*きみだけでいい*

後編


 帰したくない。

 ずっと聞きたかった言葉。

 香穂子は吉羅に甘えるようにそっと胸に顔を埋めた。

「…私も…帰りたくないです…」

 香穂子が小さく言うと、吉羅は更にきつく抱き締めてきた。

「…今夜は帰さないから…」

「はい…」

 帰らなかったらどうなるのか。

 それがどのようなことを意味しているのかは、香穂子には充分に解っている。

 吉羅と情熱的な時間を過ごすということなのだ。

「…香穂子…」

 吉羅は今までで一番艶があるのではないかと思うほどの声で呟く。

 吉羅は香穂子に甘いキスをすると、何度も何度も角度を変えてキスをしてきた。

 キスが深まるにつれて、どんどん躰が熱くなってくる。

 吉羅にキスを受けるだけで、うっとりと夢見るような気持ちになった。

 ギュッと抱き締められて、香穂子は幸せ過ぎて息が出来なくなる。

「香穂子…、君が欲しい…」

 くぐもった声で言われて、香穂子はうっとりと吉羅見つめる。

 自分からダイレクトに、“吉羅が欲しい”とはなかなか言えなくて、香穂子はただ、腕を首に回した。

 すると吉羅はきちんと同意をしたと理解してくれ、香穂子をしっかりと抱き上げた。

 そのままベッドルームへと向かう。

 吉羅のベッドルームに入るのは初めてで、香穂子はドキドキしながら運ばれる。

 緊張したが、ロマンティックな気分で胸がいっぱいだった。

 ベッドルームは、吉羅らしくシックな色のファブリックで統一がされていた。

 香穂子は胸が飛び出してしまいながら、吉羅に掴まる。

 緊張し過ぎてしまい、喉がからからになっていた。

 吉羅は静かに香穂子をベッドへと横たえる。

 香穂子が頬を紅潮させて潤んだ瞳で吉羅を見つめると、フッと優しく笑ってくれた。

「…緊張しなくても構わないから…」

 吉羅は香穂子の柔らかな頬のラインを撫で付けてくれる。

 吉羅の官能的な指のタッチに、香穂子は息が止まるのではないかと思った。

 吉羅は甘く静かな情熱を湛えたまなざしで香穂子を見つめながら、そっとワンピースに手を掛けてきた。

 躰が思わず緊張してしまう。

「…大丈夫だ」

「はい…」

 吉羅に言われたらそうなのだと思えるのが、とても不思議だ。

 吉羅は流れるような動きでワンピースを脱がしてくる。

 直ぐに生まれたままの姿にされて、香穂子は恥ずかしさの余りに身を捩らせた。

「…綺麗だから隠さなくて良いから…」

 深みのある声で言われると、香穂子は本当にそうなのではないかと思ってしまう。

 吉羅は素早く衣服を脱ぎ捨てると、同じように生まれたままの姿になった。

 正直言って、吉羅の躰のほうがずっとずっと綺麗だと思った。

 吉羅は直ぐに香穂子を抱き締めると、唇を重ねてきた。

 切迫するほどに求めてくれている。

 こんなにも嬉しいことはないと、香穂子は思った。

 激しいキスで想いを交換した後、吉羅は香穂子の首筋から鎖骨にかけてにキスの雨を降らせてきた。

 深く愛されていると強く感じる。

 香穂子は心が満たされて、甘い気分になるのを感じていた。

 

 香穂子の柔らかく豊かな乳房を見た。

 息を飲むほどに美しくて、吉羅はうっとりとしながら手を伸ばした。

「…あっ…!」

 香穂子の乳房を下から持ち上げるようにして揉みしだくと、甘い吐息が聞こえる。

 香穂子の柔らかな感触に溺れながら、吉羅は豊かな胸に顔を埋める。

 香穂子の薔薇色の蕾に唇を寄せて舌先で転がしてみる。

 甘い砂糖菓子のような味がする。

 愛撫をすると、香穂子の腰が初々しく揺れてとても愛らしかった。

 吉羅は香穂子の肢体に溺れながら、もっと深く知りたいと思った。

 

 吉羅に愛撫をされると、躰の奥が熱くて、下肢が痺れてきた。

 吉羅を求めて、香穂子の熱い場所が呻いている。

 こんな感覚は初めてで、どうして良いかが解らない。

 息苦しいのに、もっと激しい甘い刺激が欲しいなんて、なんと欲張りなのだろうかと思った。

 吉羅の指先が香穂子のほっそりとした腰のラインを撫で付ける。

 それだけで背中に電流が走り抜けるかのように感じてしまった。

 甘苦しい刺激に、マラソンをしている時よりもドキドキしてしまう。

 香穂子は、浅い呼吸を繰り返しながら、吉羅にすがりついた。

 躰の深い部分が鈍い快楽に支配される。熱い蜜が流れ出して、入口が欲望に支配された。

 吉羅の指先が、香穂子の熱い入口に伸びる。

 触れられた瞬間、香穂子は腰をビクリと跳ねあげた。

 恥ずかしくて抵抗しようとしたが、上手く出来なかった。

 触れられると恥ずかしいのにもっと触れられたいとも思った。

 吉羅はそこを見透かしたのか、香穂子の熱くてなった花芯に触れる。

 指先でくすぐられると、じんわりと快楽が躰の中心に伝わる。

 香穂子は腰を無意識に揺らし、吉羅に押し付けていた。

 吉羅は香穂子の太腿を愛しげに撫で付けてくる。

 撫でられるだけで、全身の細胞が喜びを感じた。

 不意に脚を大きく広げられる。

 恥ずかしくて脚を閉じようとしたのも一瞬で、熱い場所に吉羅が顔を埋めてきた。

「…やっ…!」

 吉羅の舌先が、香穂子の花びらを押し分けて、花芯を愛撫する。

 舌先で転がしながら蜜を味わうだけではなく、今度は指先が入口をくすぐってきた。

 香穂子は鈍くて激しい快楽に翻弄されながら、更に快楽が押し寄せてくるのを感じる。

 息を激しくしながら、香穂子は快楽の余りに吉羅にすがりついた。

 頭の芯が麻痺してしまうぐらいに感じてしまう。

 吉羅の指先は器用にも、香穂子の胎内に入ってきて、くすぐってきた。

 指が出し入れされ、舌先で愛撫をされて、堪らなくなるぐらいに気持ちが良い。

 もう目を開けていられないぐらいに感じていた。

「…んっ…!」

 全身に痺れるような快楽が光のように走り抜ける。

 そのまま躰を大きく跳ね上げると、快楽が香穂子の中で爆発し、墜落するような感覚に襲われた。

 

 気がつくと、吉羅がフェイスラインを柔らかく撫でてくれていた。

「香穂子…。今夜から君は文字通り私だけのものだ…」

「はい」

 吉羅は、香穂子の躰の間に自分の鍛えられた美しい躰を入れる。

 入り口に逞しくて熱いものを押し当てられて、香穂子は息を呑んだ。

 吉羅の力強さを感じる。

 ほんの少しだけ怖い。

 それを感じたのか、吉羅は香穂子の瞳を優しく見つめた。

「私がいるから大丈夫だ…」

「…はい…」

 吉羅がいるから、すがりつけば良い。

 香穂子が頷くと、吉羅は胎内に入り込んできた。

「…いやっ…!」

 入り口を押し広げられるような痛みに、香穂子は躰を強張らせた。

「…大丈夫…。怖くない…」

「…はい…っ」

 吉羅は香穂子を気遣うようにゆっくりと胎内に入り、宥めるように何度も甘いキスをしてくれた。

 緊張がほぐれる。

 吉羅の圧迫でいっぱいになったところで、この上なく優しく動き始めた。

 最初は痛みが激しかったのに、少しずつではあるがそれが取れて来る。

 やがて激しい動きになり、香穂子に熱い情熱を伝えて来る。

 突き上げられて、やがて先ほどよりも激しい快楽の波がやってくる。

 全身が震えるほどの快楽に、香穂子は何もかもを吉羅に委ねる。

 やがて高みまで押し上げられて、香穂子は激しく躰を揺らす。

 その後の記憶は一切なかった。

 

 気がつくと吉羅に抱き締められている。

「愛している、香穂子」

「私も愛しています」

 ふたりは以前よりも更に愛が深くなったと感じながら、愛の言葉を呟いた。




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