*夏の休日*

後編


 小松に背後から抱き締められながら、ゆきは恥ずかしくて堪らなかった。

 なんと乱れてしまったのだろうか。

 こんなにも乱れるなんて、恥ずかしくて堪らない。

 小松の顔をまともに見ることが出来なくて、ゆきはどうして良いのかが分からなかった。

 浴衣姿で物凄いいやらしく愛し合ってしまった。

 これほどまでに淫れた自分が、ゆきは恥ずかしくて、恥ずかしくて、しょうがなかった。

「……何、黙っているの?」

「……恥ずかしくて……」

 本当に恥ずかし過ぎて、ゆきは耳朶まで真っ赤にさせてしまう。

 小松はくすりと笑うと、ゆきを自分に向き合わせる。

 僅かに乱れた浴衣を着る小松というのは、なんて色気があるのだろうか。

 ゆきは思わず見惚れてしまう。

 ドキドキし過ぎてしまい、どうして良いかがわからない。

「……なんて瞳で見るの……」

 小松がドキリとしたように、一瞬、目を伏せる。その眼差しがとても艶やかだ。

 ゆきは、もっともっと小松の艶やかな表情が見たくなってしまう。

 本当にどうしようもないと、ゆきは思う。

 どこまで小松のことが好きなのだろうか。そんなことを考えてしまう。

「……本当に、君はどうしようもない子だね……。そんな淫らな色気のある格好をして、そんな目で見つめられたら……、私がどうなるか、分かっていないわけではないでしょ?」

 小松は低い声で囁いた後、唇を強く押しつけてきた。

 深いキスをされて、ゆきの欲望はまた、燃え上がってくる。

 小松の綺麗な指先で、身体のラインを辿ってくる。意味ありげにボディラインをなぞってくるものだから、ゆきの肌も細胞も、再び火が着いてしまった。

 ドキドキし過ぎて、どうしようもなくなる。

 本当に苦しいぐらいだ。

「……また、君が欲しくなったよ……。君は?」

 小松はフッと艶やかに囁きながら、ゆきの熱い部分を手のひらで、撫でてくる。

 撫でられるだけで、そこは敏感になって、小松を受け入れる準備を簡単に行ってしまう。

「……もう、私を受け入れる準備が出来たようだね……」

 小松は甘い声で囁くと、入口を指先で解してきた。

「……こんなこと……」

「……大丈夫……。君は私を受け入れられるよ……。ゆき、私が欲しいんでしょ?」

 そんなの決まっている。小松が欲しくて堪らないのだ。分かっているくせに、なのに、小松はわざと訊いてくる。本当に意地悪だ。

 ゆきは拗ねるような気持ちになりながら、小松を上目遣いで見つめてしまう。

「どうなの?言葉にしないと、なかなか解らないよ?ゆき」

 分かっている。

 小松は、主張をしなければ、欲しいものを与えてくれないことを。

 ゆきは小松を熱で潤んだ澄んだ瞳で見つめてきた。

「……小松さんが……、欲しいです……」

 ゆきは素直に言う。

 今、自分がどのような格好をしているかは分かっている。

 浴衣が乱れて、中途半端に脱げたような、淫らな格好をしていることを。

 そんな格好をして、愛する男を求めるなんて、どこまで淫らなのだろうかと、ゆきは思わずにはいられなかった。

「……本当に、君はどうしようもないぐらいにいやらしくて、淫らで、そして、美しい……」

 小松は耳朶にキスをしながら囁くと、そのままゆきの脚を広げた。

 恥ずかしくてめまいがしそうだ。

 浴衣なんて、腰で引っ掛かっているだけだ。

 脱がして欲しい。

 これなら、着ている意味をなさない。

 胸はむき出しだし、裾は全面に開かれて、熱い場所がすっかり見えてしまっている。

 こんな恥ずかしい格好をさせられているなんて、本当に恥ずかしくて堪らない。

「……小松さん、浴衣を脱ぎたいです……」

「ダメだよ。浴衣は脱がさない……。君のとっておきの乱れた姿を私は見たいからね……」

 小松は意地悪にも微笑むと、ゆきの熱い場所に口付けてきた。

 いつも以上に淫らで、ゆきはまともに見られない。なのに小松は、ゆきの熱い部分を丁寧に舐めてきた。

「やっ、ああっ……!」

 こんなことをされるのは、初めてでないのに、今日は随分と感じてしまう。このままだと、直ぐに達してしまうかもしれない。

 それぐらいに乱される。

 全身が震える。

 このままでは身体がとろとろになって持たない。

 ゆきがそう思っていると、小松は愛撫を止めて、ゆきのとろとろに蕩けた入り口に、熱く昂った楔を、押しつけてきた。

「……んっ、小松さんっ……」

「君が可愛い過ぎるから……、一日中、抱きまくりたくなったよ……。君以外に、こんな感情を抱けないけれどね……」

 小松は愛がたっぷりと詰まった笑みを向けると、楔を一気にゆきの胎内に侵入させてきた。

「……あっ……!」

 先程よりも更に情熱的になった楔は、いつも以上にゆきを圧迫してくる。

 胸も身体もいっぱいになる。

 小松の欲望をいつも以上に感じて、ゆきは幸せと快楽に満たされていく。

「……君は素晴らしいね……」

 小松は色気のある深い声で、息を切らしながら呟くと、ゆっくりと腰を動かしてゆく。

 内壁を激しく擦られて、快楽が全身を貫く。

 こんなにも気持ちが良いことは他にはない。

 ゆきは小松にしがみついた。

 もう、自分がどのような格好をしているかなんて、全く気にならない。

 ただ小松にすがって、快楽を貪り尽くしたくなった。

 ゆきも小松を離したくない。

 小松自身を強く締め付けて、離さないようにする。

 激しく締め付けると、小松は艶のある呻き声を上げた。

 小松すら自分をコントロール出来ないようだった。

 何度も激しく突き上げられて、ゆきはくらくらする。

 本当に目眩をしてしまう。

 たが、もっともっと小松が欲しい。

 そして小松にも奪い尽くして欲しかった。

 全身が痺れるほどに感じる。

 小松はゆきを一気に突き上げてくる。

 高みに上り詰め、ゆきは全身を弛緩させた。

「あ、い、あああっ!」

 絶頂を感じて、あとは墜落してゆくしかなかった。

 

 身体が心地好く重い。

 ゆきがゆっくりと目を開けると、小松が浴衣を総て脱がして、抱き締めてくれていた。

「大丈夫かな?」

 小松に訊かれると本当に恥ずかしい。ゆきは目を伏せて、そっと頷いた。

「それは良かった……」

 柔らかく呟くと、小松はふんわりと抱き締めてくれる。それがとても甘くて、幸せだ。

「ね、ゆき。私が夏休みの間は、うちに来ない?ずっと君を独占していたいんだけれど……」

 ゆきもずっと小松と一緒にいたい。

 心も身体も小松色に満たされたい。

「私もずっと小松さんのそばにいたいです」

「……ゆき、君は本当に可愛いね……」

 小松はくすりと幸せそうに笑うと、ゆきの唇に優しいキスをくれた。

 甘い、甘い夏の日の午後。

 



マエ モドル