ライン


 まさか将臣と一緒にホテルに行くことになるなんて、思いもよらなかった。
 想像している以上にスマートな内装に、望美はホッと胸を撫で下ろす。
 だが落ち着かない。
 部屋の入り口でもじもじしてしまっている。
「来いよ」
 ベッドの前で待ち構えている将臣に手を差し延べられて、望美は肌を震わせる。
 薄暗い明かりに浮かび上がる将臣はとてもなまめかしい。
 あまりにセクシィで、望美は思わず喉を鳴らした。
 怖ず怖ずと近付くと、手前で抱き寄せられる。そのまま噛み付くようなキスを受け、一気に熱が高まっていく。
「…ま、将臣く…ん…っ!」
 一瞬、唇が離れた合間に甘い声で名前を呼べば、余計に深いキスが降りてくる。
 舌が口腔内に入り込み、どうしようもないほどの熱を産む。
 将臣の舌に口腔内を犯され、肌が敏感なぐらいに粟立つ。望美は唾液が口の周りを濡らしているのもお構いなしで、本能でキスを求めた。
 将臣の背中に腕を回すと、更に強く抱きしめられる。
 深いキスを角度を変えて何度も受け、望美は立ってはいられないぐらいに下半身に痺れを感じ始めていた。
 縋りたい、もっと強く。
 腕に躰に、しっかりとした腰のラインに。
 子供の頃からずっと一緒にいて、今までは一度もそこまで意識したことはなかった。
 だが今は、将臣の奥に眠っていた艶やかさに何よりも反応してしまう。
 唇をたっぷりと愛された後、望美の躰はすっかり力を失っていた。
 崩れ落ちそうになっている躰を、将臣の腕がしっかりと支えてくれる。
「…大丈夫か?」
「大丈夫じゃないよ…。躰が熱くて、どうしようもなくなっているよ…」
 熱に浮かされた気分になりながら呟くと、将臣は腰をしっかりと抱いてくれる。
「だったらもっと熱くさせてやるよ」
 将臣は綺麗に笑うと、望美の躰をそのまま抱き上げて、ベッドに運んだ。
 ベッドに寝かされると、直ぐに将臣が、望美を組み敷くような体勢でベッドに乗ってきた。
 こんなにドキドキする体勢は今までに経験したことがなかった。
 煽り見る将臣は、鳥肌を立ててしまうぐらいに色香があり、望美はまた熱い吐息を漏らす。
 触れてみたい。
 ジーンズにぴったりと包まれた将臣の大腿部に。
 望美が欲望の赴くままにそこに触れると、将臣が一瞬息を呑んだ。
「お楽しみはまだだぜ? 先に俺を煽りまくった責任を取ってもらわねぇとな」
「…え、責任って…?」
 将臣は甘く微笑むと、望美のキャミソールの隙間から手を入れて来た。
「…やっん…!」
「すげぇ、良い声をしてるな。もっともっと出して、俺をしっかりと煽れよ」
 将臣は下着の上から、望美の胸を揉みこみ、やる瀬ない熱を煽ってくる。
 子宮の奥が切なく呻いた。
「…ま、将臣くん…っ!」
「細いのに柔らかくてふんわりしたお前に、ずっと触れたかったんだからな。もう限界だ。たっぷりと頂かせて貰うぜ?」
 将臣は巧みに望美の上半身を裸にすると、味わうように眺めてくる。
「やっ! 見ないでよっ…!」
 むきだしになった胸を腕で隠そうとすると、将臣はそれを許してはくれない。力づくで胸を開かれる。
「ずっと見て、触りたかったんだからな。隠すな」
「で、でもっ!」
「見ているのは俺だけだからいいんだよ」
 将臣は自分のものだとあからさまに主張すると、首筋に唇を押し付けて来た。
 強く吸い上げられて、痺れるような快楽が肌を突き破る。
 甘くてどこか麻薬のような感覚に、望美は首筋をのけ反らせた。
 鎖骨を舌先で愛撫される。
 そのたびに、躰が緊張で硬くなってしまい、将臣に苦笑いをされた。
「力を抜けよ、望美」
「う、うん…」
 簡単に言われても、力を抜くことなんて出来やしない。
 望美は呼吸を早くしながら、将臣に縋り付いた。
 頭の中が真っ白で、何をしていいかが解らない。
「将臣くん、どうしたらいいか、教えて?」
「俺のリードに任せておけ」
「だけど…男のひとって、人形みたいな女は嫌なんでしょ? 積極的じゃなきゃ…。雑誌とかでもよく書いてあるよ」
 望美が不安げに見つめると、将臣は苦笑した。
「お前は雑誌とか変な情報を見すぎ」
 将臣は望美の鼻を強く摘むと、笑った。
「俺はまっさらな女を自分好みに染め上げるのがいいの。だから、お前は俺のリードに任せばいいんだよ」
「将臣くん好みの女の子になればいいってこと?」
 望美が上目使いで見ると、将臣は良くない微笑みを浮かべる。
「まあ、そういうこと」
「おじさんみたいじゃない」
 望美が拗ねるように言うと、将臣はわざと怒ったような顔をする。
「戸籍上は、同じ年かもしれねぇが、俺のほうが三つ以上上だと言うことを忘れたか?」
「もっとおやじ臭く見えるよ」
 いつもからかわれるからと、望美はわざと将臣を挑発するように言う。
 将臣があからさまに、むうっと声を上げそうな不機嫌な顔をしたので、からかいがいがあった。
 それがとても楽しい。
「そんな減らず口、いらねぇだろ?」
「んっ…!」
 将臣は良くない笑みを浮かべると、望美の唇を深く奪ってきた。
 舌を深く入れこまれて、上顎をしっかりと愛撫される。
 背中に痺れるような甘い感覚が襲いかかってきた。
 呼吸までも奪われて、自分では上手くコントロールが出来なくなってしまう。
 息苦しいのに気持ちが良い。
 キスだけで追い詰められ、口角を噛まれたときには、どうしようもないぐらいに感じた。
 唇を離された後、もう何も考えられない状態になっていた。
「ま、将臣くん…」
「降参だろ?」
 降参なんて出来ない。意地っ張りにも望美は首を横に振った。
「…ったく、負けず嫌いなところは、昔から相変わらずだぜ」
「降参しな…んんっ!」
 再び唇を塞がれて、望美は躰を小刻みに震わせる。
 先程は激しかったのに、今度はこの上なく優しいキスをしてくる。この緩急技に、すっかり快楽に震えた。
 キスが終わった後も頭がぼんやりとして何も出来ない。
 潤んだ瞳で将臣を見ると、勝ち誇った笑みが視界に飛び込んできた。
「降参?」
 答える代わりに、望美は将臣の首に腕を回して、甘えるように引き寄せた。
 言葉がなくても、降参したことは充分に伝わった。
 ご褒美なのか将臣は触れるだけの軽やかなキスをくれると、唇を望美の乳房に押し当ててきた。
「…可愛いな?」
「あっ…んっ!」
 剥き出しの胸に痛いぐらいのキスを受けて、全身に雷が落ちるような衝撃を感じる。
 乳房に受けるキスが、こんなに甘美なものだとは、望美は知らなかった。
 舌で乳首を転がされて、子宮にずんとした感覚が宿る。
 望美にはそれが具体的にどのような感覚なのか、解らないでいた。
 ただ無意識に、触れたいと思っていた、ヒップラインをなぞる。
「触りたいか?」
 望美は熱にほだされながら、ただ一度頷いた。
コメント

「迷宮」の将臣のヒップラインに触発(笑)



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