
勝利のキスはどんな味がする? パソコンの画面を見つめながら、アリオスは、書きかけの恋愛小説を見つめていた。 イメージに思い浮かぶのは栗色の髪の天使だけ。 天使が、彼の元に”ハウスキーパー”としてやってきて、はや二ヶ月。 ”恋人”になって一月半。 朝はキスをすることは出来ても、昼過ぎからは上手く出来ない。 邪魔者たちがいるからである。 いつも誰かがその寸前で、阻止してくる。 今日もまたそんな予感がする。 「アンジェ、仕事が立てこんでる。最後でいいから俺の部屋にコーヒーを持ってきてくれ」 「はい! 判りました」 その明るい返事に満足をしながら、アリオスはほくそえんで席を立つ。 勿論、彼女が来たら、その華奢な身体を抱きしめ、口付けるために---- 部屋に戻り、原稿を執筆しながらも、アリオスの心は気が気ではない。 アンジェリークが早く来ないかと、気が気でないのである。 ようやく、一時間ほどして、ようやく、アンジェリークがやって来た。 「御免なさい。仕事に手間取っちゃって…」 「ああ。構わねえぜ?」 パソコンに向かっていた身体を、椅子ごとアンジェリークに向けて、アリオスは微笑む。 その艶やかな微笑が、、あまりにも素敵で、アンジェリークはぼうっとしてしまう。 「あ、コーヒー」 「おまえの分も持ってきただろうな?」 「うん」 早速、彼女は彼のテーブルの上にコーヒーを置き、自分の分は、小さなサイドテーブルに置いた。 すっかりそのサイドテーブルは、彼女のものになっていた。 「アリオス、小説進んでる?」 「おまえのキスがあれば百人力だぜ?」 不適に良くない笑みを浮かべて、ウィンクをする彼に、アンジェリークは耳まで真っ赤になってしまう。 その表情が、眼差しが可愛いから、アリオスはついついからかいたくなってしまうのだ。 「も…、バカ…」 彼女は恥ずかしそうに呟く。 この瞬間、瞬間が、アリオスにとっては幸せを確認する、このうえなく素敵な時間で…。 アリオスにとって、邪魔者兄弟ぷらすわんの前で、堂々といちゃつくことに、抵抗感はない。 だが、この愛らしい少女のことを考えると、そうも出来ない訳で。 ッたく…。 キスでこんなに困ってたら、ちっとも先に進めねえ…。 俺としては、早く、こいつを、身も心も自分のものにしてえのに・・・ 「アンジェ…」 すっと指先で彼女の頬を触れる。 その瞬間、アンジェリークの瞳が濡れて煌き、彼を誘っているかのように見える。 ゆっくりとその顎を持ち上げれば。 後は…。 唇が、互いに近づいた、その最高に胸の高まる時間で---- 「おい! アンジェ! 俺のブリーフどこに行った?」 ドアがノックもなく開けられ、全くぶち壊しにこの台詞。 次男オスカーである。 アリオスとアンジェリークの唇が一センチ前で止まり、彼女水からバッと身体を離す。 そのシーンを見られたら、いつもそうするのだ、彼女は。 「あ、下着ですか? オスカーさんのクロゼットの横にいつものように…」 「ああ、そうだったな。すまん」 わざと行って、オスカーはそこで、怖い顔をしているアリオスを見る。 「邪魔したな? 兄貴」 ウィンくを残しtw、彼は立ち去った。 ようやく立ち去って、再び、アリオスはアンジェリークの顎に手をかけ、唇を近づける。 彼女の瞳もうっとり閉じられて…。 バタン---- 再び、ドアが開けられて、二人の動きが止まった。 「これは失礼、お二人さん。部屋を間違えたみたいだ…」 今度は、三男セイランである。 台詞からしてわざとらしいと、アリオスは怒りに打ち震える。 「じゃあ、ごゆっくり、兄貴」 嫌味のような一言に、アリオスは、益々その秀麗な容貌を曇らせてしまう。 咳払いをして、再びチャレンジ。 今度は抱きしめて、ゆっくり顔を近づけて…。 「アンジェ! 明日の弁当おにぎりがいいぜ!!」 三度邪魔をされ、今度は、四男ゼフェルの番だ。 くそ〜、こいつら〜 「あ、はい。おにぎりですね? 判りました…」 「サンキュ、アンジェ」 そこでゼフェルは言葉を切ると、ニヤリと兄を見た。 「がんばれよ」 その一言がアリオスの心に火をつける。 怒り。 情熱。 その他もろもろの感情が一気に噴出してくる。 冗談じゃねえ!! 毎晩、毎晩、俺たちが、たかが”キス”使用とするたびに邪魔しやがって・・・。 そのせいで、土曜、日曜、長期休暇がすっかり嫌いになったぜ!! あ〜、もう、いい!! こいつらに気を使っていても埒があかねえ。 アンジェには悪いがここは… アリオスは覚悟を決めて、彼女を抱きしまえると、そのまま唇を、彼女の可愛らしいそれに近づける。 「アンジェ〜! 明日のおやつだけど〜」 五男マルセルと従姉で彼の家庭教師であるレイチェルが入ってくるなり、アリオスは構わず唇を重ねた。 「・・・!!!!」 その瞬間、そこにいた二人は勿論のこと、隠れて様子をうかがっていたほかの兄弟たちも息を飲む。 「・・・んっ!!」 貪るような激しいキス。 舌が絡まりあって、口腔内をくまなく愛される、情熱的な口付け。 最初、アンジェリークは恥ずかしくて顔から火が出る思いだったが、いつしか、彼の巧みなキスに頭が真っ白になり、思考が麻痺していった。 恋人たちの濃厚なキスシーンを見せ付けられた、兄弟たちは、敗北感を噛み締め、部屋へと帰ってゆく。 今度は何を邪魔しようと考えながら---- 閉じられたドアを、アリオスはきすをしながら満足に見つめる。 勝利の味のキスを、さらに深めながら。 勝利のキスは、蜜の味がする? |
コメント
「KISS SCENE」は「キス」だけをテーマにした創作です。
連載ものではないので、気が向いたときにかければいいなと思っております。
この作品は「GET TOGETHER」(GIFT BOX)の続編です。
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