*大人への階段*


 ゆきは下半身が鈍く痺れるのを感じながら、ゆっくりと瞳を開いた。

 まだ、完全に満たされてはいない。

 何かが足りない。

 そんな気がする。

 ゆきが潤んだ瞳を天海に向けると、思いきり抱き締められた。

「君は本当に可愛らしい……」

 天海は愛が溢れた艶やかな声で囁くと、ゆきの唇にキスをした。

「君を、完全に私のものにします……。良いですね?」

 天海に言われると、素直に頷いてしまう。

 天海のものになる。

 ゆきにとっては、それは最高に幸せなことには間違いはなかった。

 天海のものになりたい。

 ゆきは天海に思いきり抱きついて、その逞しさを感じた。

 ゆきが甘えるように天海の胸に顔を埋めると、しっかりと抱き締めてくれる。

「……ゆき、君と私は、人の子のやり方で、深く結ばれるのですよ……」

 天海は柔らかく語ると、ゆきの額に甘いキスをくれた。

 天海はゆきの太股を抱え上げて、脚を広げてくる。

 その格好が恥ずかしくて、躰を思わず捩ってしまった。

 ゆきが脚を無理矢理閉じようとすると、天海はそれを阻止しようと、足の間に躰を入れてくる。

 すると流石にゆきは脚を開くことが出来ない。

 恥ずかしさで泣きそうな気持ちになりながら、恨めしい気分で、天海を睨んだ。

「そんな艶やかな表情で睨んでも、かえって逆効果ですよ、ゆき……。君が可愛く見えるだけですからね」

 クスリと天海に笑われて、ゆきはもう抵抗なんてすることは出来ない。

 ゆきが躰から力を抜くと、天海は鼻の頭に軽くキスをしてくれた。

「良い子ですね、君は………」

 天海は本当に反則だ。

 ゆきがどうすれば素直になれることぐらいは、お見通しなのだから。

 天海はゆきの入り口に、自分の楔を押し当ててきた。

 息を飲んでまうぐらいに熱くて男らしい。

 神様ではなく、男としての力強さをゆきは感じずにはいられない。

「怖がらなくても大丈夫ですよ。君と私が、肉体でも結ばれるだけなのですから……」

「……天海……」

「……愛していますよ、ゆき……」

「私も愛してる、天海……」

 ゆきをしっかりと抱き締めた後、天海はゆっくりとゆきの入り口から、熱い楔を侵入させる。

 入り口を押し広げられて、ゆきは涙が滲む程の痛みを感じた。

 痛む余りに、思わず呻くような声を上げてしまう。

 頭の先に突き抜けるような痛みに、ゆきは唇を噛む。

 痛くて堪らない。

 なのに、ゆきは逃げたくはなかった。

「……ゆき、痛いのなら、私にしっかりと掴まって下さい」

 天海に言われた通りに、ゆきは何とか天海の逞しい肩にすがり付く。

「……私に何をしても構いませんから……ゆき」

「天海……っ!」

「君は本当に可愛らしい……」

 天海に与えられた痛みならば、どのような痛みでも耐えられるとさえ、ゆきは思う。

 痛くて、辛い。

 だが、受け入れられる特別な痛みだ。

 天海はゆきにかかる痛みを和らげるために、何度も優しいキスをくれた。

 甘くてとっておきのキスをされると、ゆきは何とか耐えられる。

 天海の優しい愛が感じられて、ゆきの痛みは少しずつ安らいでゆく。

 痛みからかけがえのない感覚へと変化する。

 天海に強く抱き締められると、それだけで痛みが何処かに行ってしまうような気がした。

 天海の動きが止まる。

 よく似合っている短い髪が乱れて、とても艶やかだ。

 情熱が滲んだ潤んだオッドアイも、何て美しいのだろうかと、ゆきは思った。

 ゆきは天海の圧迫を素晴らしいと感じながら、潤んだ瞳で真っ直ぐ見つめる。

 指先を天海の頬に伸ばす。

 すると天海は幸せそうにフッと微笑んだ。

 綺麗すぎて、ただじっと見つめることしか出来ない。

「……天海、綺麗だね……」

「……ゆき、君のほうが、ずっとずっと美しいですよ……」

 天海はご褒美のようにゆきの唇にキスをくれた。

「……あっ……!」

 天海が再び動き始める。

 ゆきの総てを奪ってしまうような動きに、躰が震えて、息遣いが早くなった。

「……君の胎内で、じっと出来ないようです……」

 天海は自分自身でコントロールを最早出来ないようで、ゆきの胎内で激しく動き始めた。

 こうされると、ゆきも苦しくて、最早、すがるしか出来ない。

 お互いの情熱が究極まで沸騰して、これ以上ないぐらいに熱くなった。

 それだけ天海のことを激しく求めて、それだけ天海のことを愛している。

 その証でしかない。

 ゆきは激しい息遣いになりながら、天海のリズムに合わせて、ダンスを踊る。

 お互いの愛情を糧にして踊るダンスは、激しい快楽を生む。

 これほどまでに気持ちが良くていいのだろうかと思ってしまう。

 お互いに啄むようなキスをしながら、躰の熱を交換しあう。

 お腹の奥深い場所が疼いて、更なるふたりの結びつきを求めている。

 頭の中では、もう天海以外のことは考えられなくなる。

 天海以外はいらない。

 ゆきが何度となく激しく熱い吐息を宙に吐き出す。

 天海の突き上げが、激しくなる。

 ゆきの総てを奪うように、天海は最奥を突き上げた。

「……やっ……!!!」

 意識が一気に高みに運ばれたかと思うと、そのまま天上へと向かう。

 ゆきは、天海が与えてくれる刺激に耐えられなくて、そのまま墜落してゆく。

 後は、ゆっくりと意識を失えば良い。

 

 意識を戻すと、天海に柔らかく抱き締められていた。

「……天海……」

「愛していますよ、ゆき……」

 天海は優しい異瞳をゆきに向けてくれ、額にキスをくれる。

 それだけでつい、ゆきはうっとりとしてしまう。

「……人と言うのは良いものですね……。愛し合っている相手と、温もりを交換して、お互いの想いを確かめあうことが出来るんですから……」

 天海はゆきの躰を愛しげに撫で付けてくれる。

 こうして撫で付けられるだけで、ゆきは幸せで涙がこぼれ落ちそうになった。

「……君と一緒にいたいから、私は神ではなく、こうして、ひとりの男として生きることが、出来ることを、嬉しく思います……。君と一緒に、こうして熱を交換して、お互いの愛を確かめあえるなんて、素敵なことだと思います……」

 天海はフッと微笑むと、ゆきにくちづける。

「愛していますよ、ゆき……。君だけを、永久に……」

「……天海……。私も愛している……」

 ゆきは、天海を抱き締めると、自ら深い角度でキスをする。

 すると、天海の欲望に再び火をつけたようで、組み敷かれてしまった。

「あ、天海!?」

「……君が再び欲しくなりました……。もう一度、私に、その身を任せて下さい……」

 天海は艶やかに囁くと、ゆきを再び愛し始める。

 ゆきは熱を共有しながら、天海のものになれたことの幸せに、酔いしれていた。





マエ モドル