優しい嘘/甘い真実


 肌を重ねる度に、あなたは私に嘘をつく。
「…お前以外の女とはしなかったぜ」
「うん、解っているよ」
 精神的であれば、それは真実。
 だけど肉体的には?
 きっと嘘でしょう。
 余裕はないけれど、肌を重ねる度に、あなたの指先から”真実”が伝わってくる。
 初めて肌を重ねた時から、あなたは大人だったから…。
 ねぇ、私と離れていた三年と半年の間、あなたは誰を腕に納めていたの?
 嫉妬してもいけない相手に、私は焦れた想いを抱く。
 唇を噛んで、女としての情念を心の中で燃やし続ける。
 あなたの激動な時間を共に過ごした誰かが羨ましい。
 今はこんなに近くにあって、吐息すらも私の唇に届くのに。
 小さな頃から、ずっとずっと一緒だったから、あなたの時間を全て識りたいと思わずにはいられなくなる。
 すき、好き、スキ、愛してる、アイシテル、あいしてる。
 どんな言葉を組合せても、陳腐になってしまうぐらいに、あなたのことを想っているのに。
 あなたのことを究極に想っているから、優しい嘘が痛いの。
 睦みあった後も、私たちはお互いが離れない。
 互いの人肌を感じて、その存在感を確かめる。
 離れていた空白の時間を埋めるように。
「人肌って気持ちが良いね…」
「そうだな。だからお前をずっと抱きしめていたくなるんだろうな…。人肌は安心するんだ」
 あなたは優しい声で甘えるように呟くと、私を抱きしめ胸に顔を埋める。
 髪を柔らかく指で梳きながら、私は彼を包み込む。
 戦場が日常の日々。
 いつ消えてなくなってしまうか、解らない命。
 だからこそ、彼は誰かを抱いたかもしれない。
 誰でも良かったのかもしれない。
 私はまた不安になる。
 そんな刹那的な現実の中で、あなたが私以外の誰かを愛したかもしれないと考えて。
 そんなマイナス感情に気付いたのだろうか。
 あなたは私を強く抱きしめてくる。嫉妬深い私ごと愛してくれるかのように。
「…望美…」
 苦しげに私の名前を呼ぶと、あなたは深く躰を重ねてきた。
「あっ…!」
 抱きしめられるだけで、あなたという存在しか考えられなくなる。
 先ほど愛された躰は、既に潤っている。深いところにあなたが入り込んできて、私は声を上げた。
 あなたとのセックスは好き。
 誰よりも深く繋がれるような気がするから。
 奥にあなたが届くと、まるで野獣のように、私を貧っていく。
 私も、今まであなたが抱いた誰よりも感じて欲しくて、あなたが欲しくて、獣になる。
「…あっ…!!」
 熱い液体が胎内に注ぎ込まれる。
 私は意識を混濁させながら、あなたの総てを独占する。
 きっと永遠に消えない嫉妬。
 その答えは愛だから。
 気絶するほど愛して------



 時々お前は切ない顔をする。
 その原因ぐらいは解っている。
 俺がお前と離れた時間のせいだろう。
 その間、俺は潔癖であったとは、正直言えない。
 生きるか死ぬかのギリギリのところにいる人間は、刹那でもいいから誰かの温もりが欲しくなるものだ。誰でもそうなる。俺は色々な人間を沢山見ていたから、それは真実なんだろう。
 宛われて女を抱く度に、俺はいつでもお前を思い出していた。
 躰は違う女のものなのに、おまえを夢想したりしていた。
 究極の自慰行為だったのかもしれない。
 相手がいながら、俺がすることは自慰当然だった。
 確かにやっていたことは、動物と同じだったから、偉そうなことは言えない。
 だが、心と精だけは誰にも渡さなかった。お前以外の女の胎内に、熱を放ったことはない。
 お前が譲を含めた男たちと一緒にいることが我慢出来ないこともあった。
 焦れて焦れて、嫉妬で狂ってしまいそうになったこともある。
 ふたりで一緒にいるのが当たり前だった日常から、俺はずっと誰かに嫉妬していた。
 譲に、そしてお前に近づく全ての男に、俺は深い嫉妬を覚えていた。
 あのままクリスマスを迎えていたら、俺はお前を奪っていただろう。
 それぐらいに愛おしかった。
 お前が切ない顔をする度に、俺は胸が痛い。
 お前を傷つけるつもりなんてない。
 だが傷ついているなら、お前のそれが癒えるように、深く深く愛してやる。
 愛している。
 お前の為なら、何だって出来るから。
 切ない顔をするお前が可愛い過ぎて、俺は強く抱きしめる。
 柔らかくて優しい躰。
 こんなに綺麗な躰をした女は、お前以外にはどこにもいない。
 癒やそうと思っても、結局は俺が癒やされてしまう。
 今直ぐに胎内に入りたい。
 この熱さで、俺がどれほどお前を愛しているかを、教えてやる。
 とことんまでお前を貧って、俺だけのお前にする。
「…あっ…!!!」
 脚を広げさせて、お前のぬかるみに入っていく。
 こんなに気持ち良い瞬間を俺は知らない。
 セックスは欲望を処理するものだったが、今は違う。
 愛を確かめ合うものだ。
 気が遠くなるほどの快楽に支配されながら、俺はお前に包まれる。
 蠢くお前の胎内は、俺にしっかりと絡み付いて、きゅっきゅっと音を立てて締めてくる。 
狭くてキツイお前の胎内は、俺を狂わせる。
 お前と一緒にハイになりたい。
 俺はお前の再奥に自分自身を宛うと、何度も突きまくった。
「あっ…ああ…!」
 信じられないぐらいにーお前は可愛い声を出す。
 全くたまらねぇぐらいだ。
 もっと俺を熱い場所に追い立てていく。
「好きだ、愛している、望美っ…!」
 気持ち良過ぎてたまらない。
 もうすぐイッちまうかもしれねぇ。
 お前の華奢でまんまるな躰が弛緩を始め、昇りつめていく。
 俺も激しく突き上げた。
「…望美っ…!」
「将臣く…んっ!」
 可愛い声で俺の名前を呼んでくれる。
 俺はお前の、初めてで最後の男になりたいと想っているから。
 ふたりしてしっかりと抱き合い俺達は同時に上り詰めた。
 そこにあるのは清らかな愛だけ。
 精と心をやったのはお前だけだから、俺は嘘は言っていない。
 俺達の間にあるものは、総て愛が解決してくれる。
 それが俺達の真実。
コメント

ED後です。
かなりぬるいですが、R18です。
イチオウ…。




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