*京都へ*


 頭がぼんやりとしながら、ゆきはゆっくりと意識を戻した。

 小松は甘い微笑みを浮かべながら、ゆきを見守るように見つめてくれている。

 目が合うと、何だか照れ臭い。

「ゆき……」

 愛しげに名前を呼ばれた後、柔らかく額にキスを受ける。

「連理の榊のように、ずっと一緒にいよう。ゆき、愛しているよ」

 小松の優しさと艶やかさが滲んだ声で、愛を囁かれると、ゆきは熱い涙で溢れてくるほどの幸せを感じた。

「帯刀さん、私も電車が愛しています。あなたとずっと、連理の榊のように、一緒にいたいです……」

「……一緒にいよう」

 小松としっかりと抱き合うと、ゆきはこんなにも充たされた瞬間を今まで味わったことはないとすら思う。

 本当に幸せで、このままずっといられたらと思った。

「……ゆき、今から私たちは、連理の榊と同じように、ずっと一緒にいられるように、ひとつになろう……」

「はい……」

 怖さを少しだけ感じたが、それでも小松と一緒にいられるという気持ちが上回って、ゆきは素直に返事をした。

「……良い子だ……。準備は……」

「……あっ……!」

 小松の指先が、熱い部分へと伸びる。一瞬、確認するように触れられて、ゆきは肌を震わせた。

「……大丈夫のようだね……」

 小松はクスリと笑うと、ゆきの額にキスをした。

 小松の手が太股にかかり、そのまま脚を広げる。

 恥ずかしいことをされているのに、ゆきは抵抗出来なかった。

 それ以上に、小松と結ばれたかった。

「……ゆき、愛しているよ……」

 小松はもう一度熱い感情を込めて囁いてくれると、ゆきの入口に熱い楔を押し当てた。

 沸騰するほどの情熱をあからさまに感じて、ゆきは気持ちが高まるのを感じた。

 恐ろしいのに、期待の方が大きい。

 ゆきは恐ろしさをなくしたくて、小松にしがみついた。

「……帯刀さん……」

「ゆき、怖くないから。大丈夫……」

「……はい」

 小松は、ゆきの入り口をゆっくりと解すように欲望の尖端を動かすと、入り口を押し広げ、ゆっくりと胎内に入ってきた。

「……んっ、いやっ……!」

「痛かったら、私にしっかりと掴まっていて……」

 小松は息を乱しながら苦しげに言うと、更にその先を進めてゆく。

 頭の先を貫くような痛みが辛い。

 だが、痛みよりも、今は、小松の温もりを直接感じることが出来るのが、ゆきには嬉しかった。

 胎内に感じる脈々とした熱が、ゆきを感動させる。

 熱くて甘い感情が絡み合って爆発しそうだ。

「……ゆきっ! 君は熱くて……、くっ、素晴らしいね……」

 小松は苦しそうに色っぽく囁いた後、少しずつ胎内に進んできた。

 もう小松も、冷静ではいられないようだ。

 ゆきは、内面から小松の力強さを感じて、本当に愛されて、護られているのだと感じた。

 ナイフで内壁を抉られてしまいそうになるぐらいに痛みを感じたが、それでも、ゆきは小松には止めて欲しくなかった。

 そのため、思わず小松を力強く締め付けてしまう。

「……くっ! 君は……素晴らしいよ……。全く……、君は私をどこまで夢中にさせるの……!?」

 小松は息を途切れさせながら呟くと、更に腰を進めてきた。

「……ゆきっ」

 小松はゆきをぎゅっと抱き締めると、動くのを止めた。

「……ゆき、君は可愛くて、そして最高だよ……」

 小松はゆっくりと、ゆきの胎内で動き始める。

 柔らかく動かれ、その優しいリズムに、ゆきは痛みが鈍くなるのを感じた。

 柔らかくなっていく。

「……あっ!」

 小松のこの上なく優しい動きに、ゆきは同じように腰を動かしていく。

 そうすると、更に痛みは鈍くなり、代わりに快楽が大きく滲んできた。

「……やっ、あっ、んっ……!!」

 今まで味わったことがない気持ち良さに戸惑いながらも、ゆきはそれをもっと欲しいと思う。

「……君は良すぎるね……。未知だよ……っ!」

 小松の動きが激しさを増してくる。

 激しくて、ゆきが息をする暇すらもない。

 嵐のような激しさに、ゆきはしがみつくことしか出来ない。

 無意識に、小松を離したくなくて、激しく欲望を締め付け、腰を自然と動かしてしまう。

 先程感じた快楽よりも、更に激しい嵐のような快楽が、ゆきを包んでゆく。

 愛している。

 だから、もっと近づきたい、もっと快楽が欲しいと思う。

 痛みなんてとうに忘れた。

 恥ずかしさなんてとうに消え去った。

 ゆきは、ただ小松を独り占めして、小松の総てが欲しかった。

 お腹の奥で小松を深く強く感じる。

 気持ちが満たされて、ゆきはもう何もいらないとすら思った。

 小松の突き上げが激しさを増す。

 激しくて、身体が蕩けてしまうのではないかとすら、ゆきは思った。

 小松は深呼吸をすると、一気に突き上げた。

「……あっ……!!!」

 鼓動がマラソンの後ぐらいに激しさを増して、細胞の総てが快楽にうち震える。

 頭が白くなるほどの快楽に、ゆきは全身を弛緩させる。

 ガクガクと震えながら、痺れるほどの快感を覚えた。

 視界が輝く雲のなかにいるかのように白くなり、ゆきは小松と本当の意味で、結ばれたのだと感じた。

 その喜びに、ゆきは更に快楽の高みに押し上げられてゆく。

 小松の身体が震え、ゆきはそれを受け止める。

 身体の奥に熱いものを感じて、幸せだ。

 そのままゆきは、快楽に混じりあいながら意識を手放した。

 

 意識を取り戻したが、ゆきはまだ呼吸を荒くしていた。

「……大丈夫かな?」

 優しくも艶々な声が聞こえる。

「……はい、大丈夫です。身体が少し鈍い感じがしますけれど、幸せです。だから、大丈夫ですよ……」

「かなり、無理をさせたからね……。ゆっくり休みなさい……。今夜は……」

「……はい、何だか、眠いです……。少し休みますね……」

「ああ。おやすみ、ゆき」

「お休みなさい……、帯刀さん……」

 小松が優しく抱きよせてくる。

 小松に抱き締められていると本当に幸せで、ゆきはほわほわとした気分で目を閉じる。

 優しいまどろみが、ゆきの瞼を覆って、やがてとても心地好い眠りがやってきた。

 今日は疲れた。

 心地好い疲れだ。

 ゆきは、本当にぐっすりと、眠りに落ちた。

 

「そう、ゆっくりと眠りなさい、ゆき。今日は、とても疲れただろうからね……」

 小松はクスリと笑うと、ゆきを更にしっかりと抱き締めて眠る。

 小松もまた、優しくて最高に幸せで心地のよい眠りに落ちていった。

 人生最高の眠りだと思いながら。

 かつてふたりで愛を育んだ場所京。

 その京の未来と似た場所で結ばれたのは、運命だと感じていた----

 



マエ モドル ツギ