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神様とキスをするなんて、最初は不思議な感覚だと思っていた。 だが、今はひとりの男のひととして、天海を愛しているから、キスも異性から受けているのと同じだ。 甘いキス。 天海のキスはとてもソフトで、甘くて優しいものだと、ゆきは思い込んでいた。 しかし、それは錯覚だったようで、天海は荒々しいキスをしてきた。こんなにも大胆なキスをするなんて思ってもみなかった。 それぐらいに天海のキスは激しいものだった。 ゆきの唇を奪った天海は激しくキスをしてくる。 執拗なぐらいにゆきにキスをして、天海は激しく奪ってゆく。 天海が神様だなんて概念を、ゆきは元々持ち合わせてはいなかったせいか、大胆なキスも受け入れてしまう。 キスが深くて、ゆきはつい天海に抱き着いてしまう。 それぐらいに天海のキスは巧みだった。 頭がぼんやりとするぐらいに激しいキスをされて、唇を離す頃には、ゆきはぼんやりと見つめた。 「……天海……」 ゆきが名前を呼ぶと、天海は艶やかな笑みを浮かべてから、ゆきをギュッと抱き締めてくれた。 「……ね、天海……。天海は、私のことを子供のようだと思っている?」 ゆきは真剣に愛する天海に訊いてみる。 「……君は確かに私にとっては愛しい子には違いはありませんが……、あなたを子供のように思ったことは、ありませんよ……」 天海は静かな力強さを秘めて言うと、ゆきへの抱擁を更に強くする。 ゆきは息が出来なくなるぐらいに強く抱き締められて、甘くて苦しい、満たされた幸せを感じた。 「確かに……、私は神ですから、人の子は総て等しい子供のようです。しかし、君は違う……。君だけは違う……。人間になって、君のそばにいて同じように生活をしたいと、そう思わせたのは、君だけですから……」 「天海……」 人と同じように、ゆきと一緒にいても良いと、天海が言ってくれている。 ゆきもそれを強く望んだのだ。 人と同じように天海と共にいたいと。 「……君だけが特別なのですよ? ゆき、君だけしか私の視界には入って来ませんからね……」 「天海……」 天海の甘くて幸せが沢山詰まった言葉に、ゆきは涙ぐむ。 「私は君が君であれば、それで構わないのです。……ただ君が、“大人の女性”になることにこだわるのであれば、手助けは惜しみませんよ。私しか出来ない、君を大人にする方法があるでしょうからね」 天海は意味ありげに微笑むと、ゆきの唇にキスをしたわ 「君がきちんと大人の女性になれるように、導くつもりでいますよ。今、ここにいる私は、神ではありませんから。君と過ごす時間は総て、君と同じ人として生きていますから……」 「天海……」 神様ではなく、ゆきの為に人として生きてくれる。 これが嬉しくて、ゆきにはしょうがない。 天海ならば、きっとゆきをサポートしてくれるだろうから。 「有り難う……」 ゆきは天海に甘えるように、その広い胸に顔を埋める。 すると天海は再びキスをしてくる。 今の天海はとてもリアルで、そして男の人だ。 ゆきが想像出来ないぐらいに、天海は男なのだ。 それはゆきが一番よく解っていた。 何度も唇を重ねて、天海は舌を絡めてくる。 ゆきを情熱的に抱き締めたまま、天海は離さない。 ゆきは鼓動が激しくなり、どうして良いのかが解らない。 今まで以上に激しい天海のキスに、ゆきは躰が震えた。 天海は男だ。 それもゆきだけを愛してくれる。 何度も淫らな水音を立てながら、天海とキスをするだけで、ゆきはこのまま躰が蕩けてしまっても構わないとすら思った。 激しいキスと情熱。 天海は本当に、ゆきと同じ生々しい人間なのだと思った。 生々しい人間だからこそ、ゆきは更に天海のことを好きになったのかもしれない。 ゆきは天海を抱き締め、抱き締められたまま、こうしてずっと漂っていたいとすら思った。 天海とこうしているだけで、なんて幸せなのだろうかと、ゆきは思わずにはいられなかった。 「……ゆき……。君は子供ではありません……。私には魅力的な女性です……。君以外の女性とこんなことをしたいとは思ったことなどありませんから……。だから安心なさい」 天海にじっと見つめられると、そう信じてしまう。 だが、天海は嘘なんて吐いてはいないだろうから、ゆきは笑顔で頷くことが出来た。 「……有り難う、天海。あなたに釣り合うと思われるように、もっともっと頑張るからね」 「嬉しいですよ、ゆき」 天海はフッと微笑むと、ゆきを抱き締めてくれる。 ふたりで時間が共有出来るようになってからというもの、天海はこうして抱き締めてくれることが多くなった。 やはり今まで触れ合うことが出来なかったことが大きいのかもしれない。 ゆきは、こうして抱き締められるだけで、幸せで幸せでしょうがなかった。 天海に抱き締められる。 それだけで安堵することが出来た。 もっと抱き締められたい。 もっと抱き締めていたい。 ゆきは熱く思いながら、天海を抱き締めた。 「……君は甘えるのが好きですね……。私は甘えられるのが好きですよ……」 天海は艶やかに呟くと、ゆきにもう一度キスをする。 大人のキス。 ゆきは天海のキスに翻弄される。 何度もキスをされて、ゆきはくらくらして立っていられなくなる。 ゆきが腰が抜けそうになる寸前で、天海の腕が腰をしっかりと支えてくれた。 「ゆき、大丈夫ですか?」 「だ、大丈夫……」 「大丈夫ではないみたいですよ」 くすりと笑うと、天海はゆきを腕の中で閉じ込めてしまった。 「大人のキスはまだまだですか?」 「そ、そんなことはないっ……!」 ゆきが顔を真っ赤にさせながら言うと、天海は少し意地の悪い笑みを浮かべた。 「君は本当にそう思っているのですか?」 「あ、あの、そ、その……。だけど、天海には、大人の女性として扱って貰いたいって思っているけれど……」 ゆきは怖々言うと、天海を上目遣いに見つめる。 「……そんな目をして、君は自分自身が何をしているのかを解っているのですか?」 天海はゆきを真っ直ぐ見つめると、その頬を柔らかく撫でる。 撫でられるだけで、ゆきの躰は甘く疼いた。 息が出来なくなるぐらいに甘くて切ない感覚に、ゆきはうっとりと潤んだ瞳を天海に向けた。 「君はやはり何も解っていない子ですね……。そんな瞳で見つめたりしたらどうなるのか、あなたには解っていると思っていましたけれどね……」 天海に言われた言葉の意味が、ゆきには解らない。 「……解らないから、教えて? 天海……」 ゆきが無邪気に言うと、天海は困ったように深みのある笑みを浮かべた。 「君はそんなにも知りたいと思っているのですか?」 天海はまるでゆきの意志を確認するかのように呟く。 ゆきは勿論そのつもりだったから、しっかりと頷いた。 「……ゆき……。それなりに覚悟がいりますよ? それでも構わないのですか?」 「どんな覚悟?」 ゆきが無防備に小首を傾げて言うと、天海は静かにゆきの頬を官能的に撫でる。 「大人の女性になるための覚悟ですよ。愛しい子……」 大人の女性。 ゆきは大人の女性になりたいと思っているから、力強く頷いた。 「大人の女性になりたいよ、天海……」 ゆきが素直に言うと、手をギュッと握り締められる。 「……解りました。君を大人の女性に……、私だけの女性にしましょう……」 天海の言葉に、ゆきは躰を甘く震わせた。 |