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吉羅の情熱的な唇が、柔らかく豊かな乳房へと下りてくる。 柔らかな丘にくちづけをされるだけで、肌が痺れるように震えた。 「…んっ…!」 「君と一緒に眠ったら、こうなってしまうことが解っていたから…、君がリビングで眠ることに妥協をした…。病気の君の体力を奪うことになってしまうからね」 「…暁彦さん…」 「だが、医者から許しも出た…。私は君をとことんまで愛するからそのつもりで…」 吉羅の言葉に、香穂子は胸が苦しくなるほど甘くなるのを感じる。 吉羅に身を任せると、いつも世界で一番幸せな女性になった気分になるのに、その後は愛の言葉がなくて空しい気分になるのだ。 吉羅は、香穂子の形が整った乳房を、持ち上げるように優しく撫でる。 「んっ…!」 最初は優しいリズムだったのに、段々強く甘くなっていく。 「あっ…!」 乳首に指先を押し当てられて、跳ね上がる程の疼きが全身を走り抜ける。 「…んっ…」 忘れていた筈なのに、ずっと覚えていた甘い感覚。 香穂子は悩ましいほどに官能が滲んだ吐息を、宙に舞い上げる。 肌が震えてどうしようもない。 なのにまろやかになる。 「…暁彦さん…っ!」 乳首を口に含まれて大胆に吸い上げられる。舌先で味合われて、頭に痺れが走る程に感じていた。 吉羅は、張り詰めるまで乳房をゆったりと揉みこみながら、舌先で充分過ぎる程に味わう。 躰の奥深くが、既に吉羅に反応してしまい、たっぷりと熱い蜜を流した。 吉羅が欲しいと、奥深い場所が求めている。 香穂子は無意識に吉羅に躰を擦り寄せていた。 「…暁彦…さん…っ!」 吉羅は満足そうに香穂子の柔らかな胸元から顔を上げると、そのまま唇は平らな腹部に向かった。 腹部にキスを受けた後で、吉羅は熱い場所に指を這わせてくる。 唇から呻くように熱い吐息を零すと、吉羅は指を花芯の中央に押し付けてきた。 「…あっ…!」 敏感な部分を指先で押されて、香穂子は腰を僅かに浮かせる。 吉羅が欲しくて堪らない。 暴れる程に熱くて激しい吉羅を内側で感じていたい。 香穂子は呼吸を浅くさせながら、吉羅にすがりついた。 吉羅は顔を、蜜で溢れた場所に埋めると、唇で吸い上げ始めた。 「…んっ…、暁彦さ…んっ!」 吉羅は開かれた胎内への入り口に指をそっと這わせると、そこにゆっくりと入ってくる。 「…暁彦さん…」 指で内側をくすぐられて、これ以上ないのではないかと思う程に、熱い感覚を覚える。 気持ちが良くて堪らないはずなのに物足りない、やるせない空洞が出来たような感覚が躰のなかに襲いかかってきた。 「…んっ…!」 吉羅の指の動きが早くなり、舌先もしっかりと香穂子の熱を味わっている。 腰と頭が痺れてしまい、このまま砕け散るのではないかと思わずにはいられなかった。 「…君は本当に良い躰をしている…」 「…暁彦さん…っ!」 吉羅の指先と舌先が作り出す官能的なワルツに、香穂子はこのままおぼれてしまいそうになる。 「…あっ、ああっ…!」 どうして良いか解らない程の官能に、香穂子はこのまま意識を崩していく。 次の瞬間、意識が途切れると同時に、吉羅から甘いキスが下りてきた。 躰と意識を気怠さに沈ませていると、吉羅が香穂子の躰の間に入り込んでくる。 何度、吉羅にこうして愛されたことだろうか。 香穂子の躰は、吉羅しか知らない。 吉羅にしか愛を刻み込んで貰ってはいない。 「…香穂子…」 名前を呼ばれて、香穂子はようやくロマンティックな意識の目覚めを感じる。 吉羅が、自身の熱いものを、香穂子に緩やかに沈み込ませてきた。 「あっ…!」 待ち侘びていた愛の圧迫に、香穂子は思わず背筋をのけ反らせる。 ずっと欲しかった。 ずっと待ち侘びていた。 吉羅を歓喜のなかで受け入れると、香穂子は逞しい躰を抱き寄せた。 「…香穂子…」 吉羅の低い囁きに、香穂子は躰を震わせる。 細胞が化学変化を起こしてしまうのではないかと思う程に、香穂子は吉羅の熱さに溺れていた。 吉羅が完全に入りきると、この上ない優しさで動き始めた。 まるで香穂子を気遣うような動きに、蕩けてしまいそうだ。 「…香穂子…、綺麗だ…」 吉羅は苦しげに呟くと、力強く突き上げてくる。 頭の奥に響く快楽に、香穂子はこのまま墜落してしまうのではないかと思った。 「…あっ、ああっ…!」 内側に感じる暴力的な熱ですらも、愛しくてしょうがない。 香穂子は吉羅をしっかりと受け入れながら、以前教えられたように至極のダンスを踊り続けた。 「…暁彦さん…っ」 吉羅の突き上げが激しくなる。 その強さに、香穂子は躰を小刻みに震わせる。 溺れてしまいたくなるような快楽が、全身に駆け抜けてくる。 限界が近付く。 何もかもが引き上げられた瞬間に、躰が激しく弛緩し、余りにもの快楽に、そのまま香穂子は意識をゆったりと手放した。 吉羅にはがいじめをされるように抱き締められる。 「…何処にも行かせない…。私はもう…、あんな想いはしたくなんかない…」 「…暁彦さん…」 「私を嫌って行ってしまうなら…仕方がない…。だが、そうでないのなら…」 いつもは恋については自信を持っている吉羅には珍しく、迷子のように声が不安定に揺れている。 「…香穂子…」 苦しげに呼ぶ名前に、香穂子は胸が苦しくなるのを感じた。 吉羅はこんなにも強く求めてくれている。 きっとこれから先も、これほどまでに求めてくれるひとはいないのではないかと、香穂子は感じた。 自分も同じだけ。いや、それ以上に吉羅を求めているのだから。 「…暁彦さん…」 香穂子は名前を呼ぶと、吉羅の手を握り締める。 結局は、あんなにも強く決心していたというのに、吉羅からは離れられない自分に気付く。 吉羅とずっと一緒にいたい。 今はそれを受け入れよう。 まだ、蟠りはあるがしょうがない。 「…暁彦さん…、何処にも行きません…。ここにいます…。あなたのそばに…」 「香穂子…」 吉羅は、まるで香穂子に縋るように呟くと、抱き寄せてくる。 まるで甘えるように肩に顔を宛てられて、香穂子はその頭を抱き寄せた。 「…何処にも行きません…」 「有り難う…」 吉羅は深く安堵の溜め息を吐くと、ゆっくりと目を閉じる。 そのまま安らかな眠りが訪れるようにと、香穂子はゆっくりと抱き締めてやる。 そのまま暫くの間、背中を撫でてやっていた。 翌朝、心地好く目覚める。 やはり躰からウィルスが消えたことわ表わしているのだろう。 横を見ると、吉羅の姿はなかった。 遠くでシャワーの音が聞こえて、何だかくすぐったい気分になる。 香穂子は伸びをしようとして、左手薬指に指環がはめられているのに気付いた。 綺麗に輝くダイヤモンド。 マチュアな女性に似合うデザインではある。 吉羅がそれを用意してくれたのを嬉しく思いながら、思わず指環にキスをした。 バスローブを素肌に這おったところで、吉羅がバスローブ姿で寝室にやってくる。 髪が艶やかに濡れた姿は、とても美しい。 こんな吉羅が見られるのは、自分だけの特権だ。 そう思うと嬉しくてしょうがない。 「おはよう、香穂子」 「おはようございます…」 吉羅は香穂子を抱き寄せると、唇を軽く重ねてきた。 「…余り、無理はしないほうが良い…。ゆっくりと寝ていなさい」 吉羅に抱き寄せられながら、香穂子は幸せを感じる。 ずっとこの幸せが続くと、信じていた。 |