*愛してるからしょうがない*

後編


 花の蜜よりも甘い肢体を抱き締めて、孟徳は自分はなんて幸せ者なのだろうかと思う。

 愛する女性を手に入れることが出来たのだから。

 皇帝よりも、丞相よりも、何よりも欲しいものは花だ。

 花以外に何が必要なのだと言うのだろうか。

 花と穏やかな時間を過ごすことが出来るのであれば、他に何もいらないのではないかと、孟徳は思った。

 こうして花の胎内に入って、自分だけのものであることを刻み付けて、熱い精を愛する者に植え付けるだけでも、なんて嬉しいのだろうかと思う。

 もう花以外はいらない。

 花だけに自分の精を注ぎ込みたいと、孟徳は思わずにはいられなかった。

 こうして花の裸を直に抱き締めているだけで幸せだ。

 柔らかな肌を独り占めするだけでも嬉しかった。

 

 躰の奥が熱くて怠い。

 花は鈍い快楽を感じてしまう。

 迸る力強さが印象的だった。

 ゆっくり目を開けると、孟徳が幸せそうなまなざしをこちらに向けていた。

「…大丈夫かな?」

「あ、あの大丈夫です…」

 花がはにかんだままで、孟徳を見上げた。

 すると孟徳は思わせぶりに、花の躰のラインに触れ、抱き寄せる。

「俺は今、君が欲しい。…君が今、一番欲しいものは?」

 真直ぐ言われて、花の鼓動は激しくなる。

「…孟徳さん…、あなたが欲しい…」

「良い子だね、花は…。たっぷりとご褒美をあげないとね」

 孟徳は甘い声で囁くと、花の唇を奪った。

 唇を激しく吸い上げられ、ぷっくりと脹れてしまう。

 それでも心地好いと感じてしまうのは、やはり孟徳のキスの巧みさ故であろう。

 深めのキスをした後、ふたりは浅いが何度も激しく唇を重ね合わせる。

 孟徳の大きな掌は、花の躰を這い回って愛撫を重ねた。

 乳房を下から上に持ち上げられたかと思うと、張り詰めるまで揉み上げられる。

 孟徳は何度も幸せそうに花の胸に頬擦りをした。

「…花…」

 孟徳は、花の柔らかな乳房の感触を味わいながら、うっとりと手のひらで先端の薔薇色の蕾を愛撫する。

 ほんのりと愛撫をされただけで、花の柔らかな肢体は何度も跳ね上がった。

「…花…、君は最高だよ…」

 孟徳は感嘆の息を零しながら、花を絶賛する。

 孟徳に愛されて、褒められるだけで、花は世界で一番美しい女性なのだと思えた。

 花にとっては、夫の孟徳に美しいと思って貰えたら、他にはなにもいらなかった。

 花は躰の奥から熱い蜜が作られて、孟徳を激しく求めているのを感じた。

「愛しているよ、花」

 孟徳は、花の全身にくまなくキスをしてくる。

 白い肌に自分のものだということを、何度も刻み付けてくる。

 それが嬉しい。

 孟徳は特に柔らかな女性の象徴である乳房に、自らの刻印を強くつけた。

 これほどまでに求められると、花は女冥利に尽きると思う。

 孟徳は、花の薔薇色の蕾を口に含むと、吸い上げたり、舌先で転がしたりする。

 愛撫がズンズンと腰に伝わって、花の躰は快楽によって震え始めた。

 孟徳が熱い蜜の滴る場所に、指を伸ばしてきた。

 既に孟徳への欲望でひくひくと震えている花びらを指先で押し広げて、彼は中心を見つけだし、じっくりと見つめた。

「…見ないで下さい…」

 恥ずかしくて涙が零れてしまいそうだ。

 孟徳への欲望に震えるそこを、余り見て欲しくはないと思った。

「…どうして? とっても綺麗なのに…」

 孟徳は艶やかさと無邪気さが同居するような声で呟くと、中心を指先で柔らかに愛撫した。

 なぶるように刺激が与えられて、花は頭がくらくらした。

「…孟徳さんっ…!」

 追い詰められてゆく花に、孟徳はくすりと笑うと、指先を胎内にとっぷりと挿入させてきた。

「…やっ…!」

「今日は随分、俺を求めているね…。既にちゃんと準備が出来ている…」

「あっ、んんっ…!」

 孟徳は指の数を少しずつ増やして、花を甘やかに熱く煽り続ける。

 期待していたものとは違うのに、花のそこは勘違いをして締め付ける。

 孟徳の指は花の反応を楽しむかのように、内壁をくすぐってきた。

 お腹の奥が痛いぐらいに感じてしまい、花は何度も腰を動かした。

 孟徳の指先が動く度に、花の華奢な指先は何度となく揺れる。

 淫らな水音が激しくなり、花は更に高みへと追い詰められる。

 切ないぐらいに熱くて鈍い快楽に、花はもう何も考えられなくなった。

 そのまま腰を大きく浮かせて躰を震わせると、孟徳の指を締め付けたまま、達した。

 意識が朦朧としている中で、孟徳は指を引き抜いた。

 蜜がとろとろに指先に絡み付いて光っている。

 それだけ孟徳を欲していたということになる。

 孟徳は、蜜で光る指先をあからさまに花に見せつけると、意地の悪い笑みを浮かべた。

「…花…」

 恥ずかしくて、花は正視することすら出来ない。

 孟徳は蜜で光る指先を、丁寧に舌で舐めた。

 余りに官能的な仕草で、花は真面に見られない。同時に生唾が出てしまうぐらいに、欲望を掻き立てられた。

「…孟徳さんの意地悪…」

 花が拗ねるように言うと、孟徳はくすりと笑う。

「意地悪じゃないでしょ? 俺は…」

 孟徳は何処か楽しげに言うと、花を抱き寄せて、中心に欲望の楔を押しつけてきた。

「…やっ…!」

 こんなにも欲望が滲んだモノを押しつけられると、思わず息を呑んでしまう。

 同時に孟徳が欲しくて堪らなくなり、早く受け入れたくて、腰を揺らした。

 淫らな行為なのは解ってはいる。

 だが、それほどまでに孟徳が欲しくてたまらないのだ。

 ここまで誰かを欲しいと思ったのは、孟徳だけだ。

 恥ずかしい行為が平気で出来てしまうぐらいに彼が欲しいのだ。

「花…君は何が欲しいのかな?」

 孟徳は花を焦らすように入口をなぞってくる。

 きちんと伝えなければ、花が本当に欲しいものをこのひとはくれないだろう。

 それがよく解っているからこそ、花ははしたなくても口にする。

「…孟徳さん…あなたが欲しいです…」

「うん。俺も花が欲しいよ。堪らないぐらいにね」

 孟徳はフッと微笑みながら言うと、胎内にゆっくりと入ってきた。

 ずっと待ち構えていたものが胎内に挿入されて、花は歓喜と共にそれを迎える。

 孟徳でいっぱいになるのが幸せだ。

 孟徳の情熱を深く感じられるのが、花は嬉しくてしかたがなかった。

「…花…」

 花は孟徳を強く締め付ける。

 息が出来ないぐらいの圧迫に、我を忘れてしまいそうだ。

 孟徳は、花の総てが自分のものであることを分からせるかのように、激しく突き上げてくる。

 孟徳の綺麗な肩にすがりつきながら、花は息を乱した。

 武人にしては華奢だからだと気にしているが、花は充分に逞しくて綺麗だと思った。

 お互いに汗を滲ませながら、激しく絡み合う。

 愛しているから、ただお互いが欲しいのだ。

 孟徳は花の総てを奪うように、何度も突き上げてきた。

 目眩がしてしまうほどに感じて、花は躰がとろとろに溶けてしまうかと思った。

「…花っ…!」

 お互いにひとつになる限界のところまで結ばれて、息苦しくなる。

 こんなにも気持ちが良い交わりは他にはない。

 孟徳は更に激しく花を突き上げてきた。

 頭が痺れるほどの快感に、花は躰を細胞の奥から震わせる。

 そのまま意識を快楽へと溶かしてゆく。

 花は孟徳が与えてくれる熱い精を受け取りながら、微笑んだ。

 

「三日間だけなのにね。無理をさせちゃったみたいだね」

 孟徳はフッと微笑むと、眠る花をそっと抱き寄せる。

 これ以上の幸せはないと思いながら。



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