*愛してるからしょうがない*

中編


 甘いキスは花を幸せな気分になる。

 うっとりとした気分で、花は孟徳からのキスを受け、自らもキスをする。

「…花…、余り、俺を刺激しないでくれるかな?」

 孟徳は困ったように呟くと、花の頬に口づけた。

「流石に俺の為に開かれる宴に、夫婦揃っていなくなるのは拙いだろうからね」

「そうですね」

 確かにそうだ。

 それにふたりが何故いないのか、理由が解る者たちが大半だろう。

 そんなこともあり、花は恥ずかしい想いをするのが嫌で納得もした。

「折角、開いて下さる宴ですから、楽しみましょうか」

「そうだね」

 孟徳はしょうがないとばかりに頷いた。

「花、これ以上ふたりでくっついていたら拙いから、宴の支度をしようか」

「そうですね」

 花は頷くと、孟徳を笑顔で見つめた。

「だからその笑顔には弱いんだよ」

 孟徳は困り果てたとばかりに、苦笑いを浮かべる。

「三日も君を我慢したんだから、もう爆発する寸前なんだよ。だから、少し…ね?」

 孟徳は何とか自分自身を抑えているようで、その姿がとても可愛らしかった。

「解りました。では、後ほど宴で」

 花が首を片側に倒して微笑むと、孟徳はいきなり抱きすくめてきた。

「えっ!? あ、あのっ!」

「だから君にこんなにも可愛い笑顔を向けられたら堪らなくなるんだって…。解った花…。今直ぐ爆発してしまいそうになるぐらいに、君が欲しいんだから」

 孟徳は呻くように言うと、花から離れた。

「じゃあ後でね」

 孟徳は、緊急避難的に花の室から慌てて出て行く。

 それだけ孟徳が花を求めてくれていたことが、嬉しくてしょうがなかった。

 花はひとりになり、宴の支度をする。

 三日間床を共にはしなかったが、ふたりが同じ気持ちでいられたことが、花には何よりもの土産になった。

 

 いよいよ宴だ。

 花は孟徳の為に、なるべく気品良く着飾った。

 やはり天下の丞相の妻である以上は、美しくなければならないと思う。

 宴が催される会場に入ると、直ぐに孟徳が迎えにきてくれた。

「孟徳さん…」

「…花…、先ほどよりもずっと綺麗だよ。嬉しいよこんなに綺麗で」

 孟徳がストレートに褒めてくれるのが嬉しくて、花は思わず微笑んだ。

「有り難うございます」

「うん」

 孟徳は花の手をしっかりと握り締めると、そのまま席へと案内してくれた。

「どうぞ、花」

「有り難う」

 孟徳は花を直ぐ横に座らせると、そのまま手をギュッと抱き締めてくる。

 花が何処にも行かないようにと囁いているかのようだった。

「孟徳様!」

 正妻の花が横にいて、しかも孟徳が手をしっかりと握り締めているというのに、侍女たちは構わずに孟徳のところへとやってくる。

「ごめんだけれど、俺は花だけで充分だ。他の者たちの相手をしてやってくれ」

 孟徳は素っ気なく言うと、侍女たちを追い払ってしまったのだ。

「良いのですか?」

「ああ。俺は花だけで十分だからね」

 孟徳はいけしゃあしゃあと言ってのける孟徳が、嬉しかった。

「俺は一生、花以外の奥さんはいらないからね」

「有り難う…」

 孟徳は終始笑顔だった。

 ふたりで一緒にいるだけで、本当に楽しむことが出来た。

 孟徳がちらりと花を見つめる。

「そろそろ室に戻らないか?」

 花は宴会場を見回す。

 するとそろそろお開きな雰囲気が出始めていた。

「そろそろ部屋に戻ろうか?」

 孟徳は既に痺れを切らしている。

 花は、そろそろ室に戻らなければ限界だろうと思った。

「そろそろ、行きましょうか」

「そうだね」

 花に同意を得た瞬間に、孟徳は可愛らしい少年のような無邪気な表情になる。

 本当に愛らしくて、花はいつまでもこの表情が見たいと思った。

 あくまでさりげなく、ふたりは宴から抜け出す。

 廊下を出ると、お互いに顔を見合わせて笑った。

「ようやく抜け出せたね」

「本当に!」

 花は抜け出せて楽しくすら思った。

 ずっと孟徳とふたりきりになりたかったのだから、当然だ。

 花は夜空を見上げて笑った。

 

 夜空を見上げて笑う花の横顔を見るだけで、孟徳は幸せになれた。

 余りにも美し過ぎてつい見惚れてしまう。

 それぐらいに花は綺麗だ。

 三日間離れているだけで妻が恋しくてしょうがなかった。

 それ程までに花を求めている。

 今宵も沢山の侍女が宴に参加していたが、孟徳は彼女たちを少しも魅力的には思えなかった。

 彼女たちには狡猾さしか見えない。

 それに対して花は、孟徳への愛や思いやりに溢れている。

 内面が美しいからこそ、外見もどんどん磨かれていっているのだろう。

 素晴らしい妻を娶れたと孟徳は思う。

 花を死んでも離さない。

 孟徳は花を引き寄せた。

「室に行こうか」

「はい…」

 早くこの腕の中に花を閉じ込めたい。

 孟徳は胸が苦しいぐらいに欲望にかき乱された。

 室に入ると、孟徳は花をギュッと抱き締めた。

 話す余裕がないぐらいに、孟徳は花が欲しくてしょうがなかった。

「俺はもうどんな女もいらない…。花だけを侍らすことが出来たら、それで良い…」

「孟徳さん」

 花は嬉しそうに、はにかんだ愛らしい笑みを浮かべる。

 本当に可愛くて、孟徳は更にキツく抱き締める。

「…さっきの続きをしよう? 話す余裕がないぐらいに君が欲しいよ」

 花の返事を聞く前に、孟徳はその愛らしい唇を塞いでしまう。

 我ながらがっついているとは思うが、それ程までに花が欲しくてたまらない。

 いきなり花の胎内に辿り着きたいとすら思った。

 口づけは容赦しない。

 花の唇を深く吸い上げると、孟徳は一気に唇を開く。

 舌を侵入させて、口腔内を愛撫しながら、花を熱く煽った。

 花もまた孟徳の舌の動きに合わせて、絡ませてくる。

 お互いに舌を絡ませて、唾液を交換し、熱を共有する。

 ふたりは、離れていた時間が消えてしまうぐらいに密着して、濃密な愛情を交換しあった。

 花の柔らかくて華奢な、孟徳にとっては最高の躰が、熱を帯びてくる。

 花が欲しくて堪らない。

 欲望が沸騰して弾けてしまいそうだ。

 もう我慢が出来ないぐらいに欲望が沸き立つ。

 孟徳は欲望の証を花の中心に押しつけて、自分がどれ程求めているかを伝えた。

 

 キスだけで達してしまいそうになり、花は下半身に力を入れることが出来なくて、ふらふらしていた。

 孟徳にしっかりと抱き締められていなければ、立っていることが難しかっただろう。

 中心が既に熱くなって、欲望の証である蜜で潤っている。

 それを知ってか、孟徳が自身の欲望を花の熱い場所に擦り付けてきた。

「…んっ…!」

 花が呻くような甘い声を上げると、孟徳は堪らないとばかりに、花の漢服の裾を捲り上げた。

「…やっ…!」

「君が欲しくて堪らないよ…。花…、机に手を着いて」

「えっ…」

 孟徳に中心を直に触れられて、花はもうこうするしか立てなかった。

 孟徳は花の腰を引き寄せると、乱暴にもいきなり胎内に入ってきた。

「孟徳さん…っ!」

 いつもよりも猛々しい欲望に満たされて、花はもう理性を捨てる。

 孟徳にこれほどまでに求められることが、花には嬉しくてしょうがなかった。

 孟徳にいっぱいに満たされて、花は息を乱して、ただ快楽に溺れてゆく。

 孟徳の激しい突き上げに、花はしっかりと締め付けながら、無意識に腰を揺らす。

 感じ過ぎて、もう壊れてしまうのではないかと思った。

「…花…っ!」

 孟徳に強く突き上げられて、花は快楽に震えて崩れ落ちる。

 孟徳もまた、欲望を放つと花の背中に倒れ込んだ。



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