2
高杉は無言のままで、ゆきの手をそっと引いてゆく。 おたがいにしっかりと手を繋ぎあって、ただ、歩いてゆく。 何処に向かっているのか。 ゆきは解っている。 解っていて手を離さないのだ。 高杉の部屋だ。 これでもう最後なのならば、ゆきは高杉と一緒にいたいと、思う。 一夜の深愛。 それでしか、ふたりの想いは成就出来ない。 ゆきは解っているから、高杉の後をついてゆく。 高杉のそばにいたい。 ただ、それだけなのだ。 高杉のそばにいて、愛を感じられたら、それだけで構わないから。 ゆきは、ただ黙って従う。 高杉はゆっくりと部屋に入り、ゆきはそれに続いた。 「……ゆき、俺に着いてきて構わなかったか?」 「高杉さんのそばにいたかったんです。ただそれだけです……」 ゆきは素直な気持ちを高杉に伝えると、揺るぎのない眼差しで大好きなひとを見つめた。 愛しているから、揺るがない。 高杉と共にいたいと思うから、揺るがない。 「俺もお前のそばにいたい」 高杉もまた揺るぎない信念を滲ませて、ゆきを見つめる。 ゆきを、放さないと、高杉は思いきり抱き締めてきた。 息が出来ないぐらいに苦しいが、それは幸せな苦しみだ。 ゆきは、鍛えられた精悍な高杉の胸に抱かれて、ゆきは心が満たされて幸せになるのを感じた。 ずっと一緒にいたい。 一緒にいられたら、永遠に離れない。 肉体が滅んで、魂だけの存在になったとしても、高杉からは絶対に離れない。 ふと、高杉の顔が上がる。 ゆきも同時に顔を上げた。 ふたりの眼差しがぶつかり合い、刹那、互いの想いを交差させる。 高杉はゆきの柔らかな頬を確かめるように、緩やかに撫で付ける。 その仕草だけで、胸の奥がきゅんと高鳴る。 高杉の唇がそっと重ねられる。 潔癖な唇は、ゆきの唇の熱によって、柔らかにとろけてゆく。 高杉と唇を重ねると、それだけで世界が変わる。 ロマンティックになるのだ。 高杉は最初はためらいがちに唇を重ねてくる。 だが、何度も何度も唇を重ねていくたびに、躰の奥からロマンティックが湧き出てきた。 うっとりとしてしまうぐらいに素敵で、ゆきは思わず高杉を抱き締めてしまう。 キスに夢中になってしまう。 キスを深める度に、ゆきは夢中で何も見えなくなってしまった。 なんてロマンティック。 ゆきはその世界にずっと漂っていたいとすら、思ってしまう。 お互いに唇を離すと、しばらくは、鼓動が激しくて、どうして良いのかが解らなかった。 ゆきは潤んだ瞳を高杉に向ける。 「お前を離さない……。今夜は……」 今夜は。 今夜だけ。 お互いに愛し合っていたとしても、ずっと一緒にはいられないのは、解っているから。 ゆきは、高杉を思いきり抱き締めて、言葉の代わりに同意の気持ちを伝えた。 高杉はゆきをそのまま蒲団の上に押し倒す。 ゆきは、頬をほんのりと赤らめて、高杉を見上げる。 ドキドキする。 だが、不快なドキドキではない。 何処か甘いドキドキだ。 高杉に組み敷かれて、その精悍な顔を見つめる。 こうしているだけで、ゆきは胸の奥から甘い感情が溢れ出すのを感じた。 頬にかかるゆきの髪を、高杉はそっと避けると、もう一度深くキスをしてきた。 何度もキスを続けていると、躰の隅々まで沸騰してくるように思う。 高杉は、ゆきの衣服を丁寧にはいでゆく。 服に手がかかった瞬間、ゆきは躰を、びくりとさせてしまう。 こんなにもドキドキするなんて、思いも寄らないことだった。 ゆきは何度も深呼吸をしながら、高杉に総てを任せていく。 緊張してしまうけれども、後悔なんてなかった。 まさかこんなにも早く最愛と出会い、こうして愛し合うことになろうとは、思ってもみないことだった。 高杉は真摯さと深みがある眼差しで、ゆきだけをじっと見つめてくる。 この眼差しからは逃げることなんて出来ない。 ゆきは生まれたままの無防備な躰を、隠すことが出来なかった。 ゆきは高杉を見つめる。 すると高杉は、着ていた服を静かに脱ぎ捨てた。 やはり武人であるせいか、鍛えられた肉体は精悍で美しい。 ゆきは思わず触れて見たくなる。 我ながら大胆だとは思ってしまうが、今だけは高杉の総てを強く感じたかった。 ゆきは勇気を持って、高杉の硬い胸にそっと手を伸ばす。 すると高杉は一瞬ではあるが、胸を震わせる。 硬くてまるで鎧みたいに感じる。 さわり心地はとても良い。 ゆきはもっと高杉に触れていたくて、手のひらを高杉の胸に這わせた。 触れているだけで、なんて気持ちが良いんだろうかと、思わずにはいられない。 恥ずかしいのに、ずっと触れていたい。 何だか、とても不思議な感覚だった。 ゆきが触れる度に、高杉の吐息が荒くなる。 それがどうしてかは、ゆきにも解らなかった。 「……ゆき……っ」 息を乱す高杉は、なんて色気があるのだろうか。 ゆきは不謹慎にも、ついそんなことを考えてしまっていた。 「……高杉さんは綺麗です……ね」 ゆきは恥ずかしながら、つい思ったことを口にしてしまった。 「俺なんかよりも、お前の方がずっと綺麗で、柔らかい」 高杉は低くくぐもった声で呟くと、ゆきの柔らかな乳房を、下から持ち上げるように緩やかに揉みしだきはじめた。 「……やっ、あ、あんっ……!」 自分の声だとは思えないぐらいに甘い声が零れてしまう。 ゆきは息苦しくて、このまま酸素不足でどうにかなってしまうのではないかと、思った。 高杉は、ゆきの乳房の柔らかさを楽しむかのように、何度も揉みこんでくる。 お腹の奥が鈍い痛みに支配されるのを感じながら、ゆきは高杉に躰を任せる。 胸を揉みこまれる度に、今までは知らなかった快楽が躰の奥から生まれてくる。 息苦しいぐらいにロマンティックだ。 この感覚がいったい何なのか、ゆきにはまだわからなかったが、愛し合うふたりには必要な刺激であるということは、なんとなく分かった。 高杉はゆきを思いきり抱き締めてくる。 おたがいにしっかりと何も隔てるものもなく抱き合うというのは、なんて気持ちが良くて、幸せなことなのだろうかと、ゆきは思った。 気持ちが良い。 だけどそれ以上に幸福だ。 高杉はゆきの乳房に夢中になっているかのように、キスの雨を降らせてくる。 乳房の先端にある薔薇色の蕾を吸い上げられたり、舌で転がされたりしながら、ゆきは愛情と情熱を一気に感じる。 未知の快感に、ゆきは何度も背中を仰け反らせた。 |