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素肌で抱き合っている、自分とアリオスの姿を目の当たりにして、アンジェリークは羞恥が込み上げてくるのを感じた。 とても口には出来ない、神秘的な不思議な行為をアリオスとの間で持ったのだ。 胎内の奥深い場所がアリオスで満たされ、甘く鈍い感覚があるが、それもまた悪くない。 瞳を閉じているアリオスを見る。 とても綺麗な顔をしていて、ドキリとした。 アリオスって、睫も凄く長いな・・・。 羨ましいぐらい・・・。 アンジェリークはアリオスの横顔をまじまじと見つめ、とても幸せな気分になった。 「おい・・・」 「やんっ」 不意に強く抱きすくめられて、心臓が甘い鼓動を刻む。 「アンジェ・・・」 甘いキスを受けて、アンジェリークは躰を震わせる。 アリオスにたっぷりと愛されて、甘く震えた躰は、再び彼を求めた。 肌も躰の奥深いところも。 すべて。 華奢な躰を逞しいアリオスのそれに乗せられて、背中を撫でられる。 甘い感覚が全身を襲い、とけてしまいそうだった。 「もう少しゆっくりしていこうぜ。何だったら泊まってもかまわねえし」 「うん。ゆっくりしたい」 柔らかな肌にアリオスをゆっくりと刻み付けたい。 行ってしまった時に、いっぱいいっぱい思い出せるように。 ぎゅっとアリオスに抱き付くと、抱き返してくれた。 「もうこんな良い女は放したくねえな」 「ホント?」 アンジェリークは潤んだ瞳をアリオスに向け、真意を確かめる。 「もともとはこの街も候補だったが、おまえがいるからここにいようって決めた」 「いいの?」 嬉しくもあり、アンジェリークは少し切なくもある。 この街を本当に気にいってくれて、彼が納得した上でいてくれているのか。 そう思うと少し切ない。 「アリオス、私が、あなたの行きたい場所に行くことを許してくれたら、どこにでも着いていくわ。最初は遠距離になっちゃうかもしれないけれど・・・」 「バカ。変な気を回すな。俺はおまえと一緒にいてえし、何よりもこの街を気にいったからここに決めたんだ」 「うん・・・」 それを聞いて少しほっとした。 アリオスとずっと一緒にいることが出来る。 それが本当に嬉しくてしょうがなかった。 「アンジェ、この屋敷で一緒に暮らさねえか?」 「え!?」 そんなことを考えてみたこともなくて、アンジェリークは驚いてアリオスを見た。 喜びが全身を駆け抜けていく。 「いいの?」 「ああ。この屋敷はずっと暮らすことが出来る場所だ。ここには”永遠”がある・・・」 これにはアンジェリークは同意しコクリとしっかりと頷く。 「子供が生まれて、育って、出ていった後も、ふたりでずっといられる空間だ」 「うん」 本当にアリオスが言う通りに思える。これからの人生を歩むには、十分過ぎるほど素晴らしい。 「おまえが学校をちゃんと卒業したら、ここで暮らそうぜ」 「はい。凄く素敵ね」心からそう思える。アンジェリークはアリオスに更に抱き付くことで深い同意を示す。 「おまえと再会して、すっかりいかれちまったみてえだ・・・。おまえを一番愛してる」 大好きなアリオスの甘く低い声に、幸せの余りに涙が滲んだ。 「・・・私は出会った時からずっとアリオスが好きだったんだから・・・」 ぎゅっとアリオスに抱き付いて、アンジェリークはその胸に顔を埋める。 「おまえが高校を出たら、この家に引き込むからな」 「一年も先なのね。もっと早く一緒になりたいけど、仕方無いわよね・・・」 「俺だって同じだ。だが、早く暮らそうと思えば、暮らせないことはねえんだけどな…」 アリオスは言葉を濁すと、アンジェリークを意味深に見つめた。 「何?」 「いいや、おまえの為にもやめておいたほうがいいかもしれねえな」 「何よ? 教えて?」 アリオスが余りにも口ごもるので、アンジェリークは心配そうに見つめる。 「ねぇ?」 アンジェリークが余りにもねだるものだから、アリオスはそっと耳打ちをした。 「あのな・・・」 低い声で囁かれた言葉の意味に、アンジェリークはほんのりと頬を赤らめる。 「・・・アリオス、私は構わないよ・・・」 少し照れの入ったアンジェリークの言葉に、アリオスはぎゅっと抱き締める。 「サンキュ。アンジェ、おまえは俺が初めて、本当の意味で抱いた女だぜ・・・」 二年後、ふたりは屋敷で幸せに暮らしている。 「ほら、パパがしっかりと掴んでやってるからな、もっとばたばた足を動かして見ろよ」 小さな子供が思い出のプールでぱしゃぱしゃとばた足の練習をしている。 ようやく一歳になろうかという我が子に、アリオスはばた足を教えていた。 「上手だぜ、ママとはえらい違いだな。おまえはやっぱり俺にそっくりだぜ」 ふたりの間に生まれた子供はようやく一歳になろうとしている。 アリオスが子作りに励み過ぎたのか、こうしてふたりはすぐに一緒になることが出来た。 そう、アリオスが提案したのはなんと子作りだったのだ。 「アリオス、そろそろ上がらないと風邪を引くわ」 アンジェリークが幸せそうに微笑みながら、バスタオルを持ってプールにやってきた。 今は学生をしながら、アリオスの妻と子供の母として奮闘している。 アンジェリークのその姿を見ると、アリオスは幸せを感じずにはいられなかった。 「そうだな。上がるか」 アリオスは息子をすぐにアンジェリークに渡すと、バスタオルで水分を拭き取られる。 「アリオス、はい、タオル」 「サンキュ」 アリオスは妻からタオルを受け取ると、プールから出た。 「なかなか筋が良いぜ? おまえと違ってな」 「もうアリオスの意地悪!」 アンジェリークが頬を膨らます姿は、母親になっても変わらない愛らしいものだ。 こんなに幸せなのはおまえのお陰だ…。 おまえと結婚して、俺はこんなに幸せだ。 俺を幸せにしてくれて、サンキュ…。 アリオスは微笑むとアンジェリークに甘いキスをした。 アンジェリークもそれに応えるように微笑む。 ただ微笑みだけで、ふたりは総てを理解出来る。 「すげえ幸せだぜ」 「わたしも…」 ちいさな頃から大好きだった人と結ばれたアンジェリークは、今、幸せで堪らない。 想い出のプールを見つめながら、これから紡ぎ出す幸せに想いをはせながら、愛するアリオスと息子にとびきりの笑顔を送った。 |
| コメント 夏休みの恋物語です。 今年は甘酸っぱい恋をお届けします〜。 ちなみにタイトルは久々にBeatlesの初期の曲からです。 次回は別館になる予定です(笑) |