*悪魔のようなあなた*

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 小松は、ゆきのワンピースを素早く脱がすと、首筋を強く吸い上げながら、ゆきの乳房を揉みしだいてくる。

 愛撫をされると、それだけで気持ちが高まってしまい、ゆきは愛が全身から迸るのを感じた。

 実際には、愛と共に小松への欲望が溢れてくる。

 一度、小松を知ってしまうと、小松に身体を愛されてしまうと、気持ちが溢れて止まらなくなる。

 幸せと切なさ、そして激しい欲望に、ゆきは溺れてゆく。

 これほど愛しいと、これほど欲しいと思う相手は他にはいないから。

 小松はゆきを背後から責めることを止めない。

 小松はゆきのランジェリーに手を入れて、既に沸騰を始めた部分を弄り始める。

 ゆきは触れられるだけで、欲望を一気に高まらせてゆく。

 感じている証であり、欲望と愛情を滲ませて、蜜を滲ませる。

 愛している。

 その想いが滲んで、ゆきは泣きそうになった。

「あっ、帯刀さんっ……!」

「君は男をその気にさせる天才だね……。私を煽って、誘っているのだからね」

「……帯刀さんっ……!」

 小松は容赦なく指先で熱い場所を愛撫し、感じすぎてゆきは腰が痺れてくる。

 指先を熱い場所に突き入れられて、ゆきはもう立っていられなくなってしまった。

「……帯刀さんっ……!」

 ねだるようにその名前を呼ぶと、小松はゆきを更に抱き寄せてきた。

「……ゆき……、君は私を狂わせる天才だね」

 小松は指先を胎内から抜く。

「ゆき、腰を出して、壁に手をついて身体を支えて」

 ゆきは、帯刀が欲しくてたまらなくて、壁にしっかりと手をつけて自分自身の身体を支えた。

 すると、小松は、ゆきの細くて華奢な腰周りをしっかりと支えて、ゆっくりと自身を胎内に突き立ててきた。

 気持ちが良くて、ゆきは思わず目を閉じてしまう。

 気持ちが良すぎて、ゆきは涙を瞳に滲ませた。

「……こんなに早くセックスに順応するとは、思ってもみなかったよ……」

 小松は苦しげに言うと、ゆきを力強く奪い始めた。

 小松の動きが激しくなり、ゆきは何もかも考えられなくなる。

 このまま、自堕落にも乱れても構わないとすら思ってしまう。

 激しく何度も突き上げられて、ゆきは何も考えられない。

 思考が止まってしまうぐらいに気持ちが良いことがあるのだと、改めて感じずにはいられなかった。

 愛が、欲望が一気に高まって爆発する。

 こんなにも気持ちが良くて、愛を確かめあえる行為は他にはないと、ゆきは改めて感じずにはいられなかった。

 小松の突き上げが激しくなってゆく。

 そのまま、ゆきは意識を一気に弾けさせる。

 ぐったりしてしまい、自分が今、どのような格好で愛されているか自体も、解らなかった。

 

 あれから小松にはベッドでも更に激しく愛されて、気がつくと抱き締められながら、眠ってしまっていた。

 まだ、身体の奥に小松の熱いものを感じる。

 愛されて、愛した証なのだ。

 抱かれる前にはもう戻れないし、戻りたくもなかった。

 こんなにも情熱的に愛されてはいるが、小松はゆきに本当の意味で、愛の言葉を告げてはくれない。

 愛し合っている時ですら、ゆきには甘い言葉は告げてはくれない。

 行為そのものは、とても情熱的ではあるが。

 ゆきは、しっかりと抱き寄せられているのを感じながら、小松の腕からすり抜けて、ベッドから出ようとした。

 しかし、直ぐに強く抱き締められる。

「どこに行こうとしているの?」

 小松はキッパリと言うと、ゆきを更に強く抱き締めてきた。

「……少し眠れないので……」

「……だったら、子守唄を歌うか、お話でも聴かせてあげようか?」

 まるで小さな子供に言うように言いながらも、どこかゆきをからかっているようにも感じられた。

 子供としか、やはり見てはくれないのだろう。

 それが悔しくて、切ない。

「大丈夫です。そのうち眠れますから……。少し、喉が乾いたのでキッチンに行きますね」

 ゆきはベッドからすり抜けると、置いてあるガウンを羽織る。

「これ、借ります」

「どうぞ」

 小松のガウンを着て、ゆきはキッチンに向かう。

 小松のガウンだから、ゆきにとってはぶかぶかだった。

 だが、小松に優しく抱き締められているような気持ちになり、ついうっとりとしてしまった。

 とても優しい感覚だ。

 水を飲んだあと、ゆきはダイニングテーブルに腰かける。

 こうしているとゆきは落ち着く。

 だが同時に、寂しくもなる。

 愁いが滲んで、胸が痛くなってしまった。

 息苦しくて、どうしようかと思ってしまう。

 小松が分かりやすく、愛していると表現してくれたならば、きっとこんなにも切ない気持ちにはならなかっただろう。

 ゆきは、そこだけが引っ掛かると感じていた。

 ゆきは胸が痛くて、苦しくなる。

 どうしようかと思っていると、人影を感じた。

「……ゆき、戻って来ないと思ったら、何をしているの!?」 

 顔を上げると、小松が厳しい表情で立っていた。

「少しぼんやりとしていたかったんです」

「……全く……。戻るよ、ゆき」

 小松はゆきを抱き上げると、そのままベッドルームへと向かう。

 ベッドに優しく寝かされて、抱き締められる。

「……ゆき、どうしたの?さっきから。眠れないのなら、ちゃんと言いなさい」

「……大丈夫です。眠れますから……」

 小松の然り気無い優しさに感謝をしながら、ゆきは抱きつく。

 まるで小さな子供が甘えるように。

「……じっとこうしていて貰えませんか?そうしたら眠れるような気がしますから」

「……分かったよ。しょうがないね、君は……」

 まだまだ子供だとばかりに小松は呟く。

 そう思われても、本当にしょうがないと思う。

「……ゆき、おやすみ。ゆっくり眠りなさい」

「はい」

 小松についしがみついてしまうのは、捨てられたくないから。

 それだけだ。

「……君は昔から変わらないね。まあ、それが良いところなんだけれどね……」

 フッと笑うと、小松は更に抱き寄せてくれる。

 こうしてじっとしていると、眠ることが出来る。

 小松と身体を重ね合わせているのに、どうして一番核心に触れることが出来ないのだろうか。そればかりを考えてしまう。

 ゆきは泣きそうになった。

 涙をなんとか引っ込めると、ゆきは目を閉じる。

 小松の心に触れたい。

 小松の愛に触れたい。

 それは難しいことなのだろうか。

 ゆきは、大好きなひとの愛を貪欲に探し求めていた。





マエ モドル ツギ