*大人への階段*


 まさかベッドルームに連れていかれるなんて、思ってもみなかった。

 ゆきは心臓が飛び出してしまうのではないかと思うほどにドキドキしてしまった。

 いつかはこのような関係になることは解っていたし、予想出来た。

 それが早く来ればと願ったこともあったし、ロマンティックなことを考えては、つい笑顔になったこともある。

 想像しては恥ずかしくて、逃げ出したくなったこともあるが、いざそうなろうとすると、ゆきは信じられないぐらい緊張をする自分を感じた。

 こんなにも緊張して躰がカチカチになってしまうなんて、ゆきには思ってもみないことだった。

 小松は、ゆきの緊張に気が付いたのか、紳士的にベッドに寝かせてくれる。

 大切に扱われているように思えて、ゆきはついうっとりとしてしまう。

 同時にドキドキは最高潮に達していた。

 どうして良いのかがゆきには分からなくて、ただ潤んだ瞳で小松を見るだけだ。

「……ゆき、そんな目で見られたら、歯止めがきかなくなるよ……」

 小松に艶やかに囁かれて、ゆきは躰を震わせる。

 小松は甘く微笑むと、ゆきの唇に自分の唇をしっとりと重ねてくる。

 キスに夢中になっていると、小松はゆきのワンピースを器用に脱がしにかかる。

 綺麗で繊細な小松の指先に触れられるだけで、ゆきは全身が震えてどうしようもなくなる。

 ゆきは小松の背中にピッタリと縋りながら、キスに夢中なってしまう。

 水音が響くような激しいキスを受けながら、ゆきはうっとりとした気分になる。

 改めて感じる。

 小松は大人で男の人で、ゆき自身は女なのだということを。

 本物の恋に出会ってからは、もう何も知らない“女の子ではないのだということを。

 ゆきは意識せずにはいられない。

「……ゆき」

 小松のくぐもった艶のある声が聞こえる。こんなにも艶やかな声で名前を呼ばれたら、総てが潤いで満たされてしまう。

「……こちらの女性の衣服は良いね? だって、とても脱がしやすいからね……」

 くすりと笑われて、ゆきは恥ずかしくてしょうがなくなる。

 顔を隠そうとしても、隠れようとしても出来ない。

 たとえ隠れることが出来たとしても、小松には無駄なことのように思えた。

 するりとワンピースを脱がされて、下着も焦らすように脱がされる。

 小松の手の動きが官能的で、ゆきは堪えられないかもしれないと思うぐらいに恥ずかしくなった。

 だが、止めて欲しくはない。

 どうしてこんなにも矛盾なことを思うのだろうかと、思うぐらいに。

「……君は……本当に綺麗だ……」

 眼鏡を外した小松は、なんてイジワルで魅力的なのだろうかと思うぐらいに、艶やかだ。

 色気のあるイジワルだなんて反則技だと、ゆきは思わずにはいられなかった。

「……ゆき、恥ずかしがらなくても大丈夫だから……」

 小松の声はこの上なく優しくゆきの心に響いてくる。

 大丈夫だと思わずにはいられない。

 小松はゆきを安心させるように、額と瞼にキスをすると、唇を首筋に下ろしてきた。

 今までも何度も首筋にキスをされたことがあったけれども、こんなにも敏感に感じたのは、今回が初めてだ。

 首筋を強く吸い上げられて、背筋が震える。

 ゆきは思わず愛するひとを抱き寄せる。

 躰が痺れるようにじんわりと感じて、鼓動が激しくなる。

 ゆきは呼吸を弾ませながら、首筋をのけ反らせた。

 小松は鎖骨にも丁寧にくちづけてくる。

 鎖骨な鼻をこすられて、ゆきは思わず甘い吐息を漏らした。

「……ゆき……。待ったかいがあったよ……。君は最高に美しい……。君は最高だ……」

 小松の声が熱く乱れて、とてもセクシィだ。

 こんなにも熱く熟れるような声で囁かれて、唇で愛撫を受ける。

 濃密な愛され方に、ゆきはこのまま蕩けてしまうのではないかと思った。

 こんなにも濃密に愛されたら、今夜中に溶けてなくなってしまうのではないかと思ってしまう始末だ。

 ゆきをしっかりと抱き締めてくれていた小松の腕が離れ、両手がゆきの乳房を覆った。

 ゆっくりと揉みあげられて、ゆきは恥ずかしくて、小松の顔をまともに見る事が出来なかった。

 恥ずかし過ぎる。

 だが、激しく乳房を揉み上げられているうちに、恥ずかしがっている暇なんてないような気がした。

 耳まで真っ赤にして、ただ潤んで熱くなった瞳を、小松に向けることしか出来ない。

 触れられる度に、”キモチイイ“と感じてしまうなんて、本当にどうかしていると、ゆきは思った。

 息苦しくなるぐらいに感じているなんて、こんな経験は初めてで、ゆきはどうして良いのかが解らない。

「ゆき……、柔らかくて、可愛い……」

 耳朶を甘噛みしながら囁かれて、ゆきは過敏に反応してしまう。

 小松は指先で器用に、ゆきの薔薇色の蕾を挟み混みながら愛撫をする。

 お腹の奥が過剰に反応するぐらいに、ゆきは感じてしまう。

 小松を求めてどうしようもない。

「……ゆき、もっと私を感じなよ……。私だけを感じなよ……」

 低くて艶のある小松のイジワル声で囁かれると、ゆきはとろとろになってしまう。

 意志とは関係なく、細い腰がゆらゆらと揺れている。

「……ゆき……」

 小松に抱き締められたかと思うと、乳房にいきなり顔を埋められる。

 そのまま息を乱しながら蕾を含みながら吸い上げられる。

「……あっ……!」

 ゆきは思わず大きな喘ぎ声を上げてしまった。

 こんなにも甘い喘ぎ声を上げたのは、初めてかもしれない。

 小松は舌先でゆきの蕾を転がしたり、歯をあてがったりと、ゆきを官能的に苛めてくる。

 腰にジンとくるような快楽に、ゆきは乱れてゆく。

 何処かで“蓮水ゆき”としての理性を持っていたいのに、それが出来ない。

 理性なんて、小松が与えてくれる愛撫で溶けてしまった。

 肌が沸騰しているのではないかと勘違いをしてしまうぐらいに、熱くなっている。

 小松の肌もきっと同じなのに、触れ合っていないのがもどかしい。

 ゆきが呻き声を上げると、小松も気が付いたのか、ゆきから一瞬、離れてしまった。

 離れないで欲しいのに離れてしまうなんて、何だか切ない。

 すると小松は手早く自身の衣服を脱ぎ捨てる。

 普段はとても細くて綺麗なのに、服を脱いでみると鍛えられていて、逞しくてもっと綺麗だ。

 綺麗過ぎて、ゆきは触れてみたくなる。

 小松の見事なまでの肉体が、ゆきを抱き締める。

 こんなにもしっかりと抱き締められると、ゆきは幸せで息が出来ない。

 小松をもっと求めたくて、ゆきは引き寄せるように抱き締めた。

「……どうしたの? そんなにも私とピッタリと寄り添いたいの? ふふ、君は可愛くて大胆な子だね? 私ももっと近付きたい……。けれども、君のほうに充分な準備が必要のようだね……」

 小松は息を乱しながら低い声で言うと、ゆきのすんなりとした脚を撫でてくる。

 脚を愛しげに撫でられるだけで、ゆきは背中を軽くのけ反らせてしまう。

 意味ありげに撫でられると、堪えられないくらいに気持ち良くなってしまうのだ。

 小松はきっとそんなゆきを解っているからこそ、イジワルにも焦らすように脚を入念に撫で付けてくるのだろう。

 反則だ。

 だが、止めて欲しくない。

 小松には何処かを可愛がって貰いたいだなんて考えてしまう。

「本当は……、君は初めてだからもっともっとたっぷりと、ゆっくり可愛がってあげたいんだけれど、そういう余裕が私にはもうないみたいだ……」

 小松はそう言うと、ゆきの中心に手を伸ばした。





マエ モドル ツギ