*I Honesty Love You*

6


 怖い。
 違う性を知るのが。
 だがそれよりも大人の女として見られたい気持ちが勝った。
 香穂子は吉羅の背中に腕を回すと、初めて女として抱き締める。
 すがりつくのではない。ただ自分が愛する男を抱き締めるのだ。
 香穂子が吉羅を抱き締めていると、不意に抱き上げられてしまった。
 そこから何処に行くのは想像がつく。
 吉羅の寝室。
 香穂子にとっては、最も秘められた場所だと思った。
 吉羅の寝室に入ると、ファブリックはシックな色で統一されていた。
 部屋の中央には大きなダブルベッドが陣取っており、香穂子を不安にさせる。
 吉羅はこのベッドで香穂子の知らない女性を抱いたのだろうか。
 それを考えるだけでこころがとても重苦しくなった。
 香穂子がじっと吉羅のベッドを見ていると、何を考えているのか解ったのか、くすりと笑われてしまう。
「吉羅さん…?」
「君が考えているようなことはないから心配しないように…。私はこのベッドはおろか、この部屋にすら女性を入れたことはないよ。だから君が初めてなんだよ。部屋に入れるのはね…」
 吉羅の低い魅惑的な声に香穂子はうっとりとしながら見上げる。
「吉羅さん…それは本当ですか…?」
「このベッドを使う女性は、君が初めてだ」
 先程までの不安なドキドキが、今度は喜びのドキドキへと変わっていく。
 このベッドで吉羅に抱かれるかと思うと、幸せな震えが全身を駆け巡った。
 吉羅は香穂子をゆっくりと寝かせる。
 ベッドはひんやりとしていて、ほてった躰にはとても気持ちが良かった。
 吉羅の欲情が揺らめく瞳で見つめられて、香穂子はベッドの上で動けなくなってしまう。
 硬くなった香穂子を、吉羅は慈しむかのようにフッと笑った。
 吉羅ジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを緩めながらベッドに乗る。
 ベッドが軋む音が響き渡り、香穂子の心音は激しさを増していった。
 吉羅は香穂子を組み敷くと、唇を重ねて来る。抱き締められて、躰の芯がとろとろに蕩けてしまいそうになった。
「…んっ…吉…羅さん…」
 首筋に吉羅の唇を受け取ると、頭の芯が痺れるような快感が走り抜ける。
 吉羅は、香穂子のワンピースを器用にするりと脱がしにかかった。
 下着姿にされてしまい、顔から火が出てしまうのではないかと思う程に、香穂子は恥ずかしくてしょうがない。
 こうして吉羅に女として扱って貰えるのは嬉しい。
 だが不安も過ぎる。
 吉羅に子供だと思われているのではないだろうか、だとか、がっかりされるのではないだろうかだとか、様々なマイナス様子を考えてしまう。
 香穂子の震えを感じたのか、吉羅は気遣うようなまなざしを向けて来た。
「…平気か…?」
「だ、大丈夫です…」
「今なら止められるが…どうする?」
 止めて欲しいと言っても、吉羅は怒らないだろう。だがそれで子供だと見られるのが、何よりも嫌だった。
 香穂子はふわりと吉羅を抱き締めると、覚悟を決める。
「…止めないで下さい…」
 勇気のいる一言だが、それでも意味があると香穂子は思った。
「…解った…。もう途中では止められないからね…」
「…はい」
 香穂子は吉羅の躰を抱き締めながら、ただ一度だけ頷いた。
 吉羅の躰が熱くなる。
 香穂子を焼き尽くしてしまうのではないかと思う程に熱く。
 求めてくれている。
 それが何よりも嬉しかった。
 吉羅の大きな手が香穂子の乳房を下から持ち上げられる。
「吉…羅さん…!」
 直に揉み上げられて、香穂子の呼吸は乱れていく。
 躰の奥深に甘い疼きが走り抜けた。
「…綺麗だ…」
 くぐもった声で囁かれて、喜びが全身を貫く。
 世界で一番素敵な女性になったような気分になる。
 吉羅に綺麗だと言われただけで、世界で一番美しいひとになった気分になる。
 賞讃なんて吉羅以外からはいらない。
「…好きだ…」
 吉羅のこころが滲んだ声に愛を沢山感じ、香穂子は涙ぐんでしまう。
「私も大好きです、大好き、大好きっ!」
 ギュッと抱き締めると、吉羅のコロンの香りが鼻腔をくすぐり、香穂子のこころを苦しいほどに満たしてきた。
 もう離せない。
 離したくない。
 吉羅は、香穂子の色味の変わった乳首に唇を寄せると、わざと音を立てて吸い上げてきた。
「…あっ…! あっ…!」
 吉羅は唇と大きく繊細な手で、香穂子の乳房を愛していく。
 舌先で尖端を舐められれば、背筋が震えるほどの快楽を覚えた。
 欲情に溺れていく。
 吉羅の愛撫に翻弄されて、香穂子は肌を熟していく。
 甘く喘ぎながら吉羅を見れば、髪を僅かに乱している。その姿がとても綺麗で香穂子はうっとりと見つめた。
「…あっ…! …んっ…!
 吉羅は、白く柔らかな香穂子の乳房を、痕がついてしまうほどに強く吸い上げてくる。
 香穂子が吉羅のものだという証の紅い痕が肌に散りばめられて、女としての喜びが滲んだ。
 吉羅に愛撫をされる度に、躰の奥がやるせない熱に支配されていく。扇情的なキスや愛撫を受ける度に、やるせなくも甘い熱を胎内に感じる。
 鈍い快楽が高まり、熱いとろりとしたものが躰から溢れ出して来た。
 感じている証拠なのは何となく解る。
 だが、それを吉羅に知られるのが恥ずかしくて、香穂子は太股を擦り合わせた。
 香穂子の反応に、吉羅はあだっぽくくすりと笑うと、指先を下肢に伸ばす。
 その余裕が悔しくて、香穂子は熱で潤んだ瞳で、吉羅を睨んだ。
「…どうした?」
「暁彦さんばかり余裕があって…狡い…」
「狡いって…。私だって余裕はないよ」
 吉羅は苦笑いをすると、カッターシャツを脱ぎ捨て、香穂子の手を取ると、それをそのまま自分のむき出しの胸に宛がった。
「…あ…」
 余裕があるように見えたのに、吉羅の心臓はかなり激しく音を立てている。
「…私に余裕なんて…ないよ…」
 吉羅は髪をツイっと揺らすと、熱い溜め息を零す。髪が乱れた姿がこのうえなく色気があり、香穂子の欲情を高める。
「…私に余裕を無くさせたのは…君が初めてだよ…」
「暁彦さん…」
 吉羅は香穂子を片手で抱き締めながら、香穂子の最も女である場所に触れて来る。
 足をギュッと閉じようとすると、吉羅の手が太股を宥めるように撫でてくる。
 力が抜ける。
 吉羅の長くて綺麗な指が、熱く高まった香穂子の花びらを撫でた。
「…あっ…!」
 吉羅の指先が香穂子の襞を掻き分けると、中心の熱くて敏感な花芯に触れてきた。指先で花芯を捏ねられると、腰が砕けてしまうのではないかと思う程の快楽が襲ってくる。
 気持ちが良くて、頭がおかしくなりそうだ。
「…あっ、あっ、ああんっ…!」
「…君はここが弱いらしいね…?」
「やっ、あっ!」
 熱い液体がたっぷりと胎内から零れ落ちて、淫靡な音が響き渡る。液体が溢れる度に、快楽が大きくなっていった。
「…吉…羅さ…っ!」
 香穂子の篤い吐息を乱しながら、馴れない快楽にどうして良いかが分からなくて、躰を捩られる。
 吉羅は香穂子の足を大きく開くと、そこに顔を埋めてきた。
「…やっ…! あっ…!」
 吉羅の生暖かい舌が、香穂子の花芯を舐めまわす。
 頭の先から爪先まで、ピリピリと痺れるような快感が走り抜けて、喉を大きくのけ反らせた。
 吉羅は舌先で花芯を舐めながら、胎内への入り口に指を押し当てる。
「…あっ…!」
 痺れるような痛みに香穂子がうろたえると、吉羅は顔を一瞬だけ上げる。
「…大丈夫だから…」
 吉羅の優しい声に安心して、香穂子は躰から力を抜いた。
 吉羅の綺麗な指を香穂子の胎内に滑り込ませる。
「…熱いね…君は…」
「…んっ…!」
 吉羅は香穂子の様子を探りながら、胎内の壁をくすぐる。
「…あっ…! んっ…!」
 指を二本挿れられて、たっぷりと時間をかけて愛撫された。
 最初は違和感があったのに、気持ちが良くなってきた。
 腰が無意識に揺れて、香穂子は埋まらない空洞を感じる。
 吉羅にしか埋められない空洞であることは解っていた。
 吉羅の指が最奥の少し手前を突いて来る。
「…あっ…! 吉羅…っ!」
 そこを突き上げられるだけで、香穂子の躰は激しく浮き上がる。
「…君はここが感じるようだね…?」
「わ、解らないです…っ。だ、ダメッ…!」
 吉羅の指が集中的にそこを突き上げ、唇が強く花芯を吸い上げる。
 躰がバラバラになるぐらいに気持ちが良くなる。
「…あっ、ああんっ…!」
 躰が弛緩する。
 ふわりと躰が舞い上がったかと思うと、墜落し、意識も何もかもがバラバラに砕け散ってしまった。



Back Top Next