7
飛ばした意識は直ぐに戻ってきたが、息は激しく乱れたままだった。 香穂子が胸を上下させながら、ぼんやりと吉羅を見上げると、頬にキスをくれた。 「…私…どうしたんですか…?」 香穂子が縋るように吉羅を見ると、ギュッと抱き締められる。 「…達したんだよ…君は…。充分に準備が出来たということだよ。…私のものになるね」 「…吉羅さん…」 名前を呼ぶと、吉羅の人さし指で唇を塞がれる。 「…暁彦と、呼んでくれないか?」 「…あ、暁彦…さん…」 好きで好きでたまらない男性の名前を呼ぶと、声がひっくりがえってしまう。 それを吉羅は見守るように微笑んでくれた。 「…とりあえずは、合格と言う事にしようか」 「厳しいです…」 「私としては…、“さん”はいらないと思うんだけれどね」 吉羅は低く笑った後、香穂子の瞼にキスを落とす。 吉羅がベルトのバックルを外すなまめかしい音が響き渡る。香穂子の甘い緊張が高まってきた。 「…香穂子…、痛かったら…、私の背中を引っ掻いても何をしても構わないからね」 「…はい…」 髪を優しく撫でられて、香穂子のこころに恋心が滲んでくる。 幸せで甘いじんわりとした感情が、躰の隅々まで伝わってきた。 初めてはかなり痛むと聞いてはいたが、吉羅が相手ならば耐えられる。 どんな痛みでも耐えることが出来る。 香穂子は頷くと、吉羅の躰を抱き締めた。 「…暁彦さん、私がどんなに痛がっても…、止めないで下さいね。大丈夫ですから」 「解った」 吉羅は、誰にも見せた事がないような笑みを浮かべると、香穂子の脚を開くき、そこに自分の躰を押し込ませた。 「…香穂子…」 熱く昂ぶったものが、香穂子の入り口に宛がわれる。 力強いそれに、香穂子は思わず息を呑んだ。 「…暁彦さん…」 潤んだ瞳で吉羅を見つめると、熱い勇剣が、胎内に緩やかに入ってくる。 硬くて大きな吉羅の欲望は、まだ青く馴れていない香穂子のそこを容赦なく広げる。 「…いっ…! いやああっ…!」 頭の天辺に痛みが貫いていく。それでも止めて欲しくはなくて、香穂子は涙を滲ませながら、唇を噛み締めて耐える。 吉羅の鍛えられた背中に縋りつくと、爪を入れた。 「…香穂子…っ!」 吉羅はくぐもった声を出しながら、ゆっくりと香穂子の胎内に入っていく。 痛い。 苦しい。 なのに幸せでしょうがない。 瞳から涙が零れ落ちたが、それは痛みというよりは、喜びだった。 「…大丈夫か…? 香穂子…」 吉羅は心配そうなまなざしを香穂子に向け、優しいキスの雨を、瞼や頬、唇にくれる。 「…大丈夫です…、大丈夫…」 吉羅とひとつになれた幸せをどう表現したら良いだろうか。 香穂子は想いを伝えるために、柔らかく微笑んだ。 「…香穂子…っ!」 もう離せない。離さないとばかりに、吉羅の抱擁が強くなる。 息が出来ないほどに抱きすくめられて、躰が軋む。 幸せな感情に、香穂子は痛みすら忘れてしまうような気がした。 吉羅はもう止められないとばかりに、一気に香穂子の胎内まで入り込んでくる。 「…いっ…! いやあっ!」 痛くて涙が瞳に滲んで、香穂子は躰を震わせる。 破瓜の瞬間、痛みと供に、無邪気な時代を終えたことを実感した。そして、吉羅のものになれたという、こ ころからの幸せが溢れてくる。 吉羅は、香穂子の痛みを和らげるように、何度も顔にキスをくれる。 深い口付けをくれた時には、その熱い想いを沢山受け取った。 吉羅は苦しげに熱い呼吸を重ねると、香穂子の幼さが遺る円やかな頬を撫でる。 「平気かな?」 「平気です…」 「辛そうだね…。すまない…」 「辛くない…です。だって…暁彦さんと…ひとつになれたから…」 香穂子は喜びを伝えたくてにっこりと微笑む。 吉羅は理性が切れたように大きく深呼吸をすると、ゆっくりと動き始めた。 「…んっ…!」 最初は違和感があったが、徐々に鈍い快楽へと変わっていく。 吉羅は、香穂子の負担を少しでも軽くするように、乳房に唇を落としたり、花芯を指でくすぐってくる。 心地好さが躰の総てを満たしてくる。 涙が出るほど気持ちが良かった。 甘い愛の蜜が溢れて、吉羅が動く度に水音が響き渡る。 吉羅は香穂子の内壁を擦りつけるように、抽送を繰り返していった。 鈍かった快楽が、やがて鋭いものになって香穂子に襲いかかる。 熱くて大きな何かが迫って来て苦しくなる。 それでも吉羅を離したくはなくて、香穂子は胎内で無意識に吉羅を強く締め付けた。 「…クッ…!」 いつもの冷静沈着な吉羅からは想像出来ないほど、苦しげな呼吸を繰り返す。 ここまで来ると、吉羅ですらも理性は利かないらしい。 香穂子が吉羅を締め付ければ締め付けるほどに、動きは激しくなっていた。 「…暁…彦…さん…っ!」 肌がこれほどまでに熱くなるなんて、香穂子は今まで知らなかった。 まるで化学変化を起こす一歩手前のように、肌も細胞も激しく高まっていく。 目が開けてはいられないぐらいに感じる。 香穂子が呼吸を乱せば、更に吉羅の動きは激しくなっていた。 「…吉羅さん…吉羅さ…っ!」 「…暁彦っ…だろう?」 「あ、暁彦さ…っ!」 涙が零れ落ちて、快楽が小波のように全身を満たしていく。 幸せでしょうがない。 「…あっ、あっ…!」 自分の声だとは俄かに信じられないほどに、香穂子の声は艶めいている。 「…香穂…子…っ!」 熱くて躰がこのままバラバラになってしまうのではないかと思う程に、快楽に支配される。 吉羅と激しい獣のようなキスを続けながら、動きも締め付けも、お互いに激しくなっていった。 揺れる。 意識も何もかもが。 激しく熱い。 総ての細胞が。 吉羅が、指先で探った香穂子が最も感じ易い場所を、激しく突き上げてきた。 「…あ、暁彦さ…っ!」 巧みな吉羅の突き上げに、香穂子は高みまで追い詰められる。 心臓も呼吸も、このままでは壊れてしまうのではないかと思う程に、追い詰められる。 「…あっ、ああっ!」 四肢が突っ張り、躰が弛緩し始めた。 震えてどうしようもないほどに気持ちが良くて、香穂子の瞳に涙が滲む。 「…あっ、暁彦さ…っ!」 自分ではもう抑えが効かないほどに追い詰められ、香穂子は快楽の淵に飛び降りる。 「…やっ、ああああっ!」 「…香穂っ…!」 吉羅の逞しい躰が大きくのけ反る。 香穂子はその躰にすがりつきながら、意識を手放した。 ふわふわとした幸せな想いに満たされながら、香穂子は緩やかに目を開けた。 しんみりとした静けさが何処か心地好い。 聞こえるのは、吉羅と自分の心音がユニゾンする音だけだ。 香穂子が目を開けると、吉羅が頬を撫でてきた。 「…平気か…?」 「…大丈夫です…」 吉羅はホッとしたような力を抜いた笑みを浮かべると、香穂子を胸に抱き寄せた。 「平気なら良い…。無理をさせてしまったからね。…正直言って、理性が効かない程に溺れたのは君が初めてなんだよ…」 何処か照れくさそうに言う吉羅が、可愛くてしょうがなくて、香穂子はギュッと抱き締める。 他のどんな女性よりも夢中になってくれたのが、香穂子には何よりも嬉しかった。 「…大好きです、暁彦さん…」 言葉では表せない程の熱い想いを伝えたくて、香穂子は強く吉羅を抱き締める。 吉羅はそれに応えるように抱き留めてくれたかと思うと、香穂子を再び組み敷く。 「…あ、あのっ!?」 「…愛しているよ、香穂子…」 甘く吉羅は囁くと、飽くことなどないかのように、再び香穂子を愛し始めた。 |