身をたっぷり温めてもらわねぇとな」
 将臣は、意味深に望美の唇を親指でなぞると、唇を重ねてきた。
 冷たかった唇が、太陽に曝された雪のようにみるみるうちに熔けてくる。
 お互いの舌を絡ませて吸い合うと、気持ちが良すぎて、今度は心がとろとろに溶け出してしまいそうな気がした。
「ま、将臣くん…っ!」
 ぼってりと腫れ上がるぐらいに唇を吸い上げられると、下半身の深い部分に情熱が点される。
 将臣の燃える部分を押し付けられて、余計にそう感じた。
 ふたりで同じ感覚を共有しているのが幸福。
 望美はしっかりと将臣と抱き合いながら、触れるようなキスを繰り返した。
 細胞が、将臣の熱と溶け合いたいと、囁いているような気がした。
 将臣は熱っぽいセクシィな眼差しで、望美を見つめた後、わざとゆっくりブラジャーを取り払う。
 圧迫から開放された乳房は、将臣のためだけに花開いていく。
「…望美…」
 どこか少年の頃を思い出す何時もの声も好きだけれども、今のおとなびた甘い声もとても好きだ。
 将臣がつけて消えかかって痕を指でなぞると、更に強い刻印をそこにつけていく。
 痣になるぐらいに強く吸い上げられて、望美はやる瀬ない声を上げた。
「ま、将臣くん…っ!」
「毎日抱いても足りない…」
 切迫した将臣の想いを感じ、望美は息を弾ませる。
 愛するひとを心ごと抱きしめたいと思い、強く逞しい躰を抱いた。
「…望美っ!」
 つんと上向きになっている乳首を、将臣が貧るように口に含む。音が出るぐらいに強く吸い上げられて、子宮の奥がずんと痛いぐらいに感じられた。
 乳房の柔らかさを楽しむと言うよりは、自分の情熱をぶつけるような形で、揉みしだいてくる。
 もっと強い情熱が欲しくて、望美は将臣に躰を擦り付けた。
 将臣の息遣いが早急になる。
 すっかり蒲団の中は温まり、熱いぐらいだ。これなら、裸で抱き合うのも平気だ。
 将臣の指が望美の花園に触れた。
 肌に比べたら、かなり冷たい指。それが望美を刺激する。
 軽く触れられるだけで、じんとした感覚が広がる。望美は息を詰めた。
「んっ…! 将臣くんっ…」
 敏感になった肉芽を指先でぐるりと円を描くように触れられて、そこの感覚が敏感になった。
 一気に焔のように熱くなる。それが全身に伝わって、一気に火の海のようになった。
 指を肉芽の上で滑らされているだけなのに、水音が響き渡る。
「デートだから、スタンバイしてたか?」
「そ、そんなことないんだもんっ! だって、将臣くんが…あっ…!」
 将臣はこれ以上言わせないとばかりに、望美の胎内に指を沈めて黙らせる。
 とろとろに熱く溶ける蜜を掻き交ぜられて、気が遠くなるぐらいの快楽を覚えた。
 将臣の指が胎内で擽る度に、望美は意識や理性を薄れさせていく。
 今日のために考えたデートプランなんて、忘却の彼方だ。
「将臣くん…っ!」
 こんな中途半端な愛撫ではなくて、もっともっと気持ち良いものが欲しい。
 熱くて猛るように力強い将臣自身が欲しかった。
 いつの間にか腰をくねらせて、将臣の指を締め付ける。その度に動きが激しくなり、望美を狂わせた。
「ま、将臣く…んっ…!」
 躰が浮き上がる。
 次の瞬間、頭と肌が痺れて、望美は崩れ落ちた。
 華奢な躰から力が抜けた後、将臣は抱きしめてくれる。
 望美が息を整えている間、将臣は脚を開けて、そこに顔を埋めて来た。
「将臣くん…っ!」
 たっぷりと濡らした蜜を、将臣は舌で丁寧に舐めてくる。
 高まったばかりのそこは、孟スピードで快楽を溜め込んでいく。
「あっ、あっ、ああんっ!」
 自分でも淫らな声を出しているのは、よく解っている。だが止められない。
 将臣は、望美が達する寸前で肉芽から唇を離すと、望美の入口に自分自身を宛う。
「デートよりも、パラダイスに連れていってやるよ」
「ああっ!」
 将臣は、自分を一気に挿入すると、息をつく間もないスピードで、一気に入り込んでくる。
 朝だからなのか、いつもに比べても力強かった。
 将臣は望美をしっかりと抱きしめながら、優しく動いてきた。
 緩やかに発生するやる瀬ない快感は、望美を世界一の女の子だと思わせてくれる。
 同じように望美も動けば、将臣も息を乱した。
 もうけここまでくると、望美にも将臣にもコントロールが出来ない。
 お互いにぎゅっと音が出るぐらいに強く抱き合って、熱を共有した。
 ふたりだけが知っているパラダイスがそこにある。
 激しく動いて、突き上げ、締め付けて…。
 もうどうしようもないぐらいに、追い詰め、追い詰められた。
 キスをしても、抱き合ってももっと強い快楽には負けてしまう。
 ふたりしてしっかりと抱き合うと、もうパラダイスはすぐそこ。
 将臣に突き上げられて、望美は意識をフェードアウトさせる。
 ふたりで作り出した快楽に溺れながら。

 お互いにしっかりと抱き合って、疲れと熱を共有する。
「今日のデートはベッドの中だな。うちには家族もいねぇし、ゆっくり出来る。中々ないだろ? こんなの。だからベッドでこうしていようぜ」
「もう! 今日だけだからね」
「はい、はい」
 ふたりで過ごす甘い時間は場所なんて関係ない。
 ただくっついて傍にいれば、それだけでデートになるのだから。
 今日の計画は流れてしまったけれども、それ以上に熱くて淫らな時間が、ふたりを幸福にしてくれる。
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十六夜ED後のふたりの日常です。





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