部屋の窓から見える桜と、腕の中ですやすやと眠る我が子を、未来は交互に見つめる。 幸せが心の中で溢れかえってきた。 親になるというのは、こんなに素晴らしいことだとは、なってみて初めて気がついた。 小さな、本当の紅葉よりも小さな手を、未来は優しく握りしめる。 数日前、この世に生を受けた、愛する隼人との間に出来た大切な子供。 出産には、隼人が付き添ってくれ、子供を取り上げてくれた。 じっと手を握ってくれ、産みの苦しみを体験する未来の汗を拭いたり、言葉で色々な励ましをしてくれた。 だからこそ、痛みを苦痛と感じずに集散が出来たのだ。 もじどおりん、深い愛の行為で授かった子供は、ふたりの「愛の結晶」であるといえた。 望み通りに女の子が生まれ、隼人は「さくら」と名付けた。 春の季節に相応しい名前であると共に、ふたりにとっては大切な名前だ。 「さくら」がいなければ、こうやって幸せになっていなかったかもしれないのだから。 未来は優しい母としての眼差しで娘を包み込み、愛をめいいっぱいに注いでやる。 「…あら、さくら、寝ちゃったの?」 おっぱいを飲んでいる途中で寝てしまった我が子の口から、そっと胸を外して、未来は微笑みながら、その柔らかな頬を撫でた。 「あなたが生まれて、パパもママも凄く幸せよ…。あなたは、パパとママが望んでいた娘なんだからね…」 我が子に授乳する時間というのはなんて幸せなのだろうと思う。辺りがミルク色の幸せ色で包まれるから。 未来は、ベビーベッドの上に貼られている、隼人の達筆による「命名・さくら」と書かれた半紙を、満足そうに見つめた。 「未来…、さくらは?」 今日は仕事が休みの隼人が、そっと子供部屋に入ってくる。 いつも優しい眼差しを向けてくれるが、さくらには、父親としての深い愛情の眼差しを向けてくる。 「…おっぱい飲んだら寝ちゃった」 「お腹いっぱいになったんだね。おまえのおっぱいは美味しいから」 「もう、隼人さんのバカ…、えっち…。子供の前で…」 未来が恥ずかしそうに言うと、隼人はくすくすと笑う。 「どっちがえっちなんだよ。僕はそんな意味で言ったんじゃないよ? ねえさくら?」 隼人は娘のぷにぷにの頬を微笑みながら触れる。 いつもさくらに触れる隼人を見ると、何だか焼き餅を妬いてしまう。未来はいつも自分が一番でありたいから。 「いつもさくらばっかり…」 未来は真っ赤になりながら、頬を膨らましてすっかり拗ねてしまった。 「こら、拗ねない」 隼人は甘く囁くと、未来を子供ごと抱きしめる。 「僕だっておまえに触れたくてしょうがないんだから…。触れてしまったら、おまえをとことんまで触れたくなる…。出産直後のドクターストップで、おまえと愛し合うのは少し、我慢しなくっちゃならないからね…」 隼人はそう言うと、甘い甘い触れるだけのキスをしてくる。 「もう少ししたら、おまえが嫌って言っても、抱くから覚悟して? いっぱい子供を作って、もっと幸せになろう…」 「うん、隼人さん…」 「愛してる…」 再び触れた隼人の唇は、どうしようもないほど甘くて、素敵だった。 |
| コメント GWのペーパーの加筆修正版です |