*愛するということ*


 いきなりベッドに寝かされて困惑していると、小松は意地悪く微笑み、ゆきに顔を近づけてゆく。

 潤んだ瞳を小松に向けると、更に笑みが意地悪で魅力的になる。

「……そんな瞳で見つめられたら、もっと意地悪をしたくなるんだけれど……」

 意地悪く甘く囁かれて、ゆきは魅了されずには、いられなかった。

「……ゆき、君はこうして、私に夢中になっていれば良い……」

 小松は甘く囁くと、ゆきの唇を濃密に奪ってゆく。

 小松のキスは目眩いロマンティックさで、ゆきを魅了してゆく。

 キスをされた瞬間から、ゆきは何も気にならなくなる。

 小松のキス以外は何も気にならない。

 何度も繰り返し甘い水音を響かせながら、キスをする。

 甘いキス。

 かけがえのないキスだ。

 ゆきは、何度もキスを繰り返しながら、小松に夢中になって抱きついた。

 ずっと会えなくて、切ない気分を抱いてしまっていたから、それを埋めるための時間が、ふたりには必要だと思った。

 お互いに息が途切れてしまうぐらいにキスをした後、小松はゆきのフェイスラインを撫で付ける。

 こうして恋情が滲むように触れられると、ときめきが深くなる。

 愛されている。

 そう感じずにはいられないぐらいに、甘い行為だ。

 ゆきにとって、小松に触れられるのは、何よりもの精神安定剤になる。

「……そうだよ。君はこうして私にだけ、熱い眼差しを向けていたら良いんだ……。私にだけ、ね」

 小松の声も、態度も、表情も、なんて甘いのだろうかと思う。

 どれを取っても、ゆきを魅了してやまない。

 小松は、焦らすようにゆきの衣服を脱がしにかかってきた。

 器用だから、とても巧みにそれをする。

 いつもながらドキドキしていると、小松はまた、ゆきをからかうような眼差しを向けてきた。

 ゆきの態度や表情を見て、楽しんでいるとしか、言いようがない。

「……こうして私を夢中にさせるのは、君以外にはいないんだよ……」

 小松はゆきの衣服を総て剥ぎ取ると、真白い裸身をじっと見つめてくる。

「……君の躰には、私の印を刻んで、見えない深い場所には、私の形をしっかりと刻み付けておいたから……。だけど、肌の印はすっかり消えてしまったようだね……。もう一度、刻み付けないと……。これからは、消えないうちに君に逢わないと、いけないね……」

 小松は官能的な声で低く囁くと、ゆきの白い肌をカンバスにして、所有の花を沢山咲かせ始める。

 赤い花を唇でいくつも咲かせながら、ゆきが感じる様子を、楽しみながら見つめていた。

 喘いだり、肌を震わせたり、躰を悩ましく捩らせてみたり。

 ゆきが、細胞や肌、そして一番女な部分を熱くさせて、その証を流す様子を、小松は本当に楽しげに見つめていた。

 ゆきが、小松の愛撫と官能的な魅力に呑まれて、欲しがっていることも解っている。

 なのに焦らして、ゆきが本当に欲しているものをくれない。

 何が欲しいかを一番解っているのは、小松なのに。

 意地悪にも、ゆきが苦悶する様子を見つめている。

「……小松さん……!」

 ダイレクトに欲望を口にすることが出来ないから、ゆきは黙っている。

 そんな恥ずかしいことを、大好きな人に言える筈もなかった。

「……ね、ゆき、君はどうしてそんなに苦しげにしているの?直接、言って貰わないと、解らないんだけれど……」

 小松がわざと言っていることぐらいは、ゆきにも解っている。

 そうでないと、こんなにも魅力的で意地悪な声で、艶やかに囁くことなんて、出来ないだろうから。

 ゆきはほんのりと恨めしく思いながらも、欲望と小松の魅力には勝てないと悟る。

 こんなにも甘い意地悪が出来るひとは他にいない。

 その意地悪が何処か心地が良いのだから、それだけ小松に夢中なのだろう。

「……ね、ゆき、君は何が欲しいの……?」

 小松に耳朶を甘く噛まれながら囁かれると、ゆきはたまらなくなる。

「……ね、ちゃんと言ってくれなければ、君にちゃんとしてあげることは、出来ないんだけど?」

 甘い意地悪に追い詰められる。

 小松と一緒にいると、自分がドMではないのだろうかと、思えてくる。

 小松に意地悪をされても、それが甘いスパイスだと思えてしまうところが、自分は重症なのではないかと思ってしまう。

 本当に小松に夢中だ。

 夢中過ぎて、どうして良いのかが解らなくなるぐらいに。

「……言えないの?」

 小松はどんどん意地悪に甘口で迫ってくる。だが、ゆきが切ない顔をするたびに、楽しんでいるとしか思えなかった。

「ゆき、君といると、私はどんどん、ドSとやらになってしまうね」

 クスクスと笑いながら言うと、小松はゆきを追い詰めるように柔らかなボディラインを撫で付けてきた。

 これは本当に甘い拷問だ。

 ゆきは耐えられなくなって、ようやくの想いを口にする。

「……小松さんが、欲しいです……」

 今すぐにでも消え入りそうな声で、ゆきは全身を真っ赤にさせながら、呟いた。

 勇気を絞った一言に、小松はようやく満足そうに薄く笑う。

「……よく出来ましたまでは、言ってあげられないけれど、君には及第点かな?」

 小松はゆきの唇に羽根のような甘いキスを落とすと、ギュッと抱き締めてくれた。

 もう何度も小松と肌を重ねて、ひとつになったけれども、その度に甘い緊張を隠しきれない。

 ゆきが頬を薔薇色に染めながら小松を見つめると、ゆっくりと胎内に入ってきた。

「……君の胎内は、私の形をちゃんと覚えているようだね……?嬉しいよ!」

 ゆきの熱い場所は、小松の形をしっかりと記憶しているようで、しっくりとぴったりと包み込んで、離さない。

 小松は息を乱しながら、ゆきの総てをその欲望と情熱で奪っていった。

 ゆきは小松が与えてくれる嵐のような歓喜に巻き込まれながら、快楽に意識を沈ませる。

 ゆきが自分自身をコントロール出来ないのと同じように、小松もまた、コントロールが出来ないようだった。

 ゆきを激しく奪いながら、力強く抱き締める。

 このまま意識が遠くなる。

 ゆきは、小松と一緒に蕩けたくて、しっかりと抱き締める。

 お互いの想いがぶつかり、蕩けて、そのままひとつになって行く。

 ゆきは、小松とひとつになり、爆発してしまうような歓喜に包まれながら、ゆっくりと意識を飛ばしてゆく。

 小松としか体験することが出来ないめくるめく時間を幸せに想いながら、ゆきはゆっくりと堕ちていった。





マエ モドル ツギ