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小松はゆきを抱き上げると、ベッドへと運ぶ。 まるで王子様がお姫様に行う神聖な儀式のように。 ベッドまで来ると、優しくその上に寝かされる。 初めての一人暮らし。 初めての夜。 初めてひとりで暮らすことになったが、その夜に、まさか、ゆきが愛して止まない小松と一緒に過ごすことになるとは、思ってもみなかった。 しかも小松のベッドでだなんて、到底、想像することなんて出来るはずもなかった。 ゆきは緊張しながら、小松を見上げた。 「……ゆき、君は私だけを見つめ、私だけを感じていれば良いよ……。それが命令……」 小松は慣れた手つきで、ゆきの衣服をはぎ取る。 ゆきは恥ずかしくてしょうがなかったが、小松にされるままになる。 引っ越し作業をしていたから、今日はサブリナパンツと白いカットソーを着ていたが、小松はそれをいとも簡単に脱がしてしまった。 手慣れているから、少し悔しい。 こちらは全く経験がないのに。 小松にランジェリー姿を晒すのがとても恥ずかしくて、ゆきは思わず目を強く瞑った。 恥ずかしさの余りに顔が真っ赤になって熱い。 ドキドキし過ぎて、どうして良いのかが解らなかった。 「ゆき、目を開けなさい」 小松に命令されても、ゆきは上手く対応することなんて出来ない。 恥ずかしくて目を閉じることしか、出来なかった。 「ゆき、目を開きなさい」 小松はもう一度きつく言う。 少し苛立っているようにも感じられる。 「ゆき、君は、自分が私に何をされているのか、きちんと見つめる必要があるからね。だから、目を開けなさい」 小松にキッパリと言われてしまい、ゆきはとうとう目を開いた。 ゆっくりと目を開くと、小松は意地悪なのに優しくて、甘く、更に艶やかさを滲ませた眼差しを向けてくれる。 「……そう、良い子だね……。ちゃんと見ていなさい。君が私にどのように愛されるのかをね?」 小松はフッと甘い笑みを浮かべながら、ゆきの額にキスをした。 見つめてくる小松の瞳は、大人の男性そのものの艶のあるものに変わっていた。 小松は、ゆっくりと焦らすように、ゆきをいじめるように、ランジェリーを剥ぎ取る。 胸を露にされてしまい、ゆきは思わず隠そうとした。 だが、それを寸前で止められてしまう。 「……ダメだよ、ゆき。綺麗なものは隠さない。それに見ているのは私だけだからね。気にすることなんてないよ」 小松はじっと、マシュマロのように柔らかで優しいゆきの胸をじっと見つめてくる。 ゆきは恥ずかしすぎて、どうしても小松の眼差しをまともに受け止めることが出来なかった。 「ダメだよ、恥ずかしがっては。君は綺麗なのだから、もっと自信を持っても構わないから」 小松に言われると、何よりもの自信に繋がる。 ゆきは頬を赤らめながら、潤んだ瞳で見つめる。 すると小松は色気のある唸りを上げた。 「ゆき、君の眼差しが破壊的だって知らないの?」 小松は苦悩するような色気のある声で呟くと、ゆきの残りのランジェリーを一気に取り払った。 「あっ……!」 ゆきはとうとう生まれたままの姿にされて、このまま小松の視線から逃れたくなった。 しかし、そうはいかずに、いきなり強く抱き締められた。 「……君は綺麗だった。今は純真無垢、真っ白といっても構わないね……。君を汚して、私だけの色に染め上げるから、覚悟して?」 小松の言葉のひとつ、ひとつが、まるで華やかな毒のようだ。 艶やかで、一度飲んでしまったら、恐らくは中毒になってしまう艶やかな麻薬だ。 だが、小松と言う名の麻薬ならば、中毒になっても構わないとゆきは思った。 ゆきにとっては最高の劇薬には違いないから。 小松は、ゆきの身体の柔らかさを確認するかのように抱き締めたあと、自らのスーツを素早く脱ぎ捨てる。 ジャケットを脱ぐ仕草も、ネクタイを緩める仕草も、カッターシャツを脱ぎ捨てる仕草も、総てが洗練されて、艶やかで、とても絵になる。 ロマンティックなシーンを見ているような気持ちになり、ゆきは小松に魅了された。 大人の男の艶やかさが凝縮されているように見えた。 小松も、ゆきと同じように生まれたままの姿になる。 お互いの肌と肌がしっかりとぶつかり、熱さと艶やかさを共有する。 肌がダイレクトに触れあっているだけで、なんて気持ちが良いのだろうかと、ゆきは思った。 小松は宣言通りにゆきを抱くのだ。 そして。ゆきも小松を受け入れて抱かれるのだ。 まさか、こんな日がこんなにも早くやってくるなんて、ゆきは思ってもみなかった。 小松はゆきの頬や額、唇に何度もキスの雨を降らせてゆく。 くすぐったいのに、きもちがよい。 小松は、ゆきに自分の熱や想いを伝えるように、何度もキスをしてくれた。 小松の唇が、ゆきの首筋から鎖骨にかけて、ゆっくりと、はい回る。 首筋を吸い上げられて、ゆきは思わず熱い吐息を漏らさずにはいられなかった。 首筋から背中にかけて、甘い震えが走り抜ける。 身体の中心が震えてしまい、ゆきは呻き声を上げた。 深いキスを受けたときと同じぐらいに熱い震えだ。 初めからこの感覚ならば、それ以降はどうなってしまうのだろうかと、ゆきはつい思ってしまう。 小松色に染め上げられた時には、蕩けてなくなってしまうのだろうか。 小松は、ゆきを放さないとばかりにしっかりと抱き締めながら、鎖骨にも唇を這わせてきた。 「……ゆき、私は君のうなじも好きだってこと、知っていた?」 小松はくすりと笑うと、ゆきを背中からしっかりと抱き締めると、うなじから肩のライン、背中にキスの雨を降らせてきた。 背後から抱き締めながら、ゆきの柔らかな乳房をやんわりと揉みあげてくる。 「……あっ、帯刀さんっ……!」 ゆきは声が甘く響くのを感じながら、熱い吐息を出してしまう。 肌がざわついてしまうぐらいに感じてしまう。 小松は、ゆきの背中にキスをしながら、胸の柔らかさを確かめるように、張りつめてくるまで、揉み上げた。 ゆきはお腹の奥が潤んで震えてくるのを感じながら、小松に更に身体を溶かして欲しいと感じた。 小松の与えてくれる熱でとろとろに溶けてしまえたら良い。 そして小松色に染められて、その色が抜けなければ良いのにと、ゆきは思ってしまう。 背中から抱き締められると、本当に小松からは逃げられない。 逃げない。 ゆきは喘ぎながら強く思った。 |