翌日、何だかふわふわした気分で、アンジェリークはアリオスの経営するレストランに向かった。 昨日、アリオスさんとキスしたんだ・・・、私・・・。 指先で唇に触れると、妙にドキドキとしてしまう。 想像通りの触感だったアリオスの唇を思いだし、アンジェリークは恥ずかしくて転げ回りたくなった。 いつものくせで柱の影から、ついついアリオスを覗いてしまう。 アリオスがいつものようにサングラス姿で出てきた。 その精悍な姿に、アンジェリークは見惚れてしまう。 やっぱりカッコいいな・・・。 昨日のあれは夢だったのかな・・・。 「おい」 しみじみとした思いに浸っていると、急に背後から声を掛けられてびっくりした。 「あ、アリオスさん!?」 「恋人同士の間に、敬称はいらねえぜ」 いきなり手をとられて、アンジェリークは息を詰める。 「ァ、アリオス・・・」 名前を呼ぶと、アリオスはほんの少し、笑ってくれたような気がした。 「せっかく来てくれたんだからな。デートしようぜ」 「アリオス、休憩しなくていいの?」 「休憩がてらだからな。気にすんな」 頬を僅かに赤らめるて頷けば、アリオスは手を引いてどこかへ連れていってくれる。 「俺のとっておきの休憩場所だ」 「嬉しい〜!」 心の奥底からの笑顔を向けてくれるアンジェリークが可愛くて、アリオスは栗色の髪をくしゃりと撫で付けた。 アリオスが連れていってくれたのは、なんと彼の自宅マンションだった。 窓から見える緑が多くて、とても心地がよい場所だ。 「ゆっくりしてくれ。いつも昼飯食って、ここで居眠りするんだ」 「そうなんだ・・・」 アリオスの城は想像通り何もなく、良く言えばシンプル、悪く言えば殺風景だ。 「適当にクッションかソファに座ってくれ」 「うん」 きょろきょろと周りを見ながら、アンジェリークはどきどきとしてしまう。 「おまえは飲みものは何が良い? ミルクティーぐらいだったら出せるぜ?」 「じゃあそれで」 手伝いたくても言い出すタイミングが掴めない。 アンジェリークがもじもじとしているうちに、アリオスがトレーを持ってきてくれた。 「ほら、アイスミルクティー」 「有り難う」 アンジェリークが受け取ると、アリオスはその横に座った。 「おまえも食うか?」 アリオスが勧めてくれたのは、魅力的な賄いサンドウィッチ。 「ちょっただけ」 「ほら」 アリオスから受け取ったサンドイッチはとても美味しそうで アンジェリークはすぐにぱくついた。 「美味しい〜!」 「自慢だからな」 肩を触れ合いながら、サンドイッチをぱくつく。 凄くどきどきして、アンジェリークは胸がいっぱいになってしまった。 「さてと。昼寝でもするか。おまえも一緒にしようぜ」 「え!?」 いきなりアリオスが床にごろりと寝たので、アンジェリークは焦ってしまう。 「アリオスっ!」 「・・・寝ようぜ」 手をぎゅっと握り締められて、アンジェリークは甘い緊張を感じながら、一緒に隣に横になった。 その瞬間、ぎゅっと抱き締められる。 「おまえ、すげー温かいな・・・」 「アリオス」 「安心して眠れそうだ」 少し恥ずかしそうにしながら、アリオスの腕の中に治まった。 彼の温もりがあれば、安心出来る。 アンジェリークはゆっくりと瞳を閉じ、眠りに落ちていった。 「アンジェリーク」 名前を呼ばれた気がして目をゆっくり開けると、アリオスがじっと見ている。 余りにも恥ずかしくて、アンジェリークは咄嗟に顔を隠した。 「時間だ」 「あ、ごめんなさい」 アリオスはそっとアンジェリークを起こしてくれる。 「もう少しこうしておきてえが、すまねえ、仕事だ…」 「うん・・・」 返事をしようとして、アンジェリークはアリオスに唇を奪われた。 「デザートだ・・・」 「んっ!」 軽く唇を奪われた後、今度は深い角度で侵入してくる。 何度もキスをされて開放されたときには、息が上がっていた。 「また、練習してやるよ」 「うん」 頭をぼんやりさせて、アンジェリークはただ頷くだけ。 「今度のデートはちゃんとしたものにするから」 「うん・・・、有り難う・・・」 アンジェリークは愛らしくコクリと頷いてアリオスを見る。 彼はしばらく黙っていたが、すぐに甘いキスを送ると、アンジェリークの手を取って、仕事に向かう。 ほんの僅かな時間だったが、アンジェリークにとっては素敵な時間になった。 何度か、このようなデートとは少し言いがたいようなデートをして、いよいよアリオスとの本格的なデートの日。 アンジェリークの皇子さまは、約束の時間に車で迎えに来てくれた。 「今日は海に行こうぜ。少し早いけれどな」 「うん」 自然とした流れで、助手席にのせてくれる。 初めて乗るアリオスの車は、とても乗り心地の良い。 高級スポーツカーというのもあるが、やはり、アリオスの運転の巧みさもあった。 車を運転するアリオスをじっと見つめるだけで、アンジェリークは幸せだ。 今日はいつもよりもめいいっぱいお洒落をしてきたつもりだ。 大人であるアリオスに自分をしっかりと見つめて欲しいから。 アンジェリークはまだまだ背伸びをしたい年頃だった。 色々ととりとめのないことを話していると、すぐに目的地に到着した。 車で2時間ほど走って着いた海は、 感動ものだ。まだ少し時期には早いので、人が少なくて良い。 「アリオス、海っ!!!」 見るなり嬉しいそうに走り回る彼女が可愛くて、アリオスはフッと微笑んだ。 少し先まで走っていくと、アンジェリークはふと足を止める。 近くにとても仲が良さそうなカップルが、手を繋いで楽しそうにしている。 男が甘い言葉を囁いているのが聞こえて、アンジェリークはドキリとした。 ・・・そう言えば、私たちってちゃんと恋の言葉を囁いていなかったな・・・。 変なカップ麺が、私たちを繋いでくれただけ。 しかも、私の願いをアリオスがきいてくれた形だもの・・・。 後ろからゆっくりと歩いてきたアリオスが、追いついてきた。 「アリオス・・・」 「何だ?」 横に立ったアリオスをアンジェリークは見上げる。 「アリオスのこと・・・、大好きよ」 「サンキュ」 アリオスはアンジェリークの小さな手を包み込むようにギュッと握ることで、返事をした。 温もりで伝えるのもいいが、今はちゃんとした言葉が欲しい。 「・・・アリオスは、私のことが好き?」 さりげなく訊いてみるが、アリオスはいつも通りだ。 「こんなところで言う台詞じゃねえだろ?」 「…でも訊きたいの!!」 アンジェリークはアリオスを真剣に見やったが、彼は何も答えない。 「ねえ! どうして答えてくれないの!? ねえ!!」 アリオスの態度に業を煮やして、アンジェリークは迫った。 「…アリオス、・・・やっぱり私があなたのご主人様だから・・・。そうよね? だから付き合ってくれていたの・・・?」 泣きそうになってアンジェリークは声を震わせて言う。 切なすぎて、この場で崩れ落ちてしまいそうになる。 「…んな無駄な口を叩く唇にはこうだ…」 「あっ!!」 気が付くと、アリオスに烈しく唇を奪われていた-------- TO BE CONTINUED… |
コメント 172000のキリ番を踏まれたかなこ様のリクエストで、 お湯をかけるとあらビックリ!即席アリオスです(笑) アリさん登場! この後は甘いお話になる予定ですので、宜しくです〜。 |