*幸せな結末*


 小松は、まるで焦らすかのように、ゆきの着物をじっくりと脱がしてくる。

 さらりと絹が擦れる音がする。

 いつもならば、何も感じない音なのに、今日に限って言えば、とても官能的に聞こえる。

 だが、耳障りな音でない。

 そして、止めて欲しくもない。

 恥ずかしくてしょうがないくせに、このまま続けて欲しいだなんて、なんて矛盾な感情を抱いているのだろうかと、思った。

「……綺麗だね、君は……」

「……帯刀さん……」

 柔らかな胸が曝されて、ゆきは恥ずかしくて、蒲団に潜りたくなってしまった。

 ドキドキし過ぎて、どうしようもない。

 ゆきは何度も深呼吸をしてしまう。

「……ね、恥ずかしいの?」

「……はい」

「大丈夫だよ。君は本当に綺麗だから」

 小松はゆきの白い肌をじっくりと見つめてくる。

 その眼差しの熱さに、ゆきはいてもたってもいられなくなってしまう。

 肌がジリジリする。

 視線だけで、震えるほどに感じてしまっていた。

 ここまで甘く感じるのは、総てを捨ててまでも一緒にいたい相手だからだ。

 小松だから。

 小松は、丁寧に寝間着を剥ぎ取っていった。

 それだけで官能的だ。

「……本当に綺麗だね、君は……」

 小松は感嘆の溜め息を吐くと、ゆきの身体を丁寧に撫でていってくれる。

 甘くて幸せな感覚。

 だが、恥ずかしさと不安も付きまとっていた。

「……どうしたの?恥ずかしい?」

「……恥ずかしい……です……」

「どうして?」

「……だって、私の身体なんて少しも綺麗じゃないから……。た、帯刀さんががっかりしているんじゃないかって……」

 がっかりなんてして欲しくはないが、小松がそうだと、ゆきは切ない。

 小松は、一瞬、怒ったような表情を浮かべた。

「君は私が綺麗だと言った言葉が、信じられないの?」

 小松は優しくゆきの頬を撫でながらも、どこか怒っているように見える。

「……私、経験がないから……」

「あのね……」

 小松は呆れたように溜め息を吐いた後で、ゆきの瞳を真っ直ぐ覗き込んだ。

「……どこにいっても私しか知らない身体を抱けるのは、とても嬉しいことだよ……。君の総てを知っているのは私だけ……。この事実が、私を幸せにさせているんだよ……」

 小松は柔らかさと艶やかさを滲ませた瞳で、ただゆきを愛撫する。

 視線だけで愛撫されるのが、ゆきにはかけがえのない幸せだった。

「……有り難うございます。嬉しいです……。私の総てを知ってくれるのが、小松さんで、とても嬉しいです……」

 ゆきは泣きそうになりながら呟いた。

 すると小松は頬をうっすらと上気させる。

「……ゆき、どうして君はそんなにも可愛いの!?私が止められなくなるでしょう?」

 小松はゆきの身体から、完全に寝間着を剥ぎ取ってしまうと、いきなりキツく抱き締めてきた。

「あっ……!」

 小松は、ゆきの首筋に、堰を切ったようにキスの雨を降らせてくる。激しくて、息が出来ない。

 どれだけ愛されているかを、感じずにはいられない。

 首筋を強く吸い上げられる。痕が着くのは確実だ。

 それでも止めて欲しくはなかった。

 小松の唇は、首筋からデコルテにかけて這い回り、ゆきの胸を柔らかく捕らえた。

 好きで好きでしょうがない。

 小松だから、このようなことも簡単に許すことが出来るのだ。

 小松は両手で、ゆきの乳房を下から持ち上げてくる。

 ゆっくりと意地悪に、そして焦らすように、揉みあげてきた。

「……やっ……!」

 艶やかな甘い声を出すと、小松は更に焦らしてくる。

 お腹の奥が熱くなり、今までとは違った変化が生まれる。

 肌が震えて、どうしようもない。

 大好きな小松に、更に深い部分に触れて貰いたい。

 そんなことすらゆきは感じてしまう。

 身体の中心からじんわりと甘い潤いが滲んできた。

 小松が欲しいと言う気持ちが、更に高まっていくのを感じた。

 小松は、心から楽しむように、ゆきの敏感な乳房の先を、指先で何度も擽ってきた。

 刺激を与えられると、余計にゆきの細胞は震えてしまう。

 乳房の先の薔薇色の乳首を擽られるだけで、ゆきは身体を震わせた。

 身体の奥が鈍くなり、それが何処か気持ちが良い。とても幸せな感覚だ。

「た、帯刀さん……っ!」

 小松の名前を呼ぶと、いきなり胸の先端を唇に含まれた。

「……あっ……!」

 小松の唇が、器用にゆきの蕾を吸い上げてくる。舌先で甘く転がされて、ゆきは華奢な背中をしっかりとのけ反らせる。

「……やっ……!」

 小松に集中して愛撫をされる度に、身体の中心が潤んでしょうがなかった。

 肌を薔薇色に染め上げながら、ゆきは小松に主導権を握られることが、嬉しくてしょうがなかった。

「本当に可愛いね、君は……。もっともっと私色に染めてあげないといけないね……」

 小松は唇をゆっくりとゆきの平なお腹に押し当てる。

 ゆきの白く滑らかな肌を横断するために、唇をありとあらゆる場所に押し付けてきた。

 腹部から弾力のある太股、すんなりした脚に向かう。

 小松の美しい手で撫でられて、唇でしっかりと愛撫される。

 全身が震えて、身じろぎしてしまう。

 小松から無意識に身体をずらそうとすると、強く引き寄せられた。

 背中からしっかりと抱き締められる。

 息が出来ないぐらいに抱き締められる。

 項から背中、そしてヒップラインにかけて、しっかりとキスを受ける。

 全身が酷く感じると共に、身体の中心が益々潤んできた。

 小松からの愛撫がとても気持ちが良いと感じる。

 このままもっと感じたいと、思った。

 意味ありげに、ゆきの太股が撫でられたかと思うと、いきなり脚を大きく開かれてしまう。

 こんなにも恥ずかしいことは他にないのにと、ゆきが泣きそうになっていると、小松はゆきの中心の、最も潤った部分の表面を、しっかりと撫で付けてきた。

「……やっ……!」

 もう先ほど以上に感じることなどなかったのに、また、激しく感じてしまう自分がいる。

 泣きそうだ。

 恥ずかしすぎてゆきが必死になって脚を閉じようとしたが、小松はそれを許してはくれなかった。

 恥ずかしくて、どうしようかと思う。

 目を閉じようとしても、敏感に感じる快楽が生々しくて、閉じられない。

 夢見るように美しいというよりは、感覚だけが研ぎ澄まされて、生々しく愛を感じる。

 だが、夢物語のような感覚よりも、こちらのほうがより確かな愛を沢山感じることが出来ると、ゆきは思った。

 愛する人をとても近くに感じられた。





マエ モドル ツギ