*きみが奏でる物語*

12


 吉羅を抱き締めた時から、香穂子はこれが自分だけの責任ではないことを知る。
 吉羅を責めることは出来ない。
 香穂子は自分でそれを悟っていた。
 吉羅の愛撫の熱い快楽に、香穂子は何度も躰をのけ反らせた。
 こんなにも甘くて苦しいのに気持ちが良いだなんて、こんな感覚は他にはないと思う。
 やがて吉羅は、香穂子の柔らかく甘いボディラインを撫でてくる。
 産まれたままの姿にされて、恥ずかしさに思わず躰を捩じらせた。
「…隠すな…。君は充分に綺麗だから…」
 吉羅の言葉に、躰の奥は更にとろとろになっていく。
 熱い感覚に、香穂子はこのまま全身がとろとろに蕩けても構わないと思った。
「…吉羅さん…」
 熱い。
 躰が熱い。
 何だか躰の奥が熱くて、香穂子はどうして良いかが解らなくて、思わず吉羅の名前を呼んだ。
 すると吉羅の指先が、蕩けて熱い部分に伸びてきた。
「……やっ……!」
 そのような場所を触れられるなんて、香穂子は思ってもみなかった。
 思わず腰を浮かせてしまう。
「…いやっ…!」
 だが、吉羅は止めない。
 香穂子の熱い場所を指先で押し開くと、沸騰している中心に触れてくる。
 こんなにも痺れるような感覚は知らない。
 吉羅に触れられてから、躰の奥から熱い熱いものが零れ落ちてきた。
「…あっ、ああっ…!」
 触れられて恥ずかしくて泣きそうになる。
 だが吉羅は、更に恥ずかしい行為をしてきた。
「いやっ…!」
 脚を大きく広げると、吉羅はそこに顔を埋めてくる。
 このような場所を、まさかキスされるなんて、思ってもみなかった。
「…やっ…!」
 恥ずかしくてじたばたしたくなる。
 なのに恥ずかしさよりも、快楽の強さが大きくなり、上手く抵抗することが出来ない。
「やっ、ああっ…!」
 溢れかえる蜜を吉羅は丁寧に舐めとってきた。
「…んっ…!」
 腰が痺れるほどに鈍い快楽に墜落していく。
 香穂子は呼吸が浅くなるのを感じながら、吉羅に身を任せることしか出来なかった。
 吉羅の指先が、香穂子の熱い場所へとゆっくりと侵入してくる。
 ピリリとした押し広げられた痛みの後、吉羅の指が胎内を探ってきた。
 その感覚に、このまま墜落してしまうだろうと、香穂子は感じずにはいられない。
 吉羅の指に内壁をくすぐられる度に、香穂子は呼吸がおかしくなり、肌が粟立つのを感じた。
 意識がぐちゃくちゃになるぐらいに感じてしまう。
「…んっ…!」
 理性なんて何処かにいってしまうのではないかと思った。
「…吉羅さん…!」
 香穂子は、吉羅の首筋にすがりつきながら、まなじりから快楽の涙を零す。
 吉羅だけの色に染まりたい。
 そう感じた瞬間、香穂子は瞼に白い光を感じて崩れ落ちた。

 まだ息が乱れている。
 胸だけで呼吸をしていると、吉羅が抱き締めて、額にキスをしてくれた。
 それだけで落ち着いてくるのが解る。
「…君は私のものだ…。他の誰のものにもなってはいけない…。君に私を刻み付けるよ…」
 もう心はとうに吉羅以外を受け入れられなくなっていた。
 だからこそ、こうしてすんなりと受け入れることが出来るのだ。
「…香穂子…」
 吉羅に名前を呼ばれて、香穂子は思い切り抱き着いた。
「…私にしっかりと抱き着いているんだ…」
「…はい…」
 何が起こるのか解らないわけではない。
 香穂子は躰に力を入れて吉羅に抱き着いた。
「…大丈夫だから、そんなに硬くならなくて良いから…」
「…はい…」
 香穂子は深呼吸をすると、吉羅を縋るように見つめる。
 すると吉羅は香穂子の頬を柔らかく優しく撫でてくれた。
「…暁彦さん…」
「香穂子…、大丈夫だ…。そんなに心配しなくても構わないから…」
「…はい。有り難うございます…」
「こんな時にまでかしこまる必要はないから…」
 吉羅が優し過ぎるから、香穂子は泣きたくなるほどに嬉しくなる。
 吉羅はくすりと笑った後、香穂子の脚の間に逞しく整った自分の躰を入れた。
「あ…」
 吉羅の力強さを感じて、香穂子は呼吸を止める。
「香穂子…」
 吉羅はこの上なく優しい声で呼び掛けてくれると、力強い欲望を香穂子の入口に押し当てた。
 そのままゆっくりと胎内に入っていく。
 入口を押し広げられるような痛みに、香穂子は泣きそうになる。
 こんなに泣きそうなぐらいに痛いのに、吉羅を拒絶することが出来ない。
 それぐらい愛しているのだと、香穂子は感じずにはいられなかった。
 痛みに耐えて震えていると、吉羅が顔中に飛び切りのキスをしてくれる。
「…香穂子…。大丈夫だからそんな顔はしなくて良いから…」
 吉羅はゆっくりと香穂子の中を優しく進んで行く。
「…吉羅さん…、大丈夫です…」
 潤んだ瞳を吉羅に向けて、香穂子は何とか微笑む。
 次の瞬間、吉羅に息が出来ないほどに抱き締められた。

 香穂子に「大丈夫」だと泣きそうな瞳で見つめられた瞬間、吉羅は何よりもの幸福を感じた。
 香穂子を誰にも渡したくない。
 香穂子は自分だけのものだと、刻み付けたくなる。
 誰にも渡さない。
 香穂子が愛しくて愛しくてしょうがなかった。
 吉羅はゆっくりと香穂子の胎内を征服していく。
 香穂子の初めての男になれたことへの喜びが大きくて、吉羅はこの上ない幸せを感じる。
「…香穂子…」
 香穂子の胎内を征服した瞬間、吉羅は言葉には出来ないほどの喜びを感じずにはいられなかった。
 香穂子は、今までの女で一番吉羅を狂わせる。
 こんなにも快楽を感じさせる女性は、他にはいないと思った。
 香穂子が吉羅をしっかりと締め付けて包み込んでくる。
 まるで離さないと言っているかのようだ。
 強張りが少なくなったので、吉羅はゆっくりと動き始めた。
「…もう大丈夫かな…?」
「…さっきより…あっ…!」
 無意識なのだろう。
 吉羅が動く度にとびきりの甘い声を上げてくれる。
 それが吉羅には嬉しくてしょうがなかった。
「…香穂子…」
 苦しげに名前を呼ぶと、香穂子は吉羅を締め付けながら、笑みを僅かに零す。
 妖艶な美しさと清らかな美しさのどちらも持っているのは、香穂子しか知らない。
 吉羅は唸りたくなるほどの快楽を感じながら、香穂子の奥深くを突き上げ始めた。

 吉羅の持つ熱さに狂いそうになっていると、いきなり奥深い部分をしっかりと突き上げられる。
 香穂子はくらくらしてしまうほどに感じながら、吉羅を無意識に締め付けて抱き締めた。
 まるで嵐のような快楽だ。
 言葉では上手く表現が出来ないほどに、激しく突き上げてくる。
 こんなにも激しい突き上げは他に知らない。
 壊れてしまう。
 だが、壊して欲しい。
 香穂子は吉羅に、自分の総てを委ねた。
 吉羅と熱がひとつに重なる。
 お互いの熱が燃え盛ってこのままとろとろに蕩けてしまいそうになる。
「…吉羅さん…」
 視界が揺れている。
 何もかもが熱に染まってどうして良いかが解らなくなる。
 香穂子はとろとろに蕩けるのを感じながら、吉羅にしがみついた。 
 もう記憶すらも溶けてなくなってしまいそうになる。
「あ、ああっ!」
 快楽に追い詰められて、どうしようもなくなる。
 香穂子は躰を弛緩させると、そのまま意識を崩れさせた。

 香穂子を激しく突き上げると、その甘い躰は弛緩を始める。
 吉羅も快楽に追い詰められる。
 こんなにも気持ちが良いことが他にあるというのだろうか。
 吉羅は渾身の力で香穂子を突き上げると、そのまま熱を解放した。



Back Top Next