あの頃の「好き」は、無邪気な「好き」だった。情念だとか、くれないに染まる感情など、何もなかった。 純粋な「好き」だった。 だけど、これほど厄介な「好き」もなくて、育つと、もう消すことが不可能なぐらいに烈しく燃え上がる。 遠い平泉の空の下で、私たちは、恋心が愛に育ったことを識った。 幼い子供の無邪気さはもうない。 あれが春のひなたのような恋とするならば、今の恋は夏の嵐だった。 私たちは、しじまのなかで、ただしっかりと抱き合っていた。 温もりは感情の高まりを産み落とす。 小さな頃に誓った約束は、きっと叶えられる。 「望美…、絶対にお前を幸せにする」 「今も幸せだよ。こうやって将臣くんと近い場所にいられるから…」 あの頃とは比べものにならないぐらいにがっちりとした背中に腕を回しながら、私は幸福を感じた。 「約束を今夜、果たしちまおう。俺はもう、お前を完全に自分のものにしちまいたい」 「果たそうよ。約束は果たす為にあるんだよ」 ちらりと上目で将臣くんを見ると、表情のなかにやる瀬ない焔が見えた。 ギュッと抱きしめてくれると、私を抱き上げて歩き始めた。 イキナリ過ぎたから、私は戸惑ってしまう。だけど嬉しくて、止めてなんて欲しくない 静かに古びた屋敷に入り、将臣くんは、独りで使用している狭い部屋に私を連れていってくれた。 途中で誰かに逢うかと緊張したけれど、それはなかった。 約束の指輪がはめられていた場所には、将臣くんがくっきりとつけてくれた朱いリングのような痕がある。 私たちの約束の指輪だ。 将臣くんも私も何も言わなかった。 ただ、お互いに厳粛な雰囲気でその場にいた。 見つめあった後で、私たちは熱くキスを交わした。 将臣くんの唇は、少し冷たくて硬い。激しく吸い上げるように重ねられて、私はなす術がなかった。 将臣くんは、私の総てを貧るように、口腔内に舌を差し入れていく。 背筋が震えた。 私も、将臣くんの総てが欲しくて、深く深く舌を絡ませた。 狭い部屋には、煩いぐらいに私たちがキスを交わす水音が響く。 それは淫猥なんかじゃなく、清らかなもののように感じられた。 私たちの愛の儀式だから。 将臣くんの唇は、時々、私にイタズラをして、唇の端を噛んだりする。それが深い場所を刺激して、私は身を震わせた。 呼吸も、感情も、総てが将臣くんにコントロールされたところで、ようやく唇が離れた。 ゆっくりと床に寝かされる。粗末な板に薄い布が敷かれただけで、決して寝心地が良いとは言えないけれど、それでも、今の私たちにはロマンティックに違いなかった。 蝋燭が小さな音を立てて燃えているのに、私はひどく意識する。 「明かりを消して?」 「出来ねぇ相談」 「どうして?」 「お前の白い肌が見られねぇ」 将臣くんは薄く笑うと、艶のある大人びた眼差しを向けてきた。それは経験がないと出来ない眼差しのように思える。 「…ねぇ、誰かと比べないで」 私はか細過ぎる声で、将臣くんに懇願する。だけど、将臣くんは深く笑うだけ。 「一番見てぇのはお前の肌だ。お前をじかで触れて、こうやって見つめたい…」 「あっ…!」 衣服をするりと脱がされても、私は抵抗出来なかった。 だってこのセックスは、私にとって、結婚式と同じ意味を持っていたから。 一糸纏わぬ姿にされた後、私は恥ずかしさの余りに、自分の躰を隠そうとすると、将臣くんに制止された。 「花婿が花嫁の躰を見るのは当然だろ?」 「だって…」 「見せろよ、お前の総てを」 低くて甘い声で耳元で囁かれれば、もう抵抗なんて出来ない。私は力無く隠す腕を退けた。 熱いぐらいにじっと、将臣くんは私を見つめてくる。本当に見つめられるだけで、全身が燃え上がってしまう。 だけれど触れて欲しい。 「綺麗だな…。正直、綺麗過ぎて、無茶苦茶にしたくなるぐれぇだ…」 将臣くんは情熱を私に向けると、強く抱きしめてきた。 息が出来なくて、骨が軋むぐらいに抱きしめられる。これまで離れていた隙間を埋めるかのように、将臣くんは抱きしめてくれた。 私も、もう二度と将臣くんを離さないように、しっかりと抱き返す。 私たちはようやく愛を確かめることが出来た。この生と死の狭間で。 だからこそ、もう二度と離したくはない。 「望美…」 将臣くんの唇が、首筋を強く吸い上げてくる。切ない甘さに、私は泣きたくなった。 「あっ…!」 鎖骨を強く吸い上げた後、将臣くんは、私の胸を両手で持ち上げるように揉みこんできた。 強く揉みこまれて、私は痛みの余りに顔をしかめる。 乱暴なのに、止めて欲しくない。 「…柔らけぇな。ずっとこうやってお前に触れたかった…」 将臣くんは感嘆が入り交じった声で呟くと、今度は優しく揉み始める。 「ま、将臣く…っ!」 細胞の総てに、将臣くんの熱が深く刻み付けられる。私は、躰を何度も捩りながら、のけ反らせた。 「あっ…、ああっ…!」 将臣くんの唇が、私の乳房に吸い付いてくる。白い胸に強い噛み痕をつけられる。 私が将臣くんのものだと宣言されているみたいで、凄く嬉しかった。 将臣くんを求めて、痛いぐらいに勃ちあがった乳首を指先で弄ばれる。 イタズラな唇は、私の脇の下を吸い上げ始めていた。 頭の先がじんじんと痺れるぐらいに感じる。私は、いつしか自分の声とは思えないぐらい甘い声を、唇から漏らしていた。 「望美…!」 熱く興奮をした、将臣くんの吐息が乳首にかかる。そのまま吸い上げられ、私はどうにかなってしまいそうになるぐらい、全身で快楽を感じた。 私の女の場所がかなり熱い。深いところが、将臣くんを求めて沸騰している。とろとろの液体になってしまうぐらいに熱かった。 「可愛いな…。お前は…本当にたまらねぇよ」 「あっ…!」 将臣くんが私の足の間に手を入れてきた。恥ずかしくてしょうがなくて、私が手足をばたばたさせているというのに、将臣くんは止めるどころか、深いところに入ってくる。 「…やっ…恥ずかしい…!」 顔から火が出てしまうぐらいに恥ずかしいのに、将臣くんは止めてくれない。 中心を撫でられただけで、私の中から熱いものが溢れかえった。 くちゅくちゅといやらしい水音が響き渡ってくる。いてもたってもいられなくて、私は足をもっと閉じようとした。でも許してくれない。 「見せろよ、お前の総て」 「いやあっ!」 将臣くんは、私の脚を力ずくで大きく開けると、口を開けた秘所をじっと眺めた。 信じられない。 一番見られたくない恥ずかしい場所なのに、将臣くんはこともあろうか、そこに顔を近づけてきた。 「綺麗だぜ…!」 こんなところなんて綺麗なはずはないと、泣きそうなになる。 「マジ、綺麗だ」 将臣くんは、厳かに感動しているように呟くと、私のそこに唇を寄せた。 中心のルビーを強く吸い上げられてしまい、私はどうにかなってしまいそうになる。 指が襞を押し広げて、余計に吸いやすいようにしていていた。 舌先でルビーをころころと転がしながら、将臣くんは、指を蜜が溢れかえている部分に宛てられた。 「あっ、ああ!」 蜜口を焦らすように撫でられた後、将臣君の指がためらいなく入ってくる。ごつごつとした剣を持つ人の指だ。節くれ立った男の指に、私は異物感を感じてしまい、唇をぎゅっと噛んだ。 「…痛いか?」 「大丈夫…」 ほんの少しだけ私は将臣君に強がりを言う。だって、余裕のある大人びたセクシーさを見せつけられると、私の心の奥で、切ない炎が燻るから。 将臣君は、私を気遣うように、ゆっくりと胎内に入り込んでくると、何度か出し入れを始めた。 「あ、ああ…っ!」 痛くて下半身が痺れるのに、どこか楽園のフルーツみたいに甘い感覚に支配される。 「あ、ああっ…」 声が押さえきられないぐらいに心地がよいと感じたとき、将臣君は舌で私の真っ赤に燃えるルビーを責め立てた。 「あ、あ、ああっ!」 気持ちが良すぎて、腰が浮き上がってしまう。 何度も腰を浮かせては床に打ち付けてしまう。 「…あ、将臣君…っ!」 将臣君の指が、私の深いところを突き、舌が敏感な宝石を包み込む。 じんわりとしていた熱が一気に四肢に伝わり、痺れるような快感が全身を伝う。 私はこのまま溶けたいと想いながら、ふっと闇に沈んだ。 将臣君が甘い眼差しで、満足そうに私を見つめている。 「イッたみてぇだな。やっぱ、お前は可愛いよ」 将臣君は私をぎゅっと抱きしめた後、自分もまた一糸まとわぬ姿になる。 鍛えられて、きちんと筋肉がついた姿は、正直言って、綺麗だと思った。 「…約束、果たそうぜ? 心だけでじゃなく、躰もひとつになろうぜ」 「うん…!」 怖くないと言ったら嘘になる。 だけど将臣君だから。私の大好きな人だから、総てを預けることが出来る。 私は将臣君の背中にしっかりと腕を回すと、しがみついた。 将臣君はそれを合図に、熱くて固いものを、私の入り口に宛がってくる。 「あ…っ!」 余りに力強くて、私は、一瞬、身を固くする。 その緊張をほぐすように、将臣君は、額や、瞼にキスをくれた後、唇を塞いだ。 「ん…っ!」 将臣君の固い者が、私を抉るように胎内に入り込んでくる。 正直言って、かなり痛い。 痛すぎると言ってもいいぐらいだ。 涙を滲ませながら、私は必死になって耐えた。 将臣君が相手じゃなかったら、それこそ剣で斬ってしまいたいぐらいに、痛かった。 「望美…、望美…」 将臣君は何度も私の名前を呼びながら、私を宥めるように抱きしめてくれる。 「力を抜け…。俺に総てを任せろ…」 「う、うん…」 将臣君は私の乳房を揉みながら、腰を先に進めてくる。 私はじっと耐えながらも、何故か将臣君から離れられなかった。 「あ、ああ…っ!」 将臣君の動きが止まり、一旦苦しげに深呼吸をする。 私の胎内に将臣君の雄剣が突き刺さったようだった。 「ゆっくり動くから…」 「…将臣君…」 将臣君はこの上なく優しく動き始めた。 柔らかな腰の動きに、私は狂ってしまいそうになる。 あれほど激痛を感じていたのに、緩やかに痛みは遠のき、代わりに信じられないほどの歓喜がやってくる。 「将臣君、将臣君…っ!」 何度も名前を呼べば、将臣君は答えるよう、私の奥深い場所を撫でてくる。 「あ、ああ、ああっ!」 「望美…っ!」 将臣君の動きが烈しくなる。 「将臣…っ君…!!」 「望美…っ!!」 将臣君の動きが烈しくなると同時に、私の視界が真っ赤に燃えさかり、やがて白くかすむ。 こんなに、心地がよいジェットコースターは初めてだと思うぐらいに、将臣君は私を快楽の縁まで追いつめる。 「あ、あああっ!」 「望美…っ!!」 そこからはもう覚えていない。 意識の遠い場所で、熱いものが私の中を駆け抜けた----- 静寂を感じる。 何もない空間に、ただ愛する男生徒一緒にたゆたゆと漂う。 私は、将臣君の胸の上に頬をピッタリと寄せて眠った。 「有り難う…。愛してくれて…」 「あの日の約束を、真の意味で、これの闘い終わったら叶えような」 「うん…」 私たちが明日をも知れない運命なのは解っている。 だが、それを乗り越えればきっと、あの日の幸せな約束を、本当の意味で果たすことが出来るだろう。 その日まで、私たちはふたりでしっかりと手を取り合い、戦ってゆく----- |
| コメント 十六記フライング小説です。 アラモードで見た、スチルと台詞を元にして書きました。 |