*あなたの生まれた日*


 ずっと昔からこうなりたいと思っていたし、また、そうなる予感もあった。だから、少しもおかしいとは思ってはいない。

 むしろ、小松が生まれた日にそうなれたこと、そうなれることを、ゆきは、幸せに思っている。

 本当に幸せで、こんなにも満ち足りたことは他にないのではないかと、思う。

 緊張し過ぎて、ドキドキしてしまう。

 だが、この瞬間をずっと待っていたような気がした。

 小松は、蕩けてしまうぐらいに優しくて甘い笑顔をゆきに向ける。

「……ありがとう、ゆき。途中で嫌だと言っても、止められないからね……。そのつもりで……」

「……はい。嫌だなんて思うぐらいなら言いません」

「……確かにそうだね。君はそういう子だ。だから、私は君を好きになったんだけれどね……」

 小松はくすりと微笑むと、今度は深い角度で、ゆきに口付けてきた。

 深くて濃密なキス。

 小松は舌を口腔内に入れ込むと、ゆきを愛撫してゆく。

 たっぷりと愛撫されて、ゆきは身体がとろとろに蕩けてしまうのを感じた。

 心地が好くて、このまま溶けて行くのではないかと思ってしまうぐらいに、甘いキスだった。

 息が上手く出来ないのを感じながら、ゆきは小松にすがり付いた。

 このようなキスは今までも経験したことがあった。

 しかし、こんなにも全身が燃え盛って、ロマンティックなキスは初めてだ。

 気持ちが好くて、ゆきはうっとりと身を委ねてしまう。

 お互いの熱と唾液と愛情を交換しあいながら、何度もキスを重ねた。

 こんなにもロマンティックなキスは、今までに無かったのではないかと、ゆきは思う。

 キスだけで、身体がほわほわと満たされる。

 ぼんやりとしていると、行きのパジャマのボタンを、小松が器用に外し始めた。

 これからどうなるのか、どうするのかが、解っているというのに、ゆきはつい身体を固くしてしまう。

 自意識過剰のような反応をついしてしまう。

 ゆきが真っ赤になりながら、小松を見つめていると、額に口付けられる。

「……そんな目で私を見るなんて、本当に、君をとことんまで奪いたくなるぐらいに、余裕がなくなってしまうよ……」

 小松は艶やかに呟くと、ゆきのパジャマを一気に脱がしてしまう。

 ランジェリー姿にされて恥ずかしい想いをしていたのも束の間で、直ぐにそれらも取り払われた。

 小松に白い裸身を曝すことになってしまい、ゆきは隠そうとした。

 だが、小松のクールなのに情熱的な眼差しを向けられると、隠すことが出来ない。

 ゆきは、身体を僅かに小刻みに震わせる。

「……ゆき、君は本当に綺麗だね……。隠さないで……。私の前ではその身体を……」

 小松は、ゆきのボディラインを、視線でなぞってゆく。

 それをされるだけで、ゆきは恥ずかしさで居たたまれなくなる。

「……そんなにも恥ずかしそうにしないで……。君は綺麗なんだから……」

「……帯刀さん……」

「この身体を愛でるのは、私だけの特権なんだからね?」

 小松は満足そうに言うと、ゆきのボディラインを掌で丁寧になぞってゆく。

「……あっ!」

 触れられるだけで、身体に電流が流れたのではないかと思うぐらいに、感じてしまう。

 ドキドキし過ぎて、ゆきは肌も心も震わせた。

「さわり心地も君は最高だよ……。本当に綺麗だ」

 小松は、自身の着ている物も、総て脱ぎ捨ててしまうと、ゆきを生まれたままの姿で、しっかりと抱き締めてきた。

「……帯刀さんっ……!」

 甘い声が零れ落ちる。

 肌と肌を直接ふれあわせるというのは、なんて気持ちが良いのだろうかと、ゆきは思う。

 とても幸せな感覚だ。

 ゆきは、裸で抱き合うことが、これ程心地が良いものだと言うことを、今まで知らなかった。

 なんてロマンティックで素敵なことなのだろうかと、ゆきは思う。

 小松はゆきのほっそりと長い首筋に唇を押し付けると、ゆっくりと愛し始める。

 首筋に体温よりも少しだけ冷たい小松の唇を感じるだけで、背中が震えてしまう。

 甘い声を何度となくあげてしまうぐらいに、“気持ちが良い”と感じた。

 ゆきは自分の声が、こんなにも甘く響くなんて思っても見ないぐらいに、感じてしまう。

 ドキドキし過ぎて、何をどう受け入れて良いのかが、ゆきには全く分からなかった。

 小松にキスされるたびに、鼓動が激しくなり、息遣いが荒くなる。

 心臓がおかしくなってしまうぐらいだ。

 肌すらも震えてしまう。

 ゆきは身体を震わせながら、このままだと、心臓が飛び出してどこかへ行ってしまうのではないかと、思った。

 ゆきは鼓動を早くしながら、小松を潤んだ瞳で見つめる。

 すると小松は、ゆきを激しく抱き締めてきた。

「どうして君はそんなに可愛いの……」

 小松は絞り出すような声で官能的に囁いた後、ゆきにキスの雨を降らせてゆく。

 どのキスにも、小松の愛情が詰まっている。

 キスを受ける度に、ゆきは細胞まで愛情が浸透してゆくような気がした。

 小松の大きくて美しい掌が、ゆきの柔らかな胸をとらえる。

 ゆっくりとリズミカルに揉み込まれて、ゆきは身体が熱く高まってゆくのを感じた。

「……帯刀さんっ!」

 やるせない熱に、ゆきはつい甘い声で愛するひとの名前を呼ぶ。

 小松に総てを知られる。

 それは怖いことでもあるが、それ以上に喜びも大きい。

 小松だからこそ、総てを知って欲しかった。

 胸が張り詰めるまで愛撫される。

 ゆきは、息を小刻みに吐きながら、小松にすがり付く。

 背中が震えるぐらいに感じてしまう。

 ゆきは、身体がバラバラにはなり、自分のものではなくなるような、そんな気持ちになった。

「……ゆき、君は本当に可愛いね……」

 小松は優しく囁くと、ゆきを更に強く抱き締めてくれる。

 快楽が全身に小波のように流れてゆくのを感じながら、ゆきは背中をゆっくりとのけ反らせた。

 身体の奥が熱を帯びていて熱い。

 まるで小松に反応して、化学変化を起こしているようだ。

 ゆきは、身体の中心が甘く痺れてゆくのを感じながら、熱いものが流れているのに気づいた。

 恥ずかしいのに、止められない。

 身体が小松を見つめていると求めているのが解る。

 ゆきは、無意識に小松に反応して、腰をゆるゆると動かしていた。

 小松が欲しい。

 欲しくて、しょうがない。

 それがどのようなことかは、本能で解る。

 ゆきは、小松を抱き締めながら、更なる熱を求めていた。




マエ モドル ツギ