夏の独り寝はとても寂しい----- 肌が温もりを知っていればなおのこと。 アンジェリークはベッドで寝返りを打ちながら、隣りにいた彼の体温を思った。 アリオスの温もりがあれば、私は眠れるのに…。 今日は仕事で遅くなるから、必ず先に寝ておけと彼には言われた。 躰に気を使ってくれてのことだろう。 彼の言う通りにベッドに横になったものの、全く寝付かれなかった。 寝苦しくて、広いベッドの上を往復する。 アリオスの肌と重なり合った昨日の夜は、安心して眠ることが出来た。 自分の肌に触れて、アンジェリークは大きく溜息を吐く。 この温もりでは眠れない------ 苦しくて、切なすぎてアンジェリークは涙が流れるのを感じた。 アリオス…。早く帰ってきてね? アンジェリークは時計と、アリオスのパジャマを見詰めながら、切なく呟いた。 どうしても眠れなくて、心を落ち着かされためにキッチンに向かう。 キッチンの明かりを付けて、ぬるめのミルクを作る。 これなら少し落ち着いて眠ることが出来るかもしれない----- アンジェリークはお気に入りのマグカップにミルクを淹れ、椅子に座って一息ついた。 時計は午前0時を少し回った頃だ。 不意にガレージに車が止まる音がする。 「アリオス!」 すぐに誰が帰って来たかが分かり、アンジェリークはときめかずにはいられない。 期待を込めて彼女はずっとキッチンの扉を見詰めた。 カギが開き、続いてドアが開く。 「アンジェ?」 アリオスがそっとキッチンに入ってきた。 「アリオス!! おかえりなさい!」 アンジェリークはその姿を見るなり嬉しくて、アリオスにしっかりと抱き付く。 「ただいま」 いつものように抱き返してくれた後、甘い甘いKISSをくれた。 待っていた唇の温もりに、アンジェリークは安らぎと甘い気分を味あう。 「-----アンジェ、今日は先に寝ていろって言っただろう? 大事な躰なんだから、あんまり無理すんな」 アリオスはそう言って、まだ出ていないアンジェリークの腹部を優しく撫でた。 「-----うん。アリオスの言う通りにしようと思ったんだけれど、眠れなくって…。 だって、アリオスが側にいないんだもん…」 「アンジェ…」 アリオスはフッと甘く微笑むと、アンジェリークを抱き上げて寝室のベッドに運ぶ。 そこに彼女を寝かせた後、アリオスは額にkissをした。 「待ってろ? シャワーを浴びたらすぐに戻ってくるから」 「うん…。抱きしめてね?」 「ああ」 アリオスはすぐに浴室に向かっていく。 その姿を見送りながら、アンジェリークは甘い期待に胸を焦がしていた。 アリオスがシャワーを手早く浴びて部屋に戻ってきてくれた。 彼がベッドに入るなり、アンジェリークは待ってましたとばかりに抱き付いてくる。 「…やっぱり、アリオスの温もりは最高…」 うっとりと呟くアンジェリークに、アリオスはにやりと微笑む。 「おまえの温もりだって最高だぜ?」 「だって、アリオスの温もりが一番落ち着いて、一番安らぐんだもん…。ミルクよりも…」 アンジェリークは、まるで幼子のようにアリオスの胸にしっかりと抱き付いてくる。 「おまえもな…。俺の一番の栄養源だ…」 「うん。アリオスの香りも大好き…」 アンジェリークはうっとりとしながら目を閉じる。 あの寝苦しかったのが嘘のように、アンジェリークは眠りに入っていく。 「アンジェ…」 栗色の髪をアリオスは優しく撫でながら、疲れをいやすように瞳を閉じた----- お互いの温もりがあれば、これ以上の安らぎはない…。 |