From Me To You

6


 素肌で抱き合っている、自分とアリオスの姿を目の当たりにして、アンジェリークは羞恥が込み上げてくるのを感じた。
 とても口には出来ない、神秘的な不思議な行為をアリオスとの間で持ったのだ。
 胎内の奥深い場所がアリオスで満たされ、甘く鈍い感覚があるが、それもまた悪くない。
 瞳を閉じているアリオスを見る。
 とても綺麗な顔をしていて、ドキリとした。

 アリオスって、睫も凄く長いな・・・。
 羨ましいぐらい・・・。

 アンジェリークはアリオスの横顔をまじまじと見つめ、とても幸せな気分になった。
「おい・・・」
「やんっ」
 不意に強く抱きすくめられて、心臓が甘い鼓動を刻む。
「アンジェ・・・」
 甘いキスを受けて、アンジェリークは躰を震わせる。
 アリオスにたっぷりと愛されて、甘く震えた躰は、再び彼を求めた。
 肌も躰の奥深いところも。
 すべて。
 華奢な躰を逞しいアリオスのそれに乗せられて、背中を撫でられる。
 甘い感覚が全身を襲い、とけてしまいそうだった。
「もう少しゆっくりしていこうぜ。何だったら泊まってもかまわねえし」
「うん。ゆっくりしたい」
 柔らかな肌にアリオスをゆっくりと刻み付けたい。
 行ってしまった時に、いっぱいいっぱい思い出せるように。
 ぎゅっとアリオスに抱き付くと、抱き返してくれた。
「もうこんな良い女は放したくねえな」
「ホント?」
 アンジェリークは潤んだ瞳をアリオスに向け、真意を確かめる。
「もともとはこの街も候補だったが、おまえがいるからここにいようって決めた」
「いいの?」
 嬉しくもあり、アンジェリークは少し切なくもある。
 この街を本当に気にいってくれて、彼が納得した上でいてくれているのか。
 そう思うと少し切ない。
「アリオス、私が、あなたの行きたい場所に行くことを許してくれたら、どこにでも着いていくわ。最初は遠距離になっちゃうかもしれないけれど・・・」
「バカ。変な気を回すな。俺はおまえと一緒にいてえし、何よりもこの街を気にいったからここに決めたんだ」
「うん・・・」
 それを聞いて少しほっとした。
 アリオスとずっと一緒にいることが出来る。
 それが本当に嬉しくてしょうがなかった。
「アンジェ、この屋敷で一緒に暮らさねえか?」
「え!?」
 そんなことを考えてみたこともなくて、アンジェリークは驚いてアリオスを見た。
 喜びが全身を駆け抜けていく。
「いいの?」
「ああ。この屋敷はずっと暮らすことが出来る場所だ。ここには”永遠”がある・・・」
 これにはアンジェリークは同意しコクリとしっかりと頷く。
「子供が生まれて、育って、出ていった後も、ふたりでずっといられる空間だ」
「うん」
 本当にアリオスが言う通りに思える。これからの人生を歩むには、十分過ぎるほど素晴らしい。
「おまえが学校をちゃんと卒業したら、ここで暮らそうぜ」
「はい。凄く素敵ね」心からそう思える。アンジェリークはアリオスに更に抱き付くことで深い同意を示す。
「おまえと再会して、すっかりいかれちまったみてえだ・・・。おまえを一番愛してる」
 大好きなアリオスの甘く低い声に、幸せの余りに涙が滲んだ。
「・・・私は出会った時からずっとアリオスが好きだったんだから・・・」
 ぎゅっとアリオスに抱き付いて、アンジェリークはその胸に顔を埋める。
「おまえが高校を出たら、この家に引き込むからな」
「一年も先なのね。もっと早く一緒になりたいけど、仕方無いわよね・・・」
「俺だって同じだ。だが、早く暮らそうと思えば、暮らせないことはねえんだけどな…」
 アリオスは言葉を濁すと、アンジェリークを意味深に見つめた。
「何?」
「いいや、おまえの為にもやめておいたほうがいいかもしれねえな」
「何よ? 教えて?」
 アリオスが余りにも口ごもるので、アンジェリークは心配そうに見つめる。
「ねぇ?」
 アンジェリークが余りにもねだるものだから、アリオスはそっと耳打ちをした。
「あのな・・・」
 低い声で囁かれた言葉の意味に、アンジェリークはほんのりと頬を赤らめる。
「・・・アリオス、私は構わないよ・・・」
 少し照れの入ったアンジェリークの言葉に、アリオスはぎゅっと抱き締める。
「サンキュ。アンジェ、おまえは俺が初めて、本当の意味で抱いた女だぜ・・・」


 二年後、ふたりは屋敷で幸せに暮らしている。
「ほら、パパがしっかりと掴んでやってるからな、もっとばたばた足を動かして見ろよ」
 小さな子供が思い出のプールでぱしゃぱしゃとばた足の練習をしている。
 ようやく一歳になろうかという我が子に、アリオスはばた足を教えていた。
「上手だぜ、ママとはえらい違いだな。おまえはやっぱり俺にそっくりだぜ」
 ふたりの間に生まれた子供はようやく一歳になろうとしている。
 アリオスが子作りに励み過ぎたのか、こうしてふたりはすぐに一緒になることが出来た。
 そう、アリオスが提案したのはなんと子作りだったのだ。
「アリオス、そろそろ上がらないと風邪を引くわ」
 アンジェリークが幸せそうに微笑みながら、バスタオルを持ってプールにやってきた。
 今は学生をしながら、アリオスの妻と子供の母として奮闘している。
 アンジェリークのその姿を見ると、アリオスは幸せを感じずにはいられなかった。
「そうだな。上がるか」
 アリオスは息子をすぐにアンジェリークに渡すと、バスタオルで水分を拭き取られる。
「アリオス、はい、タオル」
「サンキュ」
 アリオスは妻からタオルを受け取ると、プールから出た。
「なかなか筋が良いぜ? おまえと違ってな」
「もうアリオスの意地悪!」
 アンジェリークが頬を膨らます姿は、母親になっても変わらない愛らしいものだ。

 こんなに幸せなのはおまえのお陰だ…。
 おまえと結婚して、俺はこんなに幸せだ。
 俺を幸せにしてくれて、サンキュ…。

 アリオスは微笑むとアンジェリークに甘いキスをした。
 アンジェリークもそれに応えるように微笑む。
 ただ微笑みだけで、ふたりは総てを理解出来る。
「すげえ幸せだぜ」
「わたしも…」

 ちいさな頃から大好きだった人と結ばれたアンジェリークは、今、幸せで堪らない。
 想い出のプールを見つめながら、これから紡ぎ出す幸せに想いをはせながら、愛するアリオスと息子にとびきりの笑顔を送った。
コメント

夏休みの恋物語です。
今年は甘酸っぱい恋をお届けします〜。

ちなみにタイトルは久々にBeatlesの初期の曲からです。

次回は別館になる予定です(笑)





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