*アナタイロ*


「……ゆき、私の服を脱がしてご覧?」

 小松の言葉が恥ずかし過ぎて、ゆきはつい戸惑ってしまう。

「……あ、あの……」

「ネクタイを取って、シャツを脱がさないと、君のお望みのことは、出来ないよ?」

 小松はクスリと笑いながら、ゆきを真っ直ぐ見つめる。

 眼鏡を外した小松も、うっとりとするぐらいに素敵で、ドキドキとうっとりが交互にやって来た。

「さあ、ゆき」

 小松はゆきの手を取って、胸元に持ってくる。

 耳まで真っ赤にしながら、ゆきは指先を震わせた。

「ちゃんとしないと、君の望み通りにはならないよ?」

 小松は相変わらず意地悪だ。

「帯刀さん……」

 ゆきは、自分自身を落ち着かせるために、何度となく深呼吸をした。

 そのままネクタイに手を掛ける。

 元々そんなには器用ではない上に、指も震えているから

 益々上手く動かない。

 ゆきは一生懸命、小松のネクタイを外してゆく。

 ゆきがネクタイを外している様子を、小松はまるでアトラクションでも見つめているかのように、見つめていた。

 面白がっている。

 その瞳が、また悔しいぐらいに魅力的だった。

 ようやくネクタイを外し終わり、ゆきは勘弁して欲しいと想いながら、小松を見上げた。

「帯刀さん……。あ、あの、これで……」

 許して欲しいとねだるように見つめたが、小松は許してはくれないようだった。

「ダメ。まだ、カッターシャツが残っているでしょ」

 小松はあくまで許してはくれないようだ。

「……はい」

 ゆきはもう鼓動が限界だと感じながら、深呼吸をもう一度すると、カッターシャツのボタンに、指を掛けた。

 指先が震え過ぎて、ゆきは上手く外せない。

 ボタン外しがこれほど難しいとは、思ってもみなかった。

 ゆっくりと落ち着くようにと、自分に言い聞かせながら、ゆきは小松のカッターシャツのボタンをゆっくりと外していく。

 ひとつ、ひとつ、丁寧に。

 日頃は鍛えているせいか、やはり胸元はしっかりとしていて男らしかった。

 やはり、このひとは、“サムライ”なのだろうと、思わずにはいられない。

 ゆきがようやく総てのボタンを外し終わると、小松の身体からシャツを取り払った。

 逞しい胸に思わず触れてしまう。

 しっかりとしていて、ゆきはこの強さが好ましいと思った。

 触り心地が良くて、なんて素晴らしいのだろうかと、思わずにはいられなかった。

 胸に触れた後、ゆきは何の躊躇いもなく、小松の胸に唇を寄せた。

 自分がされたことと同じように、小松にキスをする。

 思い切り吸い上げるのは難しくて、なかなか触れるだけのキスになった。

 だが、小松に、自分のものだと示す印が欲しいと、思わずにはいられない。

 一生懸命に、吸い上げると、ようやく赤い所有の痕を刻み付けられた。

 それが嬉しくて、ゆきは思わず小松に笑い掛けた。

「よく出来たね、ゆき。これで私たちはお揃いだよ。もう少し、私が君のものであることを知りたいから、印をつけてくれないかな?」

 小松のリクエストに、ゆきは恥ずかしさを感じずにはいられない。

「……頑張って……みます……」

「頑張るほどのものではないかと思うけれど、頑張ってね……」

 小松は楽しそうな苦笑いを浮かべると、ゆきを見つめた。

 完璧だと思ってしまう。

 ゆきは、小松が愛しくて、愛しくて堪らない気持ちをキスに込めて、その胸元を吸い上げてゆく。

 キスをしているうちに、いつの間にか、ゆきは小松に所有の痕を刻み付けるのに、夢中になっていた。

 ゆきは、小松の逞しい胸に、一生懸命、華を咲かせて咲かせてゆく。

 愛撫をすればするほど、ゆきのテンションも上がってゆき、愛撫をされるのと同じぐらいに感じて、欲望が高まってゆくのが解った。

 ゆきは幸せ過ぎて、夢中になる。

 小松の息遣いが荒くなる。

 それがとても嬉しくて、ゆきは更に小松を喜ばせたくなった。

 小松が、ゆきにくまなく愛撫をしてくれる理由が解るような気がした。

 喜んで感じてくれることが嬉しいのだ。

 ゆきは新たな悦びを発見した。

 小松を上目遣いで見る。

 すると照れたような表情をゆきに向けてくれた。

「……ズルいね。君のその瞳は……。君以上に感じさせたくなったよ……」

 小松は官能的な低い声で囁くと、ゆきの体勢を一気に変える。

 形勢逆転。

 今度はゆきが組み敷かれる格好になった。

 こうされると、ゆきは無防備になる。

 恥ずかしくて、どうしたら良いのかが、分からなくなってしまう。

 ゆきは真っ赤になりながら、小松をちらりと見た。

「……ね、ゆき。君がどれ程、淫らな顔をしていて、どれ程、いやらしい格好をしているのか、気づいている?」

 小松にクスリと笑いながら言われてしまい、ゆきはハッとする。

 確かに、真っ赤なドレスを中途半端に脱がされているなんて、いやらしさの極みだ。

 恥ずかし過ぎて、ゆきはこのまま消えてしまいたいとすら思った。

 だが、そのようなことを、小松が許してくれるはずがないのだ。

 ゆきは深呼吸をしながら、何だか焦るような気持ちになる。

「君を感じさせてあげるよ……」

 小松はゆきをソファーに座らせると、そこにひざまずいた。

 脚を撫でられるだけで、背中に電流が走り抜ける。

 背筋が震えてゆきは、拳を作る。

「……へぇ、ガーターね」

「あの、お店の方が……」

 ゆきは、ガーターを勧められた時のことを思い出して、顔から火が出るような想いをした。

「……何でもお見通しということだね。ま、良いけれど」

 小松は楽しそうに呟くと、ガーターベルトの隙間を狙って、指先をランジェリーの中に入れる。

 さっと潤っている表面に触れられて、それだけでゆきは、思わず呻いてしまった。

「……いつも以上だね。私の調教も浸透しつつあるということだね」

 小松は本当に可笑しそうに低い声で囁くと、ゆきのランジェリーを丁寧に脱がし始める。

 だが、ガーターベルトをしたままで外されてしまったので、ゆきは恥ずかしくて極まりなかった。

「……脚を開きなさい、ゆき」

 小松に命令されて、ゆきは恥ずかしくて目を閉じて、脚も強く閉じる。

「……脚を開きなさい、ゆき」

 小松は厳しい口調で言うと、ゆきの頬に柔らかく触れた。

「君が好きなことをしてあげられないよ。良いから、脚を開きなさい。……命令……」

 小松の艶やかな囁きには弱い。

 ゆきは、言われるままに、脚をおずおずと開いた。





マエ モドル ツギ