8
いつか吉羅とこうなりたいと思っていたから、何の戸惑いもない。 吉羅は慎重に香穂子をベッドに運んで静かに寝かせてくれた。 緊張する余りに心臓が縮こまり、刻むビートを早める。 ドキドキし過ぎて、どうして良いかが分からなかった。 吉羅は綺麗にプレスされたジャケットを素早く脱ぎ捨て、ネクタイに手をかける。 どうして良いかが分からなくて、香穂子は見つめることしか出来なかった。 吉羅がネクタイを緩めて、シャツのボタンを無造作に外す仕種が、どうしようもなく官能的で、香穂子は益々呼吸困難に陥る。 ときめき過ぎて、ついうっとりと見惚れてしまうではないか。 香穂子は、ただただ見つめることしか出来なかった。 自分ではどうして良いかが分からなくて、香穂子はただじっとしていた。 戸惑うまなざしを向けると、吉羅が顔を近付けてきた。 「…どうしたのかね…?」 甘く掠れた声で囁かれて、香穂子は躰の芯を熱くさせる。 「…どうして良いかが分からなくて…」 「…私に任せておけば良いんだ…」 吉羅はフッと微笑むと、そのまま香穂子のドレスに手を掛ける。 甘い緊張が全身を駆け抜けて、香穂子は思わず息を呑んだ。 「…大丈夫かね…?」 「だ、大丈夫です…」 言葉をスムーズに紡ぐことが出来なくて、香穂子は吃ってしまった。 吉羅は香穂子のドレスを素早く脱がせ、ランジェリーに手を掛ける。 秘密の領域に入り込まれるような気分になり、香穂子はかなり緊張してしまった。 生まれたままの姿にされて、吉羅が真剣なまなざしを向けてくる。 吉羅を見るだけで、香穂子は胸の奥が激しく痛んだ。 恥ずかしさと気持ちの高まりが、香穂子の躰に熱を生む。 「…綺麗だね…」 「え…?」 「君は驚くほどに綺麗だよ…」 「あ、有り難うございます」 吉羅にストレートに褒められるのはとても嬉しいことだ。 だが恥ずかしさもあるのは、慣れていないからかもしれない。 吉羅の綺麗な指先が、香穂子の肌を走る。 甘い緊張に、香穂子は思わず身体を硬くしてしまった。 「…かなり緊張しているんだね…?」 「…何もかも初めてなので…、どうして良いのかが分からないんです…」 香穂子が正直に話すと、吉羅は優しく笑って抱き締めてくれた。 ダイレクトにお互いの肌が触れ合う。なんて温かいのだろうかと、思わずにはいられなかった。 吉羅が抱き締めてくれると、緊張は何処かにいってしまう。 「…お互い様だよ…、香穂子…。私も相当緊張しているのだからね…。君と同じだ…」 吉羅はそう言うと、香穂子の唇を深く深く塞いできた。 甘いディープなキスに、それだけでくらくらとしてしまう。 香穂子は吉羅が与えてくれる官能的な世界に、次第にどっぷりと溺れていく。 肌と肌がしっかりと密着することで、お互いの熱を交換する。 それがとても気持ちが良い。 そのままうっとりとして蕩けてしまいそうだ。 吉羅の唇が、熱を帯び始めた香穂子の滑らかな肌にキスの雨を降らせてくる。 息が早くなり、どうしようもなく身体の中心が熱くなる。 吉羅にキスをされたところから、熱いものが芽生えて、全身を駆け巡る。 躰の芯からは、ハチミツのように濃厚なものがとけだしていた。 吉羅がどうしようもなく欲しくなる。 もっと激しいところで、深いところで、吉羅の総てを感じたい。 香穂子は、吉羅の総てが欲しい余りに、無意識に躰に擦り寄っていた。 痺れてしまうぐらいに熱い躰の中心が、吉羅を深く求めている。 秘密の場所が吉羅を求める余りにうずいてきた。 吉羅の手のひらが、香穂子の柔らかな乳房を捕らえた。 ゆっくりと下から持ち上げるように揉みしだかれて、頭の芯からくらくらとしてしまう。 乳房が痛いぐらいに張り詰めて、香穂子は激しく喘いだ。 「…暁彦さん…っ!」 「君は本当に柔らかくて…綺麗で…、可愛い…」 吉羅は掠れた声で呟くと、香穂子の胸の蕾をついばんた。 全身に官能的な電流が走り抜けて、香穂子は思わず華奢な背中を綺麗に逸した。 「あ、ああっ!」 吉羅から甘くて力強い愛撫を受ける度に、香穂子の理性は失われていく。 ただ、吉羅が与えてくれるものに溺れていたかった。 吉羅の指先が、もどかしいほどに欲望をたぎらせ始めている中心に触れた。 恥ずかしさと快楽に香穂子は呻き声を上げる。 指先で熱くなった中心を愛撫されるだけで、気が遠くなるほどに感じてしまう。 このまま蕩けてしまいたいとすら、香穂子は思った。 吉羅が欲しい。 もっともっと吉羅が欲しい。 熱い愛の証が流れて、香穂子は気が遠くなる。 もっともっと蕩けてみたい。 躰がギリギリまで追い詰められる。 吉羅の唇が熱い部分に触れて、愛と欲望の証を吸い上げた瞬間、一気に躰が欲望に震えて弛緩を始める。 最高に心地好い楽園へと上り詰めてゆく。 視界が白くなり、頭の中が痺れてしまい、これ以上は何も考えられなくなっていた。 心臓も肺も、どこもかしこも、快楽に向かって全力疾走をする。 揺れている。 何もかもが。 香穂子はそのまま意識を手放した。 汗が滲んだ躰を、吉羅がしっかりと抱き締めてくれていた。 その抱擁がとても心地好くて、ふわふわしてしまう。 「…君を完全に私のものにする。いいね…?」 「…はい…!」 香穂子は胸がいっぱいになる余りに吉羅を思い切り抱き締めた。 吉羅は香穂子をリラックスさせるために、額や頬にキスをしてくれる。 それがとても気持ちが良くて、香穂子は硬くなった躰から少しずつ力を抜いていった。 吉羅は香穂子の脚を柔らかく広げると、そこに自分の躰を入れる。 次の瞬間、吉羅は欲望と愛が詰まった熱い化身を、香穂子のなかに沈めた。 「…やっ…!」 初めてだからかなりの痛みが伴い、香穂子は思わず悲鳴を上げてしまった。 血が滲むほどに唇を噛み締める。 それでも吉羅には止めて欲しくはなかった。 痛みと共に、吉羅と一つになれる喜びがあったからだ。 痛みをなだめるかのように、吉羅も優しく気遣ってくれる。 それが嬉しい。 痛みの余りに涙が滲んだが、それでも喜びの余りに、香穂子は吉羅にしがみついた。 吉羅を受け入れた喜びが奇跡を生んだのだろうか。 やがて香穂子の全身を、いまだかつて経験したことがないほどの心地好さが滲んできた。 喜びが全身を駆け巡り、まるで楽園に向かっているようだ。 余りにも素敵な感覚に、香穂子は躰を震わせた。 「…吉羅さんっ…」 香穂子が縋るような気持ちでその名前を呼ぶと、吉羅は逞しくしなやかな躰を震わせながらも、力強く抱き締めてくれる。 嬉しくて涙が零れた。 吉羅はゆっくりと香穂子のなかで動き始める。 初めはこの上なく優しく、その後は激しくなっていく。 吉羅が刻み付けるリズムに、香穂子は徐々に意識を奪われていく。 全身がわななくほどに気持ちが良くて、言葉では表現出来ないほどの快楽を覚える。 吉羅にしがみついて、ひとつになる喜びに震えながら、快楽に溺れていった。 吉羅の動きが激しくなる。 何度も突き上げられて、香穂子は頭の中が真白になる。 愛している。 その想いを胸に香穂子は高みへと向かう。 このまま消えてなくなっても良いと思うぐらいの幸せを感じながら、香穂子は意識を沈めた。 このまま吉羅とずっとひとつになって、蕩けてしまったら良いのにと思いながら。 |