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痛みが全身を貫き、ゆきは思わず息を止めた。 頭の先から突き抜けるような痛みに、ゆきは小松の背中にしがみついた。 痛みを我慢しなければならないのは解ってはいる。だが、この痛みは、本当に辛くて、ゆきは涙を溢した。 だが、ここで止めて欲しいとは思わなかったし、思えなかった。 「……ゆき、大丈夫だから。私がそばにいるでしょ?」 「……はい……。だから、頑張れます……」 ゆきはか細い声ではあるがなんとか呟き、微笑んだ。 小松の圧迫は信じられないぐらいにきつくて、苦しい。 その上、傷む。 それでも、愛しているから止めて欲しいとは思わなかった。 ずっと小松と一緒にいたい。 だからこそ、この痛みになんとか耐えられるのだろうと、思った。 「君は本当に良い子だ……。そして、可愛くてしょうがないね」 小松は切なく情熱的に呟くと、更に激しく腰を動かしてきた。 「……んっ……!」 小松に動かれる度に、涙が激しく滲んでしまう。 痛くて堪らない。 「……ゆき、可愛い、ゆき……。力を抜きなさい……」 小松は優しく柔らかく囁いてくれる。 「……どうして良いか……」 「呼吸を意識して……、力を抜きなさい……。力を抜かないと、痛みは続くよ……」 「……痛くても……、大丈夫……っ!」 ゆきは小松に心配をかけたくはなくて、なんとかにっこりと微笑んだ。 「……どうして?」 「だって……、小松……さん、だから……」 「私だから……」 小松は魂の奥から情熱を迸るかのように呟くと、そのままゆきを強く抱きすくめた。 「……君はなんて、可愛いことを言うの?もう、私は止められない……」 小松は掠れた声で情熱的に呟くと、更に奥に入ってきた。 「……ん、やっ……!」 今までで一番の痛みに、ゆきは思わず声をあげた。 はかの瞬間、涙が激しく零れ落ちてしまうほどに、痛みを感じた。 心臓が止まるのではないかと、ゆきは思ってしまう。 だが、それでも、小松とひとつになることと比べたら、痛みなんて大したことはないと、ゆきは思った。 本当に痛い。 「……ゆき、君は本当に可愛い……。そして、愛しい……」 小松は、ゆきを慈しむように、何度も何度もキスを繰り返した。 胸が高まる。 幸せで、痛みなんて忘れてしまいそうになる。 小松はゆきの涙で濡れた瞳をじっと見つめた後、ゆっくりと頬を撫でてくれた。 小松は、胎内ではちきれてしまうのではないかと思うほどに、力がみなぎっている。 ゆきはみなぎる力に畏敬の念を感じながら、それを受け止めたいと、思った。 「ゆき、君を完全に私のものにするよ。良いね……」 「はい……」 ゆきはか細く呟くと、小松をギュッと抱き締めた。 ゆっくりと、ゆきを気遣うように、慈しむように、小松はゆっくりと動いてくる。 動く度にふたりが擦れあう淫らな水音が響き渡った。 痛みが少しずつ鈍くなってきた。 同時に繋がっている場所から、じわじわと痺れるような快楽が滲んでくる。 息が出来ないぐらいに快楽に似た痺れたものが、ゆきの全身に巡り始めた。 「……ゆき、君はとても素晴らしい……」 小松は艶やかな吐息を滲ませながら呟くと、ゆきを更に突き上げてきた。 こんなにも激しく突き上げられるなんて、思ってもまたがなかった。 痛みと鈍い快楽。 これらが交互にやってくる。 息が出来ないぐらいに甘くて切ない感覚に、ゆきはこのまま溺れてしまいそうにかる。 「……んっ、あっ……!」 自分の声だとは思えないぐらいの艶やかな声に、ゆきは驚いてしまう。 痛みが少しずつ慣れてくる。 小松は、自分ではコントロール出来ないとばかりに、激しく腰を突き上げてきた。身体がバラバラになってしまうのではないかと思うほどに、激しい突き上げがくる。頭がおかしくなる。 狂うおしいほどに、小松を全身で受け止めた。 無意識に小松を離したくはなくて、ゆきは小松自身を無意識に激しく締め付ける。すると小松は、更なる突き上げを繰り返す。 こんなにも激しく突き上げられると、ゆきはもう何も考えられなくなる。 小松を全身で感じたくて、ゆきは逞しい背中を強く抱き締めた。 息苦しい。 そう感じてしまうほどに、ゆきは小松で満たされた。 まだ、ズキズキとした痛みがあるが、それでも満たされた想いが、ゆきに快楽を感じさせてくれる。 小松も既に自身をコントロール出来ないぐらいに、ゆきのことを気遣うことが出来ないぐらいに、愛と情熱の嵐に巻き込まれている。 ゆきもまた、その嵐の一部になる。 身体が弛緩して、バラバラになりそうだった。 無意識に激しく小松を締め付け、ゆきは腰を小松のリズムに合わせて、無意識に動かしてしまう。 「……ゆきっ……」 小松が名前を呼んだ瞬間に、身体がふわりと高みに押し上げられるぐらいに、突き上げられる。 最奥を突き上げられる。 息が出来ない。 全身がバラバラになってしまいそうになるぐらいに、ゆきは快楽を高まらせる。 小松の逞しい身体も揺れた。 熱い飛沫が身体に注がれる。 そのままゆっくりと墜落していったのは、言うまでもなかった。 いつのまにか、小松が圧迫を解いていてくれたらしい。 ゆきはピリピリと下肢が傷むのを感じながら、ゆっくりと目を開けた。 微笑む小松と目が合い、恥ずかしくなる。 顔をつい隠したくなる。 すると小松は、ゆきを柔らかく抱き寄せてきた。 「ダメだよ……。顔を隠さないの」 「……恥ずかしいです……」 「だめ」 小松に甘い声で言われると、ゆきは抵抗が出来なくなってしまう。 顔をそっと出すと、小松はゆきの鼻にキスをしてきた。 「……小松さん……」 「もう、君を離さないからそのつもりで」 小松は艶やかな声でゆきに囁くと、もう一度、強く抱き締めてくれた。 ドキドキし過ぎて、ゆきは震えてしまう。 小松が離さないでいてくれる。 それは、ゆきにとって、何よりも幸せなことだ。 つい笑顔になった。 「小松さん……、私を離さないで下さい……。私も離れませんから」 ゆきが笑顔で言うと、小松はフッと微笑む。 「……そんな可愛いことばっかりを言うと、私は君を欲しくてたまらなくなるでしょ?責任を取って貰うよ?」 小松はクスリと笑うと、ゆきを再び組み敷いて愛し始めた。 結局、ゆきが甘く激しく愛されたのは、言うまでもないことだった。 幸せな疲労に漂っていたのは、言うまでもない。 |