*嘘恋*

14


 吉羅が好きでしょうがない。
 吉羅がいれば何もいらない。
 香穂子は強く想いながら、吉羅のキスに溺れていく。
 こうして何度も熱いキスを交わすと、どうしようもないほどの欲望がわき出て来る。
 どうしてこんなにも熱くて堪らないのだろうか。
 この不可解な熱を癒してくれるのは、吉羅しかいないことだけは解っている。
 吉羅に抱き寄せられて、香穂子もまたごく自然に抱き締めた。
 唇を離されて、吉羅は熱い煌めきが宿った瞳で香穂子を見つめてくる。
「…君が欲しい…」
 まるで恋情に降参したかのような吉羅の熱い囁きに、香穂子は涙を滲ませながら、そっと頷いた。
 熱に冒されている。病気で出す熱ではない、今まで知らなかった熱。
 その熱に流されるままに、吉羅と抱き合った。
 抱き上げられて、ベッドに運ばれる。
 吉羅がいつも使うベッドはとても広くて、果たしてここで何人の女性を抱いたのかと香穂子は思った。
 香穂子の不安が瞳に滲ませて見つめると、吉羅は香穂子を抱き寄せた。
「…この家に女性を招いたことはないよ」
 吉羅の言葉に、香穂子はうっとりと蜂蜜のような笑顔を見せた。
「…吉羅さん…」
「…香穂子、信じてくれ…」
 吉羅は顔や耳にキスをしながら、香穂子の服を脱がしていく。
「…君は本当に綺麗だね」
 吉羅の声は、いつもよりも甘くてうっとりとしてしまいそうな響きで、香穂子はロマンティックな気分になる。
 吉羅は首筋からデコルテに掛けて、ゆっくりとキスをしてくれた。
 背筋に甘い快楽が走り抜けてしまうほどに気持ちが良い。
 吉羅は、香穂子に夢中になるかのように、深い色の髪を乱していた。
 衣服を総て脱がされて、生まれたままの姿になる。
 恥ずかしくて躰を隠そうと身を捩らせたところで、吉羅に制された。
「隠すな」
「だって恥ずかしくて…」
 香穂子が涙を滲ませて、はにかむように吉羅を見上げると、唇に優しいキスをくれた。
「綺麗だから隠すな」
「吉羅さん…」
「“暁彦”だ…、香穂子」
 吉羅は甘い言葉と声で、香穂子の躰やこころをほぐしていってくれる。
 香穂子が躰から力を抜くと、吉羅は両手で乳房を持ち上げるように掬ってきた。
「…やっ…!」
 自分の声とは思えないほどの、甘ったるい声が響き渡る。
 吉羅の大きな手のひらで、乳房が張り詰めるまで揉みあげられて、腰が痺れてしまうぐらいに感じてしまっていた。
 吉羅が、香穂子の形の良い乳房に顔を埋めてくる。
 乳首をまるで子供のように吸い上げられて、華奢な躰を綺麗にのけ反らせる。
 シーツをキツく掴むと、唇を僅かに開けて喘いだ。
 何もかもが初めての経験で、香穂子はどうして良いか解らない。
 そんな気持ちを察してか、吉羅は香穂子を優しく受け止めるように抱き締めてくれた。
 吉羅は、舌先で香穂子の乳首を味わうように弄びながら、肌の滑らかさを確かめるように触れてくる。
「君は本当に何もかもが綺麗だね…。神様が作った最高のものだと、私は思うよ…」
 いつもは決して言ってはくれないだろう台詞を、吉羅は囁いてくれる。
 香穂子はそれだけでも嬉しくてしょうがない。
 吉羅は両方の乳房を唇や手のひらでたっぷりと味わう。
 無意識のうちに躰の奥深くに湧き上がる熱い欲望に、香穂子は何度も華奢な腰を揺らした。
「あっ、ああっ!」
 背中が粟立つほどに感じる。
 お腹の深い部分が痛い程に感じて、香穂子は狂ってしまいそうになった。
 吉羅が欲しくてしょうがない。
 手に入らなかったら狂ってしまうぐらいに吉羅が欲しい。
 ここまで誰かを欲しいと思ったことは、今までなかった。
 熱い。
 下腹部が熱くて、何だか湿った雰囲気になる。
 熱い液体が流れ出ているのが、香穂子にも感じられた。
 それが具体的に何なのかは解らないが。
 吉羅の手のひらが、香穂子の平らな腹部を撫でて来た。
 心地好いリズムだ。
 うっとりとしていると、吉羅の手のひらが、突然、下腹部へと伸びてきた。
「…やっ…!」
 吉羅の指を避けようとしたが、避けられない。
 吉羅の指先はしなやかに香穂子の熱い部分をそっとなぞった。
「…んっ…。暁彦さん…」
 触れられるだけで、沸騰してしまうほどに愛しい熱が充満していく。
 もうどうしようもないほどに乱れてしまう。
 吉羅は、香穂子のスリットを指先で開けると、そのまま中心の宝石に触れてくる。
 痺れるほどの快楽に、香穂子は溺れてしまいそうになった。
 吉羅に触れられる度に、頭の芯まで痺れてしまうのではないかと思うほどに気持ちが良い。
 腰が揺れて、無意識で吉羅にねだるように腰を擦り付けていた。
「…君は反応が良いようだね…。恥ずかしながらも反応が良い女が、私は好きだよ…」
 吉羅に好きという言葉を囁かれて、涙が滲むほどに嬉しくなる。
 吉羅は、香穂子の平らな腹部にキスをすると、そのまま最も熱い部分へと唇を進めていく。
「…やっ…!」
 躰を捩らせても、許してはくれない。
 吉羅は、香穂子の足を大きく開くと、蜜が滲んだ熱い場所に顔を埋めた。
「…やっ…!」
 恥ずかしくて堪らない行為に、香穂子は抵抗しようとする。だが、吉羅の愛撫に溺れてしまい、そのまま下 半身から力を抜いた。
 舌先で、熱い宝石を転がされて、腰を思わず浮かせてしまう。
 理性が吹き飛んでしまうほどに、吉羅が与えてくれる快楽が欲しくなる。
 吉羅の指先が、香穂子の入り口をそっと押し開いた。
 ピリッとした痛みに、軽く顔をしかめてしまう。
「…痛いか?」
「大丈夫です…」
 吉羅は、香穂子の甘い吐息を確認すると、ゆっくりと指先を胎内へと沈み込ませてきた。
 滲んだ蜜が大量に溢れてくるのが解る。
 切ない程の熱さに、溺れてしまいそうだ。
 指が胎内をくすぐるように動くのを感じながら、吉羅の唇が再び肉芽を吸い上げてくるのに翻弄される。
 本当に熱くて堪らない。
 爆発寸前の快楽に、香穂子は躰をしなやかに弓なりに逸した。
 肌が震える。
 鼓動が激しく震える。
 そして頭の先までが気持ち良さに痺れてくる。
 吉羅の指の動きが激しくなり、香穂子はどうして良いか分からなくなってしまう。
 躰が快楽に押し上げられて、一気に高みまで引き上げられる。
「…ああっ…!」
 そのまま脚が突っ張ったままで、意識を一瞬だけ闇に沈み込ませた。

 吉羅が抱き締めてくれる。
 本当にしっくりとくる腕だ。
 香穂子が快楽にぼんやりとしていると、吉羅は脚の間に躰を挟む。
「…私にしっかりと掴まっているんだ…」
「…はい…」
 吉羅に抱き付くと、緩やかに慎重なリズムで、香穂子の胎内に入ってきた。
「…イヤッ…!」
 逞しい圧迫と激しい痛みに、香穂子は涙を滲ませる。
 痛い。なのに離れて欲しくない。
 吉羅は香穂子の緊張をほぐすかのように、何度も口付けてくれた。
 優しくて柔らかな愛が籠ったキス。
 それらに酔っ払いながら、香穂子は、痛みに耐え抜いた。
 吉羅がリズミカルに進んでくる。
 破瓜の瞬間、どうしようもないほどの痛みが襲いかかってきた。
 それでも止めて欲しくなくて、香穂子は吉羅にしがみつく。
「…香穂子…!」
 完全に吉羅の熱に支配をされると、もうお互いに理性のコントロールは出来なくなる。
 吉羅の動きが激しくなると同時に、香穂子の全身に快楽が舞い降りてくる。
 今まで感じたことのない快楽に、このまま墜落してしまう。
 吉羅に渾身の力で突き上げられた瞬間、頭のなかが真っ白になり、白のなかに溶け込んだ。



Back Top Next