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吉羅に愛されている。 吉羅の愛撫を受ける度に、香穂子は躰を小刻みに震わせる。 吉羅は、香穂子を心から慈しむかのように、ボディラインを優しく撫で付けてきた。 本当に愛されている。 こころからそう思った。 吉羅の愛撫によって、香穂子の躰は快楽が満ちあふれ、細胞のひとつ、ひとつが、吉羅色に染まる。 熱い情熱に彩られた幸せに、香穂子は泣きそうになっていた。 こんなにも深く誰かを求めたのは、吉羅だけだ。 吉羅以上に好きになった男性なんかいない。 吉羅がいれば本当に何もいらないとさえ思った。 吉羅はとても艶があって綺麗だ。 いつもはクールで落ち着いた大人の男性ではあるけれど、今はクールさと大人の男としての包容力の強さ、そしてまるで獣のような激しさが同居している。 吉羅にそのようなところがあるなんて、香穂子は思ってもみなかった。 吉羅は、香穂子の滑らかな肌を称賛するかのように撫で付けて後、敏感で繊細な熱い場所に触れて来る。 そこを触れられた瞬間、香穂子は飛び上がってしまうほどに、敏感になってしまっていた。 吉羅を求める余りに、そこは熱くて敏感になって震えている。 吉羅を求めているといっても良い。 吉羅は、熱い場所にゆっくりと触れると、香穂子の敏感な場所を指先で開く。 「…やっ…! 吉羅さんっ…!」 香穂子が背中をのけ反らせると、吉羅は喉の奥で淡く笑う。 「…香穂子、暁彦と呼ぶんだ…」 吉羅の声は、背筋がゾクリと震えてしまうほどに官能的だった。 こんなにも甘くて艶のある声を、香穂子はいまだかつて聞いたことはなかった。 「…暁彦さん…」 香穂子が愛しい男性の名前を呼ぶと、吉羅は柔らかく微笑んでくれる。 その微笑みは本当に優しくて、いつものクールな吉羅からは到底想像することが出来ないものだった。 この男性はこのような微笑みをする。 それを知れただけでも、香穂子は嬉しかった。 吉羅の指先は、香穂子が最も敏感な場所をくすぐってくる。 そこをくすぐられる度に、熱い情熱が躰の奥深い未知の部分から流れ出してきた。 お腹の奥深い部分が痺れてどうしようもない。 香穂子はごく自然に腰をゆっくりと動かしていた。 吉羅に愛撫をされる度に、頭の芯が痺れてしまう。 ドキドキして痺れる何とも言えない気持ち良さが全身に襲いかかっていた。 吉羅の指先がゆっくりと胎内に入り込んでくる。 最初は、かなりキツいと思っていたのに、今はすんなりと受け入れてしまう。 吉羅の指先が深い部分を進むにつれて、香穂子の快楽は深さを増してくる。 くらくらするぐらいに気持ちが良くて、香穂子は熱い愛の証が流れ落ちるのを感じた。 太股の内側へと蜜が流れ落ちていく。 その熱さに香穂子は息を呑む。 こんなにも切なくて熱い行為はないのだろう。 ふと蜜に濡れた太股を吉羅が触れた。 香穂子は一瞬、ビクリとしてしまう。 禁断の関係になるような、なのに甘い関係になるようなそんな複雑な感情を感じてしまう。 吉羅の唇が、香穂子の太股の内側にキスをした。 そのまま、蜜の流れを、上へと辿っていく。 恥ずかしいのに、香穂子の理性は半分壊れていて、抵抗する意思はなかった。 吉羅の唇が、とうとう蜜を流す、香穂子の熱い場所へとたどり着く。 その甘さと熱に、香穂子はもっと官能的な行為を無意識に求めてしまった。 「…暁彦さんっ…!」 吉羅は、香穂子の蜜を味あう。 敏感な中心を舌先でなぶられて、香穂子は何度も華奢な躰をのけ反らせた。 指先と舌先の愛撫を繰り返されて、香穂子はもう限界まで高まる。 気持ち良過ぎて、躰が何度か浮上ったかと思うと、意識と快楽を一気に高みまで持っていかれ、そのまま 意識を沈み込ませた。 意識がゆっくりと戻ってくると、吉羅が愛しげに抱き締めてくれた。 吉羅は情熱が溢れたまなざしを香穂子に見せつけると、口を開く。 「…香穂子…、君を私のものにする。構わないね?」 「…はい…」 これでふたりは、完全に“男女”の関係になる。 もう後戻りすることは出来ないのだ。 香穂子もそれをよく解っているせいか、力強く頷いた。 やがて、吉羅がゆっくりと胎内に入り込んでくる。 吉羅が、熱くて硬い分身を香穂子に沈み込ませた瞬間、劇痛の余りに、香穂子の瞳に涙が光った。 普段ならばこのまま逃げ出したいと思うほどの痛みだというのに、今回は逃げたくはなかった。 吉羅の圧迫は力強くて、このまま壊れてしまうのではないかと、香穂子は思った。 だが、何とか堪えると、今度は、吉羅の圧迫が心地よく感じる。 「…香穂子…、私たちはひとつになったよ…。もう…、離れることはないから…」 「…はい…」 吉羅の言葉が嬉しくて、幸せの痛みに涙が零れ落ちた。 吉羅はフッと淡く微笑んだ後、ゆっくりと香穂子の胎内で動き始めた。 吉羅が動く度に、圧迫により痛みは解放されて、素晴らしさへと変化する。 全身を激しく覆う快楽となって、香穂子を満たしていく。 「…んっ…! あっ…!」 香穂子が喉の奥から苦しげな声を上げると、吉羅は更に激しく仕掛けてきた。 「暁彦さ…っ!」 吉羅が動くにつれて、快楽が膨れ上がってくる。 細胞の隅々まで吉羅に満たされて、香穂子は化学変化を起こすのではないかと思うほどの熱を、躰の奥深くから感じた。 吉羅の突き上げは、やがて激しくなっていく。 もう快楽以外は何も感じない、吉羅以外はいらないと思いながら、官能的な心地好さにその身を任せる。 「…暁彦さんっ…!」 頭の中が痺れて、何も考えられないぐらいに感じて香穂子は目を閉じる。 そのまま深く深呼吸をすると、香穂子は高みへと追い詰められた。 後はもう意識を手放すしかない。 遠くで吉羅の躰が大きく震えたのを感じた。 香穂子が目を開けると、吉羅は思い切り強く抱き締めてくれていた。 「…暁彦さん…」 香穂子がうっとりとした気分で吉羅の名前を呼ぶと、額に優しいキスをくれた。 「…香穂子…、私はもう君を離さないから、覚悟をするんだね? 君をひとりの女性として扱う。君と恋人として、これからは付き合っていきたいと思っているよ…」 「暁彦さん…」 吉羅と本当の意味で付き合うことが出来る。それがとても嬉しい。 「…大好きです…。暁彦さん…」 「私も…君を愛しているよ…」 吉羅から初めて聴いた愛の言葉に、香穂子はボロボロと涙を零して泣いてしまう。 本当に嬉しくて、どうして良いかが解らない。 「これからも…、私はずっと君を見守っていたい。…いや、見守らせてくれないかね?」 「有り難うございます。私も見守って頂くと、頑張れます。だから私も、暁彦さんを見守っていきますね。ずっと…」 香穂子は、吉羅を存在の総てで癒してあげたくて、静かに呟いた。 「…有り難う…」 吉羅は香穂子を胸でしっかりと抱き締める。 その温もりに、香穂子は至福を感じていた。 何度も愛し合って、満たされた朝は、なんて充実しているのだろうかと思う。 これからまだスタートラインに立ったに過ぎないのだから、今からがふたりの本当の意味でのはじまりだ。 更に幸せになるために。 吉羅と手を繋いで並んで歩きながら、香穂子は新しい一歩を踏み出す。 吉羅と一緒ならば、これからも真っ直ぐ歩いていける。 頑張ることが出来る。 最良のパートナーを得て、香穂子は強く感じた。 |