*夫婦しぐれ*

9


 本当にゆきはなんて可愛いのだろうかと、小松は思わずにはいられない。

 これほどまでに誰かを愛しいと思ったことは、いまだかつてなかったことだ。

 小松の愛撫に溺れて、全身に快楽を走らせ、意識を失ったゆきが、可愛いくてしょうがない。

 ゆきを妻にして良かったと、小松は心から思わずにはいられない。

 こんなにも誰かを熱望したのはなかった。

 ゆきの柔らかな身体を強く抱き締めると、ゆっくりとゆきが、夢見るように目を開ける。

 快楽で失神してしまうなんて初めてのゆきは、驚いたように目を見開いた。

「……帯刀さん……」

「気分はいかがかな?ゆき」

「大丈夫ですけど、ぼんやりと、ふわふわした感じです………」

「なるほどね」

 ゆきがぼんやりと話す姿すらも、小松には愛しくてしょうがない。

 こんなにも可愛い女性が他にいないと、強く思うほどだ。

 小松はゆきの頬を優しく撫でた後で、唇を軽く重ねる。

 キスをするだけで、くらくらしてしまう。

 それほどまでに、小松はゆきに強く惹かれていた。

 ギュッと抱き締めると、小松の欲望は最高潮になる。

 ゆきが欲しい。

 ゆきの熱さを感じたい。

 ゆきとひとつになりたい。

 ゆきに身を沈めたい。

 欲望が強化され、小松は息が出来なくなる。

 もう限界だ。

 ゆきに自分を注ぎ込みたくなる。

 小松はゆきを官能的な眼差しで見つめた後、脚を大きく開かせた。

 

 小松に脚を開かれて、ゆきは恥ずかしさで卒倒しそうになった。

 ドキドキと羞恥でどうにかなってしまいそうだ。

 息が出来ないぐらいに緊張する。

 これから本当の意味で小松の妻になるというのは分かる。

 だが、それがどのような意味をなすのか、ゆきには全く分からなかった。

 恐い。

 だが、抵抗することは出来ない。

 ゆきは、ただ身体を固くすることしか出来ない。

「ゆき、力を抜いて。私に任せておきなさい……」

 優しいのに、艶やかな声で小松が囁いてくる。

 小松の声を聞くだけで、背中が甘く震えて、このまま崩れ堕ちてしまいそうだ。

 身体の奥が狂おしいほどに熱い。

 ゆきの中心は、小松を求めて疼いている。

 言葉にすることが出来ないほどの疼きを、どうにかしてくれるのは、小松しかいない。

 それはゆきには誰よりも分かっていた。

 小松しかいない。

 だからこそ、小松に任せるしかないと、ゆきは思った。

 小松はゆきの身体を優しく撫で付けてくれる。

 これで大丈夫だ。

 ゆきは身体からゆっくりと力を抜いた。

 小松は、それを察してか、ゆっくりとゆきの足の間に、自分の身体を入れる。

 そして、ゆきの疼く場所に通じるところに、硬くて熱いものを宛がった。

 こんなにも猛々しい欲望を感じたことはなくて、ゆきは、一瞬、腰を引いてしまう。

 だが、直ぐに小松が引き寄せてきた。

 小松の熱くて硬い欲望の先端で、入口を撫でられる。

 全身に震えが起きて、ゆきは胸が苦しくなった。

 これから自分はどうなってしまうのだろうか。

 そんな怯えから、ゆきは逃れることが出来ない。

 ゆきが不安な気持ちを抱えたままで、小松を見上げると、宥めるように優しいキスを唇にくれた。

「……大丈夫……。私に任せて……」

 小松は、愛しいとばかりにゆきの頬のラインを撫でてくれる。

 愛されている。

 ゆきはそう感じずには、いられなかった。

 小松がゆっくりとゆきの胎内に入ってきた。

 最初は優しいと思った。

 だが、次の瞬間、入口を押し広げられる痛みに、ゆきは涙をこぼした。

 頭の先に痛みが突き抜ける。

 こんなにもひどい痛みを経験したことは、今までなかった。

 ゆきは、思わず小松の肩にしがみつく。

 小松の肩はしっかりしていて逞しく、ゆきを護ってくれるような精悍さがある。

 息が出来ない。

 こんなに圧迫されるなんて、思っても見ないほどの圧力だ。

 身体が割かれているのではないかと思うぐらいに痛い。

 だが、ゆきは何とか堪える。

 小松にしっかりとしがみついて、ゆきは痛みに耐え抜こうとした。

「……大丈夫だから……。本当に大丈夫だから。私を引っ掻いても、構わないからね」

 小松の言葉に、ゆきは更にしがみついた。

 小松はゆきの胎内をゆるやかに進んでくる。

 小松が奥に進む度に、ゆきは厳しい圧迫と痛みに息が出来ない。

 涙がじんわりと滲むような痛みに、ゆきは息を飲むしかなかった。

 痛くてたまらない。

 だが、それを耐え抜くことが出来るのは、それだけ小松のことを愛しいと思っているからだ。

 子供から大人になる瞬間、ゆきは眉間にシワを寄せながら、小松に抱きつく。

 頭の先から突き抜けるような痛みなのに、小松だからこそ耐え抜ける。

「……ゆき、君は本当に大切な子だよ……」

 小松は低い声で優しさと甘さを滲ませるように囁いてくれた。

「……君とならずっと上手くやって行けそうな気がするよ」

 小松は、ゆきの瞼にキスをした後、息を乱しながらゆっくりと動き始めた。

 この上ない優しい動きに、ゆきは痛みが鈍くなるのを感じる。

 柔らかな絹のような小松の動きに、ゆきは少しずつ反応する。

 小松の息がかなり粗くなっていく。

 ゆきの痛みも、厳しいものから優しいものになる。

 ゆきは初めての感覚に溺れそうになった。

 蕩けるような感覚に、ゆきは徐々に順応して行く。

 とても甘くて、狂おしい感覚だった。

 小松の動きが激しくなってゆく。

 ゆきは小松が与えてくれる快楽以外は、もう欲しいとは思わなくなった。

「……帯刀さんっ……!」

「君は、とても可愛い声で啼くね……。たまらないぐらいね……」

 小松は艶やかで甘く息を切らせながら、動きを活発にしてゆく。

 小松は、激しく突き上げていく。

 その激しさを、ゆきは華奢な身体で何とか受け止めた。

「……ゆき……」

 小松の息遣いも声も乱れる。

 視界が揺れる。目を開けてはいられないぐらいに、ゆきの全身に快楽の震えが走り抜けて行く。

 このまま墜ちてゆきたい。

 そう思うほどに気持ちが良くて、うっとりとした。

 今はただこのまま快楽に堕ちて行くしかない。

 小松を包み込みながら、ゆきは思いきり締め付ける。

「……あ、ああっ!」

 小松が最奥を渾身の力で突き上げた。

 ゆきの快楽は頂点に達し、そのまま堕ちて行く。

 初めての墜落。

 だが、何よりも素敵な墜落だと、ゆきは思わずにはいられなかった。


ウシロ モドル ツギ