桜Moon

2


 将臣に教えられたままにキスをする。舌を深く口腔内に入れ込んで、望美は擽るように動かす。
 抱きしめてくれる将臣の腕がより強くなり、望美の柔らかな胸と将臣の逞しい胸がこすりあった。
 それが気持ちが良すぎて、更に深く求めてしまう。
 最初は自分が誘うようにキスをしていたというのに、いつの間にかリードされていた。
 キスの巧さに腰がふらふらになりながら、望美は更なる強さを求める。
 唇を離した頃には、将臣はより艶めいていた。
「…今日は大胆だな? 立てなくなるまでシテやるよ」
「私をおぶって鎌倉まで送らないといけなくなるよ」
「送るとか…言うな。今夜は帰るな」
 熱い命令口調に、胸にズキンと大きな痛みを感じる。本当にそんな擬音語が聞こえてしまうぐらいに。
 それは哀しいとか、辛いとかではなく、ときめく余りに、胸が高まるぐらいに出る、最上級の甘い興奮だ。
「…じゃあ、帰れなくなるぐらいに…シテ?」
 濡れた唇を舌で舐めながら言うと、押し付けられた将臣が興奮して大きくなるのが解った。
「明日はベッドから起きられなくなるぐらいにしてやるよ」
 将臣は宣言すると、望美の鎖骨あたりに唇の痕をつけていく。それは何時ものキスマークよりも薄紅で、桜の花びらに似ていた。
「ん…っ!」
 乳房を下から持ち上げるように強く揉みあげられると、子宮の奥が更なる熱さを抱える。
 秘密の場所が蜜で充満し、少しのことで水音を漏らしていった。
 将臣の唾液で濡れて光ってしまうぐらいに、舌先で乳首を舐められる。
 直接的な愛撫に、望美は頭がおかしくなると思うぐらいに感じていた。
 腰がなまめかしく揺れる。
 痛くなるぐらいに揺れて、望美はたまらなくなる余りに、甘い声を漏らした。
 乳房の愛撫が心地良すぎて、眦に涙が滲む。将臣はそれに気付いてか、そっと唇をそこに寄せた。
「…将臣くん…っ!」
 逞しい肩に縋りながら、望美は将臣にキスをねだる。すると触れるだけの可愛いキスをくれ、それが更なる興奮を産む。
「…お前はとんでもねぇぐらいに可愛いな…。閉じ込めたくなっちまうって言ったら、恐いか?」
「恐くないよ」
「…壊れるぐらいにお前を愛している」
 将臣は、望美の平らな腹部に、唇を押し当てる。
 総てが感覚になり、どこをキスされても感じてしまう。将臣の唇はマジックのようだ。
 繊細に動く手が、望美のスカートとストッキングを脱がしにかかった。既に痺れてしまうぐらいに感じ始めている下半身は、抵抗する能力すらも欠落していた。
「…今日は一段と色っぽいな」
 将臣は、望美の脚を撫でながら、太腿に手をかける。そのまま大きく脚を広げ、付け根を擽った。
「…あっ…!」
 びくびくと躰が揺れて、熱い熱を生む。
 一番感じる場所を避けてキスをされ、望美は溜まらなくなり首筋を綺麗にのけ反らせた。
「ま、将臣く…んっ」
「すげぇぴんく色だな…。桜よりも俺はこっちの花見のほうが良い」
「バカッ!」
 頭を叩こうとしたところで、将臣はそうさせないように望美の花びらに舌を合わせる。
「…んっ! ああっ…!」
 こんなに震えてしまって良いのだろうかと思うぐらいに、全身が震え、将臣に何かをしようとしても出来なくなる。
「あっ、ああん…!」
 舌がぬるぬると花びらを割り、に花芯を捕らえてくる。形をなぞるように舐められてしまい、望美は更に蜜を垂れ流した。
 いやらしいと思われるかもしれないが、将臣に献身的に愛撫をされるというのは、なんて自尊心がくすぐられて、気持ちが良いのかと思う。
 望美は将臣の唇に自分の花を押し付けて、より濃密な愛撫をねだった。
 将臣は解ったようにフッと笑うと、そこに息をかけてくる。
「あっ…! 将臣くんっ…!」
 花芯をしっかり吸い上げられて、望美は入り口に空洞を感じた。そこに熱い圧迫を感じたい。
 望美は求めるように、腰を激しく動かした。
 将臣は収縮する望美の入り口を見るなり、少し武骨で器用な指を差し入れる。
 胎内をしっかりと掻き混ぜられて、望美は嬌声を上げた。
 指をきゅっと締め付けて、その圧迫を感じる。もっともっと熱い将臣がほしくて、望美は飢えた獣のように求めた。
 将臣は指を二本に増やすと、胎内の奥をくすぐりはじめる。絶妙なリズムで突かれてしまい、頭の奥で何かが突き抜けてしまうぐらいに感じた。
「あっ…、ま、将臣く…んっ!」
 躰が弛緩し、肌が化学変化を起こす前兆のようにざわめく。
 涙が瞳から零れ落ち、望美は自分でも訳が解らないぐらいに感じていた。
 視界に靄がかかり、光を帯びてくる。
 将臣の指も、舌も、何かにかきたてられているかのように動きが活発になった。
「…ま、将臣く…っ!」
 今までリアルなぐらいに感じていた将臣の愛撫が、まるで夢のなかにいるかのようになる。
 ふわふわと躰が浮き上がり、まるで空の上を飛んでいるかのようだった。
 何もかもが熱くなり、揺れている。
 熱くてどうしようもない。
 とけるぐらいに将臣を愛している。だからとことんまでバターみたいにとろけさせて欲しかった。
 競り上がる気持ち良さに、望美は意識にしがみつくことが出来ない。
「…あっ、ああん!」
 何かが望美のなかでプツリと切れる。
 腰が浮き上がると、そのまま沈み込んでしまった。
 冷たくて意識を戻すと、派手に快楽の印を吹き出してしまっていたようだ。
 将臣は面白そうに笑うと、濡れた部分を舐めた。
「欲しいか? 俺が」
「欲しいよ」
 望美が素直に言えば、将臣はご褒美のように唇にキスをした。
 脚をだらりと広げたままの場所に、将臣が躰を入れてくる。口でスキンの袋を破ると、素早くそれを付ける。手慣れた仕草に恥ずかしくなるが、その艶やかさに望美は夢中にならずにはいられなかった。
 そのまま熱くたぎったシンボルを押し当てると、望美の胎内に入ってきた。
「あっ、あっ、ああっ…!」
 待望の圧迫が入りこみ、望美は至福を感じる。
 胎内の奥にくるたびに、将臣は熱くて大きくなってきた。
 すっぽりと情熱が入り込むと、将臣はこのうえなく優しく動き始める。
「ん…っ!!」
 指先まで熱が充満する。息をすることすら忘れそうになるぐらいの快楽に、望美はしがみつくしか出来なかった。
 花冷えをする宵なのに、ふたりの熱で寒くない。望美は官能に震えながら、背中に爪を立てた。
「…望美…っ!」
 将臣は苦しげな声を出すと、最奥を激しく突き上げ始める。部屋に響き渡る水音が、とてもいやらしい。
 だがもっと音を立てて欲しかった。
 望美は将臣をしっかりと締め付けながら、与えられる熱を総て飲み込んでいく。
 もっと将臣が欲しくて、深い場所に導いていった。
「やっ…! ああっ!」
 瞼の裏に星がきらきら光る。将臣に痛いぐらいに突き上げられ、望美は総ての快楽を飲み込む。
 そのまま快楽の強さに、沈み込んだ。

 将臣が耳たぶにキスをしてくる。
「…今夜は泊まっていけよ」
「将臣くんがそう言うのは初めてだよね」
 望美は心地良い熱を躰に抱きながら、ぽつりと呟いた。
「そりゃ決まってる。おじさんとおばさんに安心感を植え付けるためだ。じゃねぇと次のステップになんか、進めやしねぇからな」
 次のステップ。
 何だか想像するだけで、楽しくドキドキする。
「次のステップって?」
「決まってるじゃねぇか。同棲するんだよ。二十歳過ぎたら、お前とここに住むつもりで、実績を積んでいたんだよ」
 背後から抱きしめられると、まるであやされるみたいに安心する。
「…一緒に暮らさねぇか?」
 低い声で魅力的に囁かれたら、選択肢なんてないではないか。
「いいよ…」
「マジか?」
「うん」
 将臣は余程嬉しかったらしく、望美を笑いながら抱きしめる。
「前言撤回はなしだぜ」
「解ってるよ」
 将臣は望美を抱き上げ、裸のままで窓辺に向かう。
「この月と桜が承認だからな」
「うん」
「俺達の婚約の承認だ」
 望美が何かを答える前に、将臣はキスをしてくる。
 近いキスは何だか桜色がする。
 この桜と月を望美は二度と忘れないと思った。

お花見です。
わしはベランダ花見






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