ベッドの中で、一枚のま白なシーツに包まりながら、眼下に望む観覧車を見つめる。 観覧車中央の時計を見ればもうすぐ日付が変わる。 見逃せない大切な瞬間だから。 望美は固唾を飲んで時間の行方を気にした。 胸が高まる。 大好きなひとが産まれた日を、誰よりも早くお祝いがしたい。 時計の数字は、同じものが並ぶ。 望美はそれを見逃さずに、しっかりと将臣に抱き着いた。 「お誕生日おめでとう! 将臣君!」 ぎゅっと抱きしめると、将臣が抱き返してくれる。しっかりと力強い腕に、いつからこんなに逞しくなったのかと感じた。 「17か…」 「おめでとう。17歳のバースデー」 「サンキュな」 将臣は柔らかく微笑むと、望美の額に口づけた。 「今年の誕生日は、今までで一番嬉しい誕生日だな。ずっと欲しかったもんが手に入ったんだからな」 将臣は、まるで自分の腕をパッケージのようにして、望美の華奢な躰を包み込んだ。 「クワガタの次に嬉しかったぜ?」 ウィンクをしてくる将臣に、望美は真っ赤になって見た。 「やだ、覚えてたの!?」 「お前が一生懸命に撮ってくれたあのプレゼントを、忘れるはずがねぇだろ? すげぇ嬉しかった。だから、内心、お前が他のヤツにプレゼントしねぇか、ハラハラしたもんだぜ」 「しないよ。だって、将臣君は特別だもの」 望美は素直に思ったことを口に出す。無邪気に笑うと、将臣が衝動的に抱きしめてきた。 骨が軋む程に、力強く抱きしめられる。 息が出来なくて、望美は甘く喘いだ。 「ったく! んな可愛いことばっか言うなよ。このままずっと捕らえちまいたくなるだろ」 「捕らえてくれてもいいよ。将臣君になら、構わない…」 将臣の腕に更に力が加えられる。望美は呼吸を早くした。 「もう絶対離さねぇからな。覚悟しろ?」 「覚悟するよ」 「ずっとお前が欲しくて、だけど”幼なじみ”だって壁が邪魔してた…。そのうち、ヤローたちから、お前の評判とかを聞かされて、いつも、いつも焦っていた…。お前はいつか俺の腕からするりと抜けて、どこかへ行っちまうんじゃねぇかって…」 将臣は不愉快そうに眉根を寄せると、望美の肩に顔を埋めた。 「お前との関係を聞かれる度に、ずっとごまかすように”ただの幼なじみ”だと言っていたが、それが苦痛だった。でも、夏休みあけたらいいよな? お前は俺の女だって、堂々と宣言して」 将臣の情熱的な言葉に、望美は感極まって泣きそうになった。 ずっと、この想いは、自分の独りよがりだと想っていなから、嬉しくてしょうがない。 肩口を震わせて、泣きたいぐらいだ。 「望美?」 将臣が心配そうに、望美の顔を覗きこんでくる。 「大丈夫だよ…。将臣君も、私と同じように思ってくれていたのが、凄く嬉しいんだ…。ホントに…」 望美は嬉し涙を止めることが出来なくて、何度も鼻をすすった。 「…私ね、将臣君は、”幼なじみ”ぐらいにしか思ってくれていないって、ずっと思っていたんだよ。だって、いつも私のことを”幼なじみ”で妹みたいだって扱っていたし、モテモテだから、いつも隣には違う女の子がいたし…」 望美は泣き笑いをしながら、将臣の瞳を見つめた。 「私が、かけがえのないバースデープレゼントを貰ったみたいだよ」 望美が将臣の胸に顔を寄せると、将臣は頭を撫でてくれる。 「それはこっちの台詞だ。お前の宝を貰ったんだからな」 将臣は、今までで一番優しい眼差しを望美にくれる。かつてない温もりに、また涙が零れてしまう。 「将臣君、大好きだよ」 「俺はもっとお前のことが好きだぜ」 こうして抱き合って唇を合わせる行為は、ずっとずっと昔からの理のような気がする。 キスを交わした後、切ないぐらいの幸福に、望美はおびょおびょと泣いた。 「夏休み明けは、みんなに宣言しねぇとな。俺達はちゃんと付き合っているってこと。これでもう、周りも煩くなくなるだろうし、煩わしいことも減るだろうしな。しかも、お前と堂々といちゃついても、かまわなくなるんだからな」 将臣は一石二鳥だと言って、楽しそうに笑う。 「望美、良い眺めを見せてやるよ」 「ここよりも」 「ああ。ベッドからよりも」 将臣は望美を裸のままで抱き上げると、そのままバスルームに向かう。 「お、一緒にお風呂は嫌だよっ!? は、恥ずかしいから…」 「一緒に入りてぇんだ。これも誕生日プレゼントの一環だろ?」 「もう! 都合が悪くなると、何でも誕生日のせいにするんだから! 将臣君は!」 望美は照れ隠しのように怒ると、脚をばたばたとさせる。 「暴れるのは止めたほうがいいと思うけれどな」 「どうして?」 「まる見えだろ?」 将臣は恥ずかしげもなく、いやらしい台詞をはく。 望美は羞恥心が高まる余りに、しゅんとしてしまった。 「そうやってうなだれているのを見ると、ガキの頃を思い出すな。無謀なことをやっては、いつもお前はしゅんとしていたんだから」 幼なじみだと、小さな頃のやんちゃぶりも全部解っている。だから、恥ずかしい。 「…いつの話をしているのよ」 「幼なじみならではだろ?」 「だったら将臣君の恥ずかしいことだって、私はいっぱい知っているんだからね!」 望美がプイッと顔を背けると、将臣は愉快そうに笑う。 「だからいいんだろ? 幼なじみは。だって全部解っているんだから、充分に気心が知れてるしな」 将臣は懐かしみながら目を細めると、望美の唇を啄むように塞いだ。 バスルームに連れて行かれて、望美は驚く。 広々とした貝殻の形をしたバスタブの横は、みなとみらいの街が見渡せるようになっている。 「凄い。綺麗な夜景…。深夜を過ぎても、まだみんな動いてるんだ」 「まさかこの最上階で、高校生のガキがセックスしてるなんて、誰も思わねぇさ」 将臣はいつもストレート過ぎる。余りにダイレクト過ぎて、望美は半ば呆れていた。 「…もう! 将臣君のバカ…っ!」 「バカで結構。おら、風呂に入るぞ。お前がご所望のな」 将臣が望美を抱き上げたままで浴槽に入ると、大きな音が響く。ざばりとお湯が溢れる音が、快感だった。 将臣に背後から抱きしめられながら、たゆたゆとお湯に浸かる。 酷く敏感になっているせいか、肌がピリピリした。 「…望美…。風呂の中でもやっぱり綺麗だぜ」 「あっ…!」 将臣は望美のうなじにキスをしながら、乳房を持ち上げるように揉み上げてくる。 時折、親指で乳首をこねくり回されて、甘い刺激にピンク色の吐息をはいた。 「あっ…、はあっ!」 刺激を与えられると、直ぐに感じてしまう。望美は躰の重みを、将臣に預けた。 「肌が熱くなると、すげぇ気持ちが良いな」 「んっ…! ああんっ!」 将臣の指は望美のクレバスをゆっくりと刺激していった。 「やっ…! はあんっ!」 ぱっくりと口を開けて、望美の大切な場所は開いていく。 先ほど散々愛撫をされた部分を、更に指で弄られた。 「あっ、ああんっ!」 望美が悩ましく腰を振ると、将臣は更に指先で攻めて来た。 「ま、将臣君…!」 お湯とは違ったとろとろとした液体がお湯に広がる。 一一度、将臣を受け入れたそこは感嘆にふっくらと柔らかくなった。 無意識に脚を大きく広げる。 すると将臣は、望美の手を浴槽の渕にかけさせた。 「すげぇ可愛いな…。もっと可愛くしてやるよ」 「あっ…!」 望美を背後から抱きしめると、将臣は、お尻を持ち上げるように触れて来た。 「やっ…」 「望美…っ!」 将臣は熱く尖った男剣を、望美の中心に一気に突き入れる。 「あっ、ああ…っ!!」 将臣は容赦なく望美の胎内に入り込むと、中心に烈しく突き刺してきた。 「あっ、あっ…!」 擦れ合う自分たちの音なのか、お風呂の水音かは解らない。 烈しく突き上げられて、視界に入る美しい夏の夜景が、涙でにじんで見えた。 「望美…っ!」 「ま、将臣くん…!!」 将臣に置くまでぐちゃぐちゃにされて、望美はもうどうなっても良いと思うぐらいに、快楽を感じる。 好きで、好きで、しょうがない。 望美はぐにゃぐにゃになりながら、浴槽の縁にしがみつく。 このまま溶けてしまいたい。 そう思った瞬間。快感が音を立てて弾けた------ 気がつくと、再びベッドの上だった。 逆上せたのか、達したからなのか解らないが、頭がうすらぼんやりする。 「ほら、水だ」 「うん…有り難う…」 ぶつかった将臣の眼差しは甘く、大人びた優しさがあった。 「望美」 「何?」 「お前をしっかりプレゼントして貰ったから、もう離す気はねぇから、覚悟しろよ?」 将臣の情熱的な言葉に、望美はそっと頷く。 将臣のバースディー。 なのに、自分のほうが大切なものをもらったと、望美は思う。 この17の誕生日にした愛の約束が、運命によって風前の灯火になってしまうなんて、このときは考えても見なかった----- |