君影草


 将臣にしっかりと手を握られたまま、部屋に連れて行かれる。子供の頃から、ずっと通い馴れていた筈なのに、何だか初めてそこに行くような気分になる。
 あの時空に飛ばされるまで、よく昇った階段。
 小さな頃は、この階段が恐くて、昇る途中で泣いたりもした。
 その階段が、いよいよ大人への一歩を踏み締める階段のような気がする。
 二階まで上がり、廊下を突き当たったところが、将臣の部屋。
 そこに連れていかれた。
「鞄を置いて座っていろ。冷たいもんを持ってくるから」
「有り難う…」
 望美がぺたんと床に座り込むと、将臣は一瞥してから部屋を出た。
 途端に大きな溜め息が出る。望美は胸がドキドキし過ぎてたまらない。舌の根が渇いてしまい、通い馴れたはずのこの部屋が、知らない場所のように思えてしまう。
 将臣の部屋。そこは男らしい香りがする。こんなに胸の奥が切なくなる香りは、今までなかった。
 深呼吸をしていると、足音が聞こえた。近付くにつれ、望美の鼓動が烈しくなっていく。
 ドアが開いたと同時に、躰が跳ね上がった。
「冷たいもん、持ってきたぜ。ほら」
「有り難う…」
 将臣から手渡されたのはミネラルウォーターが入ったペットボトルで、ほんのりと冷たかった。
 将臣は望美の横に座ると、学ランを脱ぎ捨てる。着崩したシャツの白さが、酷く眩しかった。
 緊張してしまうせいか、落ち着かない。胸を張ってみたり、姿勢を糾してみたりする。
「望美」
 甘い声で名前を呼ばれて、肌が震えた。
「お前がすげえ柔らかいこと、教えてやる約束だったよな」
「うん…」
「だったらこっち向けよ」
 将臣に言われるがままに、望美は顔を近づけていく。すると親指が伸びてきて、望美の唇に触れた。
「あっ…」
 官能的な動きに、望美は唇をうっすらと開けてしまう。息を詰まらせるようにしていると、将臣の唇が近付いてきた。
 柔らかく唇が重なりあった。
 最初は触れるだけのもの。
 唇から火がついてしまい、熱を醒まそうと唇を開ければ、将臣の舌が深く入りこんできた。
「…んんっ…!」
 呻くような声を上げると、将臣の舌の動きが烈しくなっていく。望美の舌を捕まえると、巧みに絡ませてくる。
 舌と舌が絡み、苦しくなるぐらいに躰に快楽の稲妻が走り抜けた。
 口腔内を暴れ回る将臣の舌は、望美が感じる場所を的確に押さえていく。
 顎の上も、歯列の裏も総て。
 唾液を交換するように二人は深く唇を重ねた。
 何かが溢れ出す。
 将臣が唇を離した頃には、唾液が顎を伝っていた。
 それを何の躊躇いもなく、将臣は舌先で掬ってくれる。
 子宮の奥がきゅんと締まったような気がした。
 ぷっくりと膨れてしまった唇を、将臣は指でなぞる。
「すげえ柔らけぇ…。お前の唇…」
 熱い言葉に望美は思わず俯いてしまう。
「お前の全部が柔らけぇんだよ…。しっかりと教え込ませてやるよ」
「将臣く…ん…あっ!」
 将臣は頬にキスをすると、耳たぶから首筋にキスをしてくる。
「あっ…」
「お前のここも、ここも、ここも、みんな柔らかい…。知ってたかよ? お前はふわふわしてんだよ」
 将臣の手が器用にジャケットを脱がし、ネクタイを外す。ブラウスのボタンを外してきた。
「ま、将臣くん…」
 ブラウスが開かれ鎖骨が見えると、そこに口づけてくる。
 その隙間から、胸元に手を忍びこまされた。
「やっ…!!」
「すげえ柔らかい…」
 誰にも触れられたことのない柔らかな場所を、将臣は独占欲を溢れさせながら触れてくる。下着の上から強く揉み込まれて、躰の奥が痛くなった。
 将臣の吐息は激しくなり、ブラウスのボタンを乱暴に外していく。
 恥ずかしいのに嬉しかった。
 背中に手を回されてブラジャーのホックを外される。下着とブラウスを剥ぎ取られて、上半身があらわになった。
「すげぇ綺麗だ…」
「将臣くん…っ!」
 見つめられるのが、恥ずかしくて仕方がない。将臣が恍惚の眼差しで見るものだから、いたたまれない。
「恥ずかしいから…」
 視線から逃れたくて顔を背けると、将臣は顔を正面に向けてくる。
「可愛い顔を隠すなよ。お前すげえ可愛いぜ」
「あっ…んっ!」
 将臣は柔らかな胸を堪能するように揉みこみながら、白い丘にくちづけてくる。
 唇を落とすだけだったのが、徐々に吸い上げるようになってくる。
「将臣く…んっ!」
 肌が震えてしょうがない。
 しっかりと抱きしめられて、望美はひどく喘いだ。
 抱きしめられながら、尖った胸の尖端を口に含まれる。びりびりとした電流が肌に走り抜け、望美は将臣の肩を強く抱きしめた。
 淫猥な音を立てながら先端を吸い上げられる。ちろちろとうごめく舌でそこを舐められると電流が走り抜けた。
「将臣くん…っ!」
「すげえお前は柔らけぇな」
「あっん…!」
 将臣がまるで幼い子供のように、望美の柔らかさを愉しんでいる。
 乳房に顔を埋めて、安堵と興奮をその顔に見せていた。
 乳房を思いきり吸い上げられ、紅の所有痕をつけられる。
 鎖骨から胸にかけて、あらゆる場所にそれはちりばめられた。
 躰の奥深いところにある、未知の領域が激しく疼く。
 熱くなり、そこは深く将臣を求めている。
 望美は浅い呼吸をくり返しながら、将臣の躰に触れる。
 筋肉で引き締まった精悍な躰。望美のぷくんぷくんの躰とは比較出来ないぐらいに硬い。
 その男らしさに、望美は深くひきつけられた。
 将臣が愛撫を繰り返す間、自分の躰が本当に柔らかいことを、望美は知らされる。
 ふとももを軽く撫でられた。ぴくりとしてそこから力を抜いてしまうと、将臣は脚を開けてきた。
「…やだっ! やめっ!」
「見たいんだよ…。お前の一番女っぽいところをな…。一番柔らかなところを」
「…だって、そんな、誰にも見せたことない、へんな場所なのに…」
「へんじゃねぇよ。ここは俺が見るための場所でもあるんだからな。俺以外のヤツには絶対見せるなよ」
 将臣は独占欲をあらわにしながら、望美のそこに顔を埋めて、襞を指で押し広げた。
 あらわになっているのが、空気を感じる面積の多さで解る。恥ずかしくて、望美は泣きそうになった。
「ルビーみてぇですげぇ綺麗だ」
「やっ…! 識らないっ…!」
 将臣はふっと微笑むと、敏感なルビーに触れる。人差し指でこねるように弄られて、奥深いところから熱いものが込み上げてきた。
「望美…」
「やっ…っ!」
 将臣がそこを弄りながら、唇を近づけてくる。息を感じただけで、望美は背筋をのけ反らせた。
 舌先がルビーに触れるだけで、奥からとくとくと熱くてねっとりしたものが、溢れてくる。それを将臣が舌で掬うものだから、頭がおかしくなりそうだ。
 眦に涙が滲むぐらいに感じる。
 肌も細胞も、沸騰すると思うぐらいに激しく熱かった。
「将臣く…んっ!」
 腰がぴりぴりと痺れ、鈍い痛みに抜けてしまうのではないかと思うほどだった。
 無意識にゆらゆらと腰が揺れてしまい、将臣に押し付けてしまう。
 淫らな動きなのに、止めることが出来なかった。
 しっぽりと入り口が濡れると、そこに将臣は指を宛ってきた。
 入り口を緩やかに撫でた後、指が胎内に入ってくる。内壁を押し広げられたようで、若干の痛みを感じた。
「将臣く…!」
 胎内の圧迫感と異物感に、望美はゆるい痛みを感じている。だが、将臣は胎内で指を動かすことを、止めやしなかった。
「あっ…! ああっ!」
 ようやく馴れてきたかと思うと、今度は指を増やされる。
 二本になった将臣の指は、宥めるような動きをくりかえす。優しい拷問。
「お前のここは、熱くて、すげえ柔らけえ。しっとり俺の指に吸い付いてくるぜ」
「将…っ!」
 鈍い痛みと快楽のせいで、望美は名前すらも呼べなくなる。
 将臣は満足そうな笑みを浮かべながら、指で望美の官能を引き出した。
「…将…臣く…ん…」
 蜜がたっぷりと溢れ出してくる。それを将臣の唇が啜った。
「あっ…やんっ!」
 全身が熱くなり、望美を煽っていく。頭の芯が痺れたようになり、気持ちが良くなる。
「あっ、ああっ…!」
 指先と唇でたっぷりと愛撫をされ、もうたまらなくなる。望美は脚をぴんと突っ張らせると、そのまま沈みこんだ。
「あ…」
「すげえ可愛いな…。お前は…」
 将臣は感慨深く呟くと、唇に甘いキスをくれた。
 脚をゆっくりと開けられたまま、将臣がその間に躰を入れる。
 将臣の硬い尖端が入り口に当たり、望美は息を呑んだ。果たしてこんなものを受け入れられるのだろうか。
「…優しくする」
「う、うんっ!」
 息を止めた瞬間、将臣がドリルのように入り口をえぐって来る。
 痛みがその部分に集中し、望美は将臣の肩に手を置いた。
「痛かったら、俺に縋れ。望美っ!」
「う、うん…っ!」
 望美は将臣の背中にしがみつき、痛みを癒していく。
 将臣のくっきりとした腰のラインが揺れる。その度に将臣が深いところまで進んでいくのが解った。
 圧迫が苦しくて、望美は浅い呼吸しか出来ない。
 痛みの余り涙が瞳に滲み、思わずすりあがってしまう。
「望美…。大丈夫だから…」
「うん…」
 宥めるようにキスをされて、望美は何とか頷く。
 将臣でないと、こんな痛みは我慢出来なかった。
 将臣が奥に到達すると同時に、激しい傷みが貫く。
 望美はえぐえぐと泣きながら、将臣の肩に爪を立てた。
「ちゃんと入ったから、もう我慢しなくてもいい…」
「ん…」
 将臣が瞼にキスをしてくれたので、ようやく力を抜いた。
「動くぜ?」
「うん…」
 将臣は優しく動き始める。まるで全身を支配するようにとことんまで優しく愛撫してくれる。
「あ…」
 痛みが少しずつ和らいでいく。
 甘い心地良さが、望美の深い部分に届く。
 将臣は、少しずつ激しさを加えながら、望美をとことんまで味わい尽くしていく。
「あっ、ああっ…!」
 最奥を突き上げられ、躰がしなやかに弓なりに反り返る。
 総てを支配するような動きに。望美は気持ちが良くて狂ってしまいたくなる。
「あっ、あっ、ああ…!」
 何度も突き上げられると、意識がぐちゃぐちゃになる。望美はそのまま将臣に縋り付いたまま、達してしまった。

 意識が緩やかに戻ると、将臣が包み込むように抱きしめてくれた。
「こんなに柔らかいんだぜ、望美…、お前は…」
「うん…。教えてくれて有り難う…」
「好きだぜ。あんなこと言ったのは、他のヤツにお前を渡すわけにはいかねぇんだよ。お前は俺のもんだからな。だからあいつらの手前、あんなことをいっちまった…。傷ついたか?」
 望美は軽く頷いたが、その後に首を振る。
「将臣君の意図がわかったから、いいよ…。今回だけだよ。許してあげる」
 望美はくすりと笑うと、将臣の頬に甘くキスをした。
「これからはずっと一緒だ」
「うん!」
 将臣と肌を合わせながらこの上ない幸せを感じられる。
 将臣に甘えながら、女に生まれてきて良かったと、心底感じた。
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ED後です。





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