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怖い。 違う性を知るのが。 だがそれよりも大人の女として見られたい気持ちが勝った。 香穂子は吉羅の背中に腕を回すと、初めて女として抱き締める。 すがりつくのではない。ただ自分が愛する男を抱き締めるのだ。 香穂子が吉羅を抱き締めていると、不意に抱き上げられてしまった。 そこから何処に行くのは想像がつく。 吉羅の寝室。 香穂子にとっては、最も秘められた場所だと思った。 吉羅の寝室に入ると、ファブリックはシックな色で統一されていた。 部屋の中央には大きなダブルベッドが陣取っており、香穂子を不安にさせる。 吉羅はこのベッドで香穂子の知らない女性を抱いたのだろうか。 それを考えるだけでこころがとても重苦しくなった。 香穂子がじっと吉羅のベッドを見ていると、何を考えているのか解ったのか、くすりと笑われてしまう。 「吉羅さん…?」 「君が考えているようなことはないから心配しないように…。私はこのベッドはおろか、この部屋にすら女性を入れたことはないよ。だから君が初めてなんだよ。部屋に入れるのはね…」 吉羅の低い魅惑的な声に香穂子はうっとりとしながら見上げる。 「吉羅さん…それは本当ですか…?」 「このベッドを使う女性は、君が初めてだ」 先程までの不安なドキドキが、今度は喜びのドキドキへと変わっていく。 このベッドで吉羅に抱かれるかと思うと、幸せな震えが全身を駆け巡った。 吉羅は香穂子をゆっくりと寝かせる。 ベッドはひんやりとしていて、ほてった躰にはとても気持ちが良かった。 吉羅の欲情が揺らめく瞳で見つめられて、香穂子はベッドの上で動けなくなってしまう。 硬くなった香穂子を、吉羅は慈しむかのようにフッと笑った。 吉羅ジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを緩めながらベッドに乗る。 ベッドが軋む音が響き渡り、香穂子の心音は激しさを増していった。 吉羅は香穂子を組み敷くと、唇を重ねて来る。抱き締められて、躰の芯がとろとろに蕩けてしまいそうになった。 「…んっ…吉…羅さん…」 首筋に吉羅の唇を受け取ると、頭の芯が痺れるような快感が走り抜ける。 吉羅は、香穂子のワンピースを器用にするりと脱がしにかかった。 下着姿にされてしまい、顔から火が出てしまうのではないかと思う程に、香穂子は恥ずかしくてしょうがない。 こうして吉羅に女として扱って貰えるのは嬉しい。 だが不安も過ぎる。 吉羅に子供だと思われているのではないだろうか、だとか、がっかりされるのではないだろうかだとか、様々なマイナス様子を考えてしまう。 香穂子の震えを感じたのか、吉羅は気遣うようなまなざしを向けて来た。 「…平気か…?」 「だ、大丈夫です…」 「今なら止められるが…どうする?」 止めて欲しいと言っても、吉羅は怒らないだろう。だがそれで子供だと見られるのが、何よりも嫌だった。 香穂子はふわりと吉羅を抱き締めると、覚悟を決める。 「…止めないで下さい…」 勇気のいる一言だが、それでも意味があると香穂子は思った。 「…解った…。もう途中では止められないからね…」 「…はい」 香穂子は吉羅の躰を抱き締めながら、ただ一度だけ頷いた。 吉羅の躰が熱くなる。 香穂子を焼き尽くしてしまうのではないかと思う程に熱く。 求めてくれている。 それが何よりも嬉しかった。 吉羅の大きな手が香穂子の乳房を下から持ち上げられる。 「吉…羅さん…!」 直に揉み上げられて、香穂子の呼吸は乱れていく。 躰の奥深に甘い疼きが走り抜けた。 「…綺麗だ…」 くぐもった声で囁かれて、喜びが全身を貫く。 世界で一番素敵な女性になったような気分になる。 吉羅に綺麗だと言われただけで、世界で一番美しいひとになった気分になる。 賞讃なんて吉羅以外からはいらない。 「…好きだ…」 吉羅のこころが滲んだ声に愛を沢山感じ、香穂子は涙ぐんでしまう。 「私も大好きです、大好き、大好きっ!」 ギュッと抱き締めると、吉羅のコロンの香りが鼻腔をくすぐり、香穂子のこころを苦しいほどに満たしてきた。 もう離せない。 離したくない。 吉羅は、香穂子の色味の変わった乳首に唇を寄せると、わざと音を立てて吸い上げてきた。 「…あっ…! あっ…!」 吉羅は唇と大きく繊細な手で、香穂子の乳房を愛していく。 舌先で尖端を舐められれば、背筋が震えるほどの快楽を覚えた。 欲情に溺れていく。 吉羅の愛撫に翻弄されて、香穂子は肌を熟していく。 甘く喘ぎながら吉羅を見れば、髪を僅かに乱している。その姿がとても綺麗で香穂子はうっとりと見つめた。 「…あっ…! …んっ…! 吉羅は、白く柔らかな香穂子の乳房を、痕がついてしまうほどに強く吸い上げてくる。 香穂子が吉羅のものだという証の紅い痕が肌に散りばめられて、女としての喜びが滲んだ。 吉羅に愛撫をされる度に、躰の奥がやるせない熱に支配されていく。扇情的なキスや愛撫を受ける度に、やるせなくも甘い熱を胎内に感じる。 鈍い快楽が高まり、熱いとろりとしたものが躰から溢れ出して来た。 感じている証拠なのは何となく解る。 だが、それを吉羅に知られるのが恥ずかしくて、香穂子は太股を擦り合わせた。 香穂子の反応に、吉羅はあだっぽくくすりと笑うと、指先を下肢に伸ばす。 その余裕が悔しくて、香穂子は熱で潤んだ瞳で、吉羅を睨んだ。 「…どうした?」 「暁彦さんばかり余裕があって…狡い…」 「狡いって…。私だって余裕はないよ」 吉羅は苦笑いをすると、カッターシャツを脱ぎ捨て、香穂子の手を取ると、それをそのまま自分のむき出しの胸に宛がった。 「…あ…」 余裕があるように見えたのに、吉羅の心臓はかなり激しく音を立てている。 「…私に余裕なんて…ないよ…」 吉羅は髪をツイっと揺らすと、熱い溜め息を零す。髪が乱れた姿がこのうえなく色気があり、香穂子の欲情を高める。 「…私に余裕を無くさせたのは…君が初めてだよ…」 「暁彦さん…」 吉羅は香穂子を片手で抱き締めながら、香穂子の最も女である場所に触れて来る。 足をギュッと閉じようとすると、吉羅の手が太股を宥めるように撫でてくる。 力が抜ける。 吉羅の長くて綺麗な指が、熱く高まった香穂子の花びらを撫でた。 「…あっ…!」 吉羅の指先が香穂子の襞を掻き分けると、中心の熱くて敏感な花芯に触れてきた。指先で花芯を捏ねられると、腰が砕けてしまうのではないかと思う程の快楽が襲ってくる。 気持ちが良くて、頭がおかしくなりそうだ。 「…あっ、あっ、ああんっ…!」 「…君はここが弱いらしいね…?」 「やっ、あっ!」 熱い液体がたっぷりと胎内から零れ落ちて、淫靡な音が響き渡る。液体が溢れる度に、快楽が大きくなっていった。 「…吉…羅さ…っ!」 香穂子の篤い吐息を乱しながら、馴れない快楽にどうして良いかが分からなくて、躰を捩られる。 吉羅は香穂子の足を大きく開くと、そこに顔を埋めてきた。 「…やっ…! あっ…!」 吉羅の生暖かい舌が、香穂子の花芯を舐めまわす。 頭の先から爪先まで、ピリピリと痺れるような快感が走り抜けて、喉を大きくのけ反らせた。 吉羅は舌先で花芯を舐めながら、胎内への入り口に指を押し当てる。 「…あっ…!」 痺れるような痛みに香穂子がうろたえると、吉羅は顔を一瞬だけ上げる。 「…大丈夫だから…」 吉羅の優しい声に安心して、香穂子は躰から力を抜いた。 吉羅の綺麗な指を香穂子の胎内に滑り込ませる。 「…熱いね…君は…」 「…んっ…!」 吉羅は香穂子の様子を探りながら、胎内の壁をくすぐる。 「…あっ…! んっ…!」 指を二本挿れられて、たっぷりと時間をかけて愛撫された。 最初は違和感があったのに、気持ちが良くなってきた。 腰が無意識に揺れて、香穂子は埋まらない空洞を感じる。 吉羅にしか埋められない空洞であることは解っていた。 吉羅の指が最奥の少し手前を突いて来る。 「…あっ…! 吉羅…っ!」 そこを突き上げられるだけで、香穂子の躰は激しく浮き上がる。 「…君はここが感じるようだね…?」 「わ、解らないです…っ。だ、ダメッ…!」 吉羅の指が集中的にそこを突き上げ、唇が強く花芯を吸い上げる。 躰がバラバラになるぐらいに気持ちが良くなる。 「…あっ、ああんっ…!」 躰が弛緩する。 ふわりと躰が舞い上がったかと思うと、墜落し、意識も何もかもがバラバラに砕け散ってしまった。 |