*恋想曲*

11


 誰も触れたことがない香穂子の躰。
 それが何よりも嬉しくてしょうがない。
 吉羅は夢中になって、香穂子の乳房を揉み上げていく。
 触れるだけで、こんなにも嬉しいと感じるなんて、今まではなかった感覚だった。
「…香穂子…、君は本当に綺麗だね…」
 本当は全身に自分のものであることを刻み付けたかったが、何とか踏みとどまる。
 吉羅は、薔薇色に染まっている香穂子の乳房の頂きを、唇に含んだ。
「…んっ…!」
 香穂子の声が官能的に甘くなり、吉羅は更なる刺激を受けた。
 もっともっと香穂子の甘い声を聞きたい。
 吉羅は、香穂子の頂きを強く吸い上げていった。
「…あっ…!」
 まるでメロディを奏でるように、香穂子は躰を震わせる。
 本当に甘い肢体だ。
 吉羅は夢中になりながら、乳首を舌先で転がしていった。

 吉羅の愛撫を受けて、どうしようも出来ないほどの震えを感じる。
 躰の奥深い場所が潤んで、痛いほどに吉羅を求めているのを感じていた。
「…香穂子…。君は本当に私をこころから喜ばせる躰をしているね…」
「…あっ、んっ…!」
 下腹部が熱くてしょうがない。
 どうして良いのかすら解らないほどに熱い。
 香穂子は躰を震わせながら、吉羅が与えてくれる快楽に溺れていった。
 吉羅は乳房の頂きを舌先で転がしたり、吸い上げたりして味わった後、唇を乳房の下へと落としていく。
 平らな腹部やすんなりとした脚に、じっくりとキスを受けて、香穂子は狂ってしまうのではないかと思った。
 中心の湿った感覚を隠したくて、香穂子がモジモジとしていると、吉羅はフッと甘い笑みを滲ませてくる。
「…力を抜くんだ…」
 吉羅に囁かれると不思議なことに、力が抜けてくる。
 香穂子の太腿をまるであやすように撫でてくれた。
「…君は完璧な躰をしている…。私が夢中になってしまうほどね…」
 吉羅は低い声で呟いた後、香穂子の熱い部分に手のひらを乗せてくる。
 香穂子は、その淫らな行為に、思わず腰を浮かせてしまった。
「…力を抜くんだ…。良い子だから…」
「…吉羅さん…」
 吉羅は、香穂子の秘密の花びらを指先でこじあけると、その奥にある甘い宝石に触れてきた。
「…やっ…っ!」
 敏感なそこに触れられるだけで、香穂子はおかしくなりそうだ。
 腰が激しくしなる。
 香穂子は、頭に突き抜けるような未知の体験に、肌を敏感に震わせていた。
 湿った熱いものが、躰の奥深くからどんどん流れ落ちてくる。
 狂ってしまうかのようだ。
 止めどなく流れて来る熱蜜を隠すために、香穂子は内腿すり合わせて脚を閉じようとした
「香穂子…」
 吉羅は、香穂子の脚を容赦なく開けると、隙を見て、直ぐに唇を寄せた。
「…やっ…!」
 香穂子がいくら声を甘く出しても、吉羅は勿論許してはくれなかった。
「… 綺麗だ…」
 吉羅は、指先で香穂子の秘密を守るひだをおしひろげていく。
 じっくりと唇で愛されて、香穂子はこのまま墜落していくのではないかと思った。
 舌先で吉羅に一番感じそうな場所を転がされる。
 吉羅はたっぷりと舌先で香穂子を愛しながら、指を暑い場所の入口にあてがった。
「…香穂子…、随分と私に感じてくれているようだね…? とても嬉しいよ…」
「…あっ、吉羅さん…」
 香穂子の柔らかな腰が揺れて、吉羅は夢中になる。
 香穂子は本当に沸騰してしまうほどに温かい。
 吉羅はもっと触れたくて、熱い蜜を感じたくなる。
 舌先で蜜を舐めとると、何よりも甘い味がする。
 こんなことが出来るのは香穂子だからだ。
 香穂子の甘い肢体に溺れながら、吉羅はもう離すことは出来ないと強く感じていた。
 香穂子が感じる余りに震えているのが解る。
 もっと感じさせたい。
 もっと感じさせて、二度と吉羅なしに生きられないようにしたい。
 現に吉羅は、既に香穂子なしでは生きられないのだから。
「…あっ…! んっ…!」
 気が遠くなりそうなのか、香穂子は躰をなまめかしく弛緩し始めている。
「…香穂子…」
 指の動きを早めて、舌の動きを刺激的にする。
 その瞬間、香穂子の肢体が大きく跳ね上がり、達したのが解った。
 吉羅は、男としての満足感に酔い痴れてしまいそうになる。
 額にキスをした後で、香穂子の華奢な躰を強く抱き締めながら、何よりもの満足を感じていた。

 一瞬、頭が真っ白になり、何処か違う次元に飛ばされてしまったような気がして、香穂子はぼんやりとしていた。
 初めての快楽に、どうして良いか解らないままで、すっかり溺れてしまっていた。
 目をゆっくりと開けると、吉羅が躰をゆっくりと撫でてくれる。
「…大丈夫かね…?」
「…大丈夫…だと…思います…」
 香穂子が僅かに笑うと、吉羅は唇に軽くキスをしてくれた。
 その甘さにまたときめいてしまいそうになる。
「…君を私のものにして構わない…ね?」
「…はい…。暁彦さんのものに…なりたいです…」
「良い子だ…」
 吉羅は瞼にキスをした後、香穂子の脚の間に躰を埋める。
 躰を開くのは、やはり恥ずかしい。
 だがこれで正真正銘吉羅のものになれるのだから、これ以上に素晴らしいことはないのだろうと、香穂子は思った。
「…力を抜いて…」
「…はい…」
 吉羅が準備をしているのが解る。
 守ってくれるのだというのが分かり、嬉しかった。
「…香穂子、君だけを愛しているよ…」
 吉羅は甘く囁くと、香穂子の入り口に欲望の楔をあてがう。
 その力強さに、香穂子は息を呑むしかなかった。
 これからこんなにも力強くて熱いものを、果たして受け入れることが出来るのだろうか。
 そんな不安が香穂子を襲う。
「…大丈夫だ」
 まなざしだけで吉羅は解ってくれたのだろう。香穂子にはそれが嬉しかった。
 吉羅がゆっくりと先端を沈めてくる。入り口をいきなり押し広げられて、香穂子は泣きそうになった。
「…んっ…!」
 こんな経験は初めてだから、痛みの余りに涙が滲んでしまう。
 香穂子は思わず眉間に皺を寄せた。

 息が出来ないほどの抵抗と圧迫に、吉羅は躰を震わせる。
 こんなにも切ない快楽は他にないと思ってしまう。
 類いまれな躰。
 吉羅にとってあまりにもしっくりとくるものだから、直ぐに達してしまいそうになる。
 こんな躰は今まで初めてだ。
 溺れてしまいそうになる。
 躰の相性が良過ぎるうえに、愛して止まない相手となると、どうしようもないぐらいに快楽が滲む。
「…香穂子…っ!」
 痛がる香穂子をギリギリの理性で気遣いながらも、吉羅は求めることを止めることが出来なかった。
 香穂子にとって自分が初めての男だというのも、大きかったかもしれない。
 誰にも香穂子を渡さないし、ましてや征服をさせない。これは自分だけに許された行為だと思った。
 吉羅は、腰をゆっくりと進め、香穂子を征服していく。
 痛みを緩めてやるために、顔中にキスをして、滑らかな躰をしっかりと抱き締めてやった。

 吉羅が辿り着いた瞬間、頭の先を貫くような痛みが響いて、香穂子は泣きそうになりながら受け入れた。
「…香穂子…」
 吉羅が涙を唇で拭ってくれる。その甘い行為に、酔っ払いそうになった。
 抱き締めてくれた後、吉羅はこのうえなく優しく動いてくれる。
 そのリズムが余りにも甘くて、香穂子は再び意識がとろとろになってしまうのを感じていた。
 吉羅の動きに合わせて、ぎこちなくも愛のダンスをする。
 そのうちに吉羅の動きが激しくなる。
 力強く突き上げられて、意識が快楽の熱に溶けてしまいそうだ。
「あ、あ、ああっ!」
 視界が揺れて、躰も揺れてもうどうすることも出来ない。
「香穂…っ!」
 吉羅に激しく突き上げられた瞬間、躰が舞い上がり意識を手放した。



Back Top Next