*愛あれば*


 小松に蒲団に寝かされて、ゆきは緊張で躰を震わせる。

 決して嫌な感覚ではないけれども、心臓が飛び出してしまうのではないかと思うぐらいには、ドキドキしていた。

 甘いドキドキは、呼吸困難を生む。

 だが、それは決して不快なものではないことは、ゆきは充分に解っている。

 それどころか、もっと甘いドキドキが欲しいだなんて、全くどうかしているとゆきは思わずにはいられなかった。

 ドキドキしすぎて、今にもどうにかなりそうなのにだ。

 小松に組み敷かれて、見下ろされる格好になる。

 艶やかな眼差しに、ゆきは更に甘くて情熱的な薔薇のように、テンションが上がってゆくのを感じた。

 小松の眼差しは、何処かイジワルなのに、とても艶やかで、素敵だ。

 見つめられるだけで、興奮が駆け抜けてゆく。

 白い頬をほんのりと紅く染めながら、ゆきは小松を見つめる。

 瞳がとても熱くて、潤んでいるのが、自分でもよく分かった。

「……そんな瞳で、私以外の男を見つめるんじゃないよ、ゆき」

 まるで嫉妬をしているかのような、イジワルで冷たくて、愛が滲んだ声で囁くと、小松はゆきの唇を軽く塞いだ。

「……これは、私からの、……命令……、だからね?」

 艶やかで冷酷な笑みを向けられたら、ゆきは心臓が飛び出してしまうのではないかと思うぐらいに、甘い緊張を覚える。

 命令。

 だけどそんなことをしなくても、小松以外を見つめたりはしない。

 小松しかこのような瞳にすることは出来ないというのに。

「……命令なんかしなくても、出来ないから……」

 ゆきが熱っぽい声で呟くと、小松はフッと笑みを浮かべる。

「解っているよ。だけどね、君は無意識にしてしまう。だから、命令もお仕置きも必要……」

 小松は低い声で呟くと、ゆきの衣服に手をかけた。

 ひとに服を脱がされるなんて、そんなことは恥ずかしすぎる。

 ゆきは耳まで真っ赤にしながら、恨めしい気持ちで小松を見た。

「……そ、それぐらいは自分で……」

 緊張して、上手く服を脱ぐことが出来ない。

 ゆきがあたふたとしていると、小松がクスリと笑った。

「……ゆき、ほら、自分でちゃんと出来ないでしょ? だから、私がしてあげるよ……」

 小松は、背中がゾクリとしてしまうぐらいに、艶やかな低い声で囁き、ゆきの衣服を丁寧に脱がしてゆく。

 緊張しすぎて、ゆきは躰を硬くした。

 嫌ではないが、何だか緊張してしまう。

 小松は器用にあせることなく、ゆきの衣服を脱がしていった。

 直ぐに生まれたままの無防備な姿にされて、ゆきは恥ずかしくて思わず躰を隠すように寝返りを打った。

「隠しても無駄だよ、ゆき」

 小松は楽しんでいるかのように言うと、自身の着物を美しく脱ぎ捨てる。

 美しい細工をした眼鏡を取ると、更なる美しい顔が現れる。

 ゆきは恥ずかしいのに、小松の姿が見たくて、つい寝返りを打ってしまう。

 すると、小松はフッと薄く笑って抱き締めてきた。

「私に背を向けたかったんじゃなかったの?」

 小松にからかうように言われて、ゆきは顔から火が出るのではないかと思うぐらいに、真っ赤になった。

「……ほら、そんなに真っ赤にならない」

 小松はゆきの耳元で囁くと、甘いキスをくれた。

 そのままギュッと抱き締められる。

 息が出来ないぐらいに抱き締められて、ゆきは切ないぐらいに幸せを噛み締めた。

 こうして、お互いの肌と肌をダイレクトに触れあうのは初めてだったが、本当に素晴らしくて、ゆきは瞳が潤んだ。

 こんなにも幸せで良いのだろうかと、思わずにはいられない。

 肌の温もりを共有することがこんなにも幸せだなんて、ゆきは思ってもみなかった。

 ずっと武術は余り得意ではないと思い込んでいたが、そうでないことを想い知らされた。

 神子であるゆきを護ることが出来るのだから、武術はきちんと修めているのだろうが、そのイメージよりも、文官のイメージが高くて、ゆきはつい武術はそれほどでもないと思っていた。

 だが、抱き締めてきた小松の腕は、筋肉がしっかりとついていて、ゆきにはとても逞しい腕に思えた。

 綺麗だと想い、ゆきは思わず小松の腕に触れてしまう。

 触れると想像以上だ。

 硬くて精悍で、そして何よりも男らしいと思った。

「どうしたの?私の腕なんかをそんなにも熱心に触れて…」

「小松さんも男の人なんだなって。しっかりとしていて、逞しいんだなあって思って……」

「当然でしょ? 私は君を護る八葉なんだからね」

 小松は微笑むと、ゆきの首筋に唇を押し当ててくる。

 首筋にキスをされる度に、うめいてしまうようなめくるめく官能が滲んできた。

 くすぐったいような、それでいて恥ずかしいのに、嬉しい。

 小松が首筋にキスをする度に、ゆきの肌はざわついて、甘い吐息を何度となく溢した。

 小松は唇を首筋から鎖骨へと丁寧に移動してくる。

 キスで愛撫をされると、肌の体温が上がってゆく。

 なんて気持ちが良い感覚なのだろうかと、思った。

 小松の唇が乳房の近くにくると、一旦、キスの雨は止む。

 本当は止めて欲しくはなかったから、ゆきはつい躰を小さくした。

 小松の切れるような美しい眼差しがゆきに向けられる。

 胸が苦しくなるぐらいに綺麗な瞳を向けられると、ゆきは隠れたくなる。

 はずかしい。

 じっと見つめられるのが堪えられなくて、ゆきは身をよじった。

 だが、小松に躰を押さえられてしまい、上手く隠すことが出来ない。

「……どうして隠すの?」

「……恥ずかしいから……」

 ゆきが素直にはにかみながら言うと、小松はゆきの腕を掴んだ。

「……綺麗なんだから、隠さないで」

 小松は何処か真摯めいた声で呟くと、ゆきの乳房を見つめる。

 こんなにも情熱的な眼差しで見つめられて、ゆきは隠すことが出来ない。

 小松の視線から逃げることなんて出来なかった。

 小松は、ゆきの柔らかな乳房を下から持ち上げるように揉みしだいてゆく。

「……やっ、ああっ……」

 自分の声とは思えないぐらいの甘い声に、ゆきは驚いてしまう。

 まさかこのような声が出るなんて思わなくて、ゆきは更に恥ずかしい気分になった。

 小松は乳房がはりつめるまでしっかりと揉み上げながら、親指の先で薔薇色の蕾を弄られる。

 お腹の奥から鈍い快楽が生まれて、ゆきは思わず身をよじった。

 小松の表情が視界に入ってくる。

 楽しんでいるとしか見えない表情だ。

 小松はゆきの乳房に顔を埋めると、舌先で薔薇色の蕾を転がしたり、唇で吸い上げられたりする。

 乳房への愛撫が激しくなるにつれて、ゆきのお腹の奥から次々と鈍い快楽が生まれた。





マエ モドル ツギ