*琥珀色の旅*

後編


 小松の吐息を首筋に感じる。

 胸がときめいて、しょうがない。

 胸元を意識するように抱きすくめられた。

「……ゆき、今日は有り難う……。君がいてくれて、嬉しい」

「私も帯刀さんと一緒に来られたことが嬉しいです。小松帯刀さんのお墓参りに行けて良かったです」

 ゆきは、本当に嬉しかったことを、小松に伝える。笑みを溢しながら、穏やかに。

 小松は、ゆきを更にギュッと抱き締める。ときめきすぎて、いつもよりも早く逆上せてしまうのではないかと思うぐらいだ。

 ドキドキして、ゆきはふらふらする。

「私も肩の荷が下りたかな。この世界での殿は、私がお仕えをした殿とは違うんだけれど、だけど相似には違いないからね。だから、話をすることが出来て良かったよ」

「はい」

 小松は、ゆきを大切な者のように優しく抱き締める。

「殿に話しておいたよ。大切なひとが出来たことと、大切なひとが横にいること。そして、そのひとと一緒になることを……。君といずれは夫婦になることを、ちゃんと伝えたよ。この世界の殿にも、そして私と相似のひとにもね……」

「小松さん……」

 小松の言葉に、ゆきは魂からの喜びが込み上げてきて、泣きそうになる。

 胸が切なくなるほどに、ゆきは喜びでいっぱいになる。

 ゆきは嬉しくて、つい涙を溢してしまう。

「ほら、泣かないの……。君は泣き虫過ぎるよ……」

 小松は苦笑いを浮かべながら、ゆきを柔らかく抱き締める。

「だって、嬉しいんです……」

「……私がこの時空にやってきたということは、そういうことなんだよ。君と一緒にいたい。君と、生涯、共に生きたいと言っているのと、同じことなんだよ……。だから、私は、生涯、君以外はいらないと言うことだよ」

 小松は耳許で囁くと、ゆきの首筋に唇を落とした。

 甘いキスに、ゆきは胸が切なく高まる。こんなにもときめくなんてない。

 ゆきは大きな吐息を宙に放つ。

 夜空がとても美しくて、ロマンティックだ。

 美しく空から溢れ堕ちてしまいそうな星を眺めて、小松に甘くて情熱的な囁きを受ける。

 こんなにも素敵なシチュエーションは他にない。まるで映画の中に迷い混んだようにすら思えた。

「……ゆき……」

 小松は、ゆきを自分に向かい合わせる。そのまま、情熱的に唇を重ねてくる。

 最初は軽く重ねるだけ。

 それを徐々に、何度も何度も繰り返してキスをする。

 キスが深まるにつれて、ふたりはうっとりとしてしまうほどの、トランス状態に入ってゆく。

 息がとにかく速くなる。

 ゆきは、自分では身体を上手く支える自信がなくなり、小松にすがり付いた。

 こうしていると、身体が熱くなる。

 もう温泉に逆上せているのではない。

 小松に逆上せているのだ。

 ゆきは、息苦しいと感じながら、小松に身体を預けた。

 すると小松は、ゆきに身体を押し付けてくる。

 お互いの呼吸が速くなる。

「……ゆき、ここでは駄目だ……。君が逆上せて大変なことになってしまう……。だけど、私は……」

 小松は苦しげに呟くと、再び、ゆきの背後から抱き締めてきた。

 胸を揉みしだかれる。

「……んっ……」

 腰には、小松の欲望が強く押し付けられる。

 ゆきは、小松が既にかなり欲情していることに気づいた。

 小松の手が、ゆきの熱い場所に伸びてくる。

 痺れるぐらいに感じやすい場所を擽られて、ゆきは身体を震わせた。

「……ゆき、準備は整っているみたいだね……。もう、待てないよ……、私は……」

 小松は息を乱しながら呟くと、背後からゆきの胎内に入り込んできた。

 苦しい。

 だが、ゆきも、今、小松にこの欲望を鎮めてしまわなければ、どうにかなってしまいそうだ。

 胎内に受け入れた小松の楔は、いつもよりも激しくて圧迫がある。

 お互いに想いが高まっているからだろうか。

 そう感じずにはいられないほどの高まりだった。

 息苦しい。

 だが、満たされた幸せに、ゆきは思わずうめき声を上げた。

 すると、小松は背後からゆきの胸を揉みしだきながら、ゆっくりと内壁を擦るように動いてきた。

 目眩がするぐらいに感じる。

 小松は最初はゆっくり攻め立ててきたが、徐々にスピードを上げて行く。

 小松はゆきの乳房の尖端を指先で愛撫してくる。

 それだけで、お腹の奥が収縮した。

 もうなにも考えられない。

 目を閉じたのに、星のスパークを感じる。

 夜空には星、そして瞼の奥にも星が瞬く。

 ゆきは呼吸を浅くしながら、何度も何度も無意識に腰を動かし、そのまま小松を強く締め付ける。

「……ね、ゆき……。君は私とこうするために生まれてきたんじゃないの?」

 小松は艶やかに囁きながら、更に渾身の力でゆきを突き上げてきた。

 追い詰められる。

 ゆきは唇を甘く開くと、声を上げながら、身体を弛緩させて、そのままぐったりと崩れ落ちた。

 

「……ゆき、大丈夫?」

 小松の優しい声が聞こえて、ゆきはゆっくりと目を開ける。

 天井が見えて、既に部屋に寝かされていた。

 逆上せた割りには、不快感はないから、きっと小松に追い詰められて、そのまま達してしまったのだろう。

 ゆきは、もの凄く恥ずかしいことをしてしまったのだと、今更ながらに気づいてしまい、耳まで真っ赤にさせた。

 本当に恥ずかしいことこのうえない。

 ゆきは、はにかみながら、小松を見た。

「帯刀さんのバカ……」

 本当にそんな言葉しか、ゆきには掛けられない。ゆきは恥ずかしくてたまらない。

「君が愛しくてたまらなくて、欲しくてたまらなくて、止められなかった…」

 小松は反省なんてしていないようで、ただ甘く微笑むだけだった。

 ゆきも小松を欲しくてたまらなかったから、愛しくてたまらなかったから、お互い様なのだが。

「……お互い様ですけれど……」

「なら、良いでしょ?」

 小松はゆきをふわりと抱き寄せる。

「素敵な星空だったのに……」

 ゆきは溜め息を吐きながら、小松を恨めしげに見つめる。すると、優しい眼差しをゆきに向けてくれた。

「君が可愛いからしょうがないでしょ?」

「だって……」

「それに、この旅で子供が出来たら、素敵なことだと思わない?」

 小松は低くよく響く声で呟くと、ゆきの唇にキスをする。

 胸が甘く痛いぐらいにときめく。

 本当にそうなれば素敵だ。

「……それは、そうなんですけれど……」

「だったら、続き、しようか?」

 小松は甘く囁くと、再び、唇を重ねる。

 そのまま、深く情熱的な世界へと向かった。

 回顧と情熱の旅。

 この時間を忘れられそうにないと、ゆきは思った。



マエ モドル