意地悪な甘え方


 将臣が温かそうな蒸しタオルと、ほわほわと湯気が上がったお湯の入った洗面器を、学習机に置いた。
 躰を起こしてくれる際に宛われたしっかりとした大きな掌が、望美をドキドキさせる。
「将臣くん、いいよっ! 自分で起きるから」
「良いから」
 将臣は望美を起こすと、向かい合わせになるようにベッドに座り、パジャマのボタンを外してきた。
 いつも脱がしているせいか、将臣は手際よく、ボタンを外す。長くて逞しい将臣の指を意識してしまい、熱い躰が更に沸騰してきた。
「じ、自分で…!」
「病気の時ぐらいは、遠慮したっていいんだぜ?」
「だ、だけど…その、恥ずかしいし…」
 望美がもじもじしなから言葉をごにょごにょとごまかすと、将臣は眉を上げた。
「恥ずかしがるのは今更だろ? 俺はお前の隅々まで知っているんだから」
 恥ずかしい台詞を、将臣は低い声で囁く。
 声だけで犯されているような気がする。
 こんなことは犯罪だ。
「…えっち…」
 上目遣いで望美が将臣をすねるように見ると、可笑しそうに瞳に笑みを滲ませていた。
「汗をかいたらちゃんと拭いて寝たら、風邪は治るからな」
「うん…」
 本当にそうなのか。何か言いくるめられているような気がする望美だったが、将臣は淡々とパジャマを取り去り、ブラジャーに手をかけている。
 ぷつりとホックが外れると、望美の豊かな胸が開放されて揺れた。
「綺麗にしてやるからな」
 望美は声を出して返事が出来ずに、ただコクリと頷いた。
 将臣は先ず、背中に回り、首筋から肩甲骨にかけてゆっくり優しく拭いてくれる。蒸されたタオルがとても気持ちが良い。
 特に首筋を宛てられた時が気持ちが良くてたまらなかった。
「背中が気持ち良いね」
「血行が良くなるからな」
 これなら、ほんの少し気持ちが良くなっただけで、セクシャルな雰囲気はない。
 ホッとしたのもつかの間、今度は将臣が前を拭き始める。
 鎖骨あたりを拭かれるまでは、ただ心地良く思っていたのに、乳房の周りを拭かれた瞬間、躰がビクビクと震えた。
「ま、将臣くんっ!」
 乳房の周りを焦らすように拭かれる度に、胸が豊かに揺れる。
「あ…っ!」
 下から持ち上げるように乳房を拭かれて、望美は甘い声を上げた。
「何、良い声を出しているんだよ…」
「だ、だって将臣くんが…んっ!」
 わざと乳首を摘むように、タオルで周りを拭いてくる。その度に、子宮に痺れるように甘い痛みを感じた。
「ま、将臣くん…ダメ、ちゃんと…」
「ちゃんと普通に拭いているだけだぜ」
 絶対にわざとだとは思う。
 その証拠に、滲んだ汗を拭くように見せ掛けて、乳房を揉みこむような仕草をする。
「あっ…ダメっ!」
「俺は躰を拭いてやっているだけだぜ?」
 悪びれないのが、将臣らしいところではある。
「かなり熱くなってきたな。今度は下だな」
「いやっ!」
 望美の抵抗などを無視して、将臣はパジャマに手をかける。
 するするとパジャマのズボンに手をかけた後、将臣はこちらを無視するように脱がしてきた。
 下着に手をかけられた時には、恥ずかし過ぎて小さくなる。
「…上だけで大丈夫だよっ」
「上が汗かいてんのに、下がかいてねぇ訳がねぇだろ?」
 将臣はさらりと言うと、望美の下着に手をかけた。
「ダメっ!」
 その手を、望美は思わず叩いてしまう。
「何がダメなんだよ」
 不機嫌そうに眉根を潜めた将臣に、望美は何も言えない。
 まさか、上半身をタオルで拭かれただけで、こんなに感じてしまっているなんて、恥ずかし過ぎて言えやしない。
 子宮の奥が痺れるように熱いなんて、躰かとろとろに溶けるぐらいに熱いだなんて、口に出せやしなかった。
「…とにかくらめっ!」
「ダメだ。中途半端が一番風邪を引くんだぜ」
 将臣は叱責すると、望美の下着を強引に下ろしてしまった。
「やんっ!」
 下着から蜜の糸が長く引く。
 下半身を蕩かしてしまうほどに感じていたことを知られてしまい、望美は泣きたくなった。
「もっと綺麗にしてやるよ…」
 からかう色が消えた将臣の瞳は、艶やかに深い色で揺らめいている。こんな雰囲気を見せ付けられると、痛いぐらいに心臓が鳴り響いた。
「将臣くん…」
 将臣は温かいお湯でタオルを浸し、絞る。
 そのタオルで脚を慈しむよつに拭いてくれた。
「ん…」
 我慢していた喘ぎが、唇から漏れる。それを将臣は聴きながら、丹念に拭いてくれた。
「…綺麗だな…脚」
 拭いた場所を慈しむようにキスをされて、望美は喉がからからになるぐらいに感じていた。
「ま、将臣くん…っ!」
「すげえ汗をかいている場所があるよな」
 将臣は吐息を弾ませながら、望美の濡れた場所を指でなぞる。
「あっ! …汗じゃないよっ…」
 突き上がるような欲望を感じながら、望美は躰をのけ反らせた。
「ま、将臣くん…っ!」
 足を大きく開かれた後、将臣は熱い蜜口に顔を埋める。息を女の中心に吹き掛けられた瞬間、望美は枷が外れたように、甘くて大きな声を上げた。
「溢れているぜ、お前の汗…」
「あ、汗じゃないもん…っ!」
 望美が首を横に振って嫌がっても、将臣は舌を容赦なく這わせてくる。
「やっ…!」
 ぴちゃぴちゃと淫らな音を立てながら、将臣は舌で蜜を肉芽を塗り付けた。
「すげえ…濡れてる」
「汗…じゃあないもんっ!」
 気が遠くなるぐらいに感じてしまう。躰の奥深くが熱くてたまらなくて、汗のように蜜が滴り落ちてくる。
 気持ちが良すぎて、望美は気が遠くなりそうだ。
 いつもよりも将臣が激しくし過ぎて、望美を翻弄していく。
 頭がくらくらしそうだ。
 将臣の舌は、じっくり望美を味わうように舐め、襞の内側をくすぐってきた。腰が堪らないぐらいに感じて、ふらふらになる。 思わず何度も腰を何度も浮かせてしまった。
「…あっ、将臣く…んっ!」
「もっと、汗をかいて貰わねぇとな?」
「あっ!」
 つっぷりと濡れた音を立てて、将臣の冷たい指が胎内に入ってきた。
 ひんやりとした感覚が、望美をひどく刺激する。あいはんする熱が、化学変化の準備を始めた。
「ま、将臣く…ん…」
「沸騰してるぐらいに熱いぜ。汗もいっぱいかいている」
「汗じゃないよ…あっ!」
 将臣の指が胎内をゆっくりとくすぐり始めた。
 内壁を探るように動かした後、奥に優しく触れてくる。
「…んっ! 将臣くん…っ!」
 僅か一本の指の刺激なのに、気持ちが良すぎて、思わず締め付けてしまう。
「なかなか良い締め付けだな」
「…んっ!」
 将臣は指で内壁を摩擦しながら、最奥を先端でくすぐってくる。
 気持ちが良すぎて、頭の意識が総てどこかへ飛んでいってしまいそうになる。
 溢れる蜜を、将臣の舌先で掬い上げられて、意識がふらふらになってきた。
「あっ、んっ、将臣くん…っ!」
 逞しい肩をがっしりと掴みながら、望美は躰を快楽に震わせていく。
 風邪の発熱とは違う、やるせない甘い熱に支配されて、望美はたまらなくなって腰を浮かせた。
 爆発しそうになる。
 望美は躰を震わせながら、意識が白くなるのを感じる。
「あっ…!」
 とどめを刺すかのように、最奥をくすぐられる。
 躰が浮き上がると、余りにもの気持ち良さに、望美は意識を飛ばした。

「いつも以上に感じただろ?」
 からかうような将臣に、望美は顔を隠した。
「識らない!」
 拗ねるように言うと、将臣は意地悪をするように、望美の襞を撫で付けてきた。
「やっ…!」
「お前のここは…、指なんかより、もっと熱くて栄養のある注射が欲しいみたいだな…」
 いやらしい言葉を、悪びれることなく言う将臣に、望美は顔を背けた。
 確かに下腹部は将臣を求めて震えている。
「強情には、こうするのに限るだろ?」
「きゃあっ!」
 胎内までしっかりと見えてしまうぐらいに脚を開かせると、将臣はそこを味わうようにじっと見つめてきた。
「…お前の胎内、すげえひくひくしていて綺麗だな…」
「…見ちゃダメっ!」
 泣きそうになりながら否定をしても、将臣はじっと見ている。
「俺をしっかりと受け止めたいって、言っているぜ」
 将臣は、望美の熱い場所にくちづけると、そのまま脚の間に腰を入れて来た。
 熱い欲望が躰中に駆け巡ってくる。
「病人には注射が必要だからな」
「もうっ! 将臣くんのスケベっ!」
 望美がプリプリ音を立てて怒ると、将臣は笑いながら抱きしめてきた。
「…栄養も注ぎこんでやらねぇとな」
「も…ああっ!」
 こちらが怒る暇を与えずに、将臣は胎内に欲望を沈めてくる。猛々しい圧迫に、息が止まりそうになった。
「すげぇ、気持ちが良いな…。暖かいぜ」
「もっ…んんっ…!」
 将臣は息を乱しながら、腰をゆっくりと推し進めてくる。
 腰が動く度に、快楽に震える。将臣の楔は何よりも熱くて、望美を翻弄した。
「…お前はやっぱり、最高だぜ…」
「あうっ!」
 思い切り最奥を突かれて、望美は息が止まってしまうかと思った。
 呼吸が粗くなる。
 将臣は、腰の動きを一旦止めると、深く深呼吸をしながら、望美を抱きしめた。
「…ま、将臣く…んっ!」
 無意識に締め付けると、将臣は眉間に深いしわを刻みつけた。
「…望美…」
 呼吸を整えながら、将臣は緩やかに動き始めた。気持ちが良すぎて、頭が変になりそうだ。
 もっと深いところで将臣が欲しくて、望美はすんなりとした脚を、がっしりとした腰に巻き付けた。
「将臣く…っ!」
「…望美…っ、好きだ」
 余り聴かれない将臣な甘い言葉に、意識も躰もとろとろに溶けていく。
「あっ、ああ!」
 胎内をえぐるように激しく動かれてしまい、熱が爆発してしまいそうになる。
 視界が揺れ、重なり合う生身の肌の境界がなくなってしまうのではないかと、深く感じた。
 将臣の剣が深く突き刺さり、望美の熱や快楽を総て奪いつくしていく。
 もう何も考えられなくて、望美は総てを将臣に委ねていく。
 将臣が力強く奪ってくる。
 熱い麻薬のような精が注がれる。
「やあああああっ!」
 躰が大きく浮き上がった瞬間、望美は嬌声を上げて、ぐったりとベッドに倒れ込んだ。

 ふわふわと気持ちが良い温もりを感じながら、望美は目を開けた。
 将臣がしっかりと腕に抱き込めてくれている。
「…気持ちが良いね…」
 甘えるように胸に凭れかかりながら、将臣に抱き着いた。
「すっかり風邪はこれで良くなっただろ?」
「…もう」
「薬代わりにたっぷり栄養やったからな」
 望美は将臣の腕の中で背中を向ける。
 恥ずかしくて逃げようとしても、結局は将臣の腕の中。
「待て、離すかっ!」
「あっ!」
 将臣は再びゆっくりと望美を愛し始める。

 翌日、望美の風邪は治ったが、疲労はピークに達してしまった。




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