竜田姫


 ふたりで都内のアパートに帰る間、ずっと手を握り合い、離さないでいた。
 最寄り駅まで戻ると、スーパーに行き、足りない夕食を買うことにした。
 何時はベタベタするのを嫌うくせに、将臣はむしろ積極的にベタベタしてくる。
 お互いが必要なものを購入した後、ふたりはアパートに戻った。
「煮物温めて、ごはんの用意をするね」
「俺は風呂の準備をしてくる」
「うん。お願い」
 二人だけの城で、こうしてお互いのことを思いながら料理をするというのは、なんて素晴らしいことなのだろうかと、望美は思わずにはいられなかった。
 二人だけで温かな食事を取るために食卓を囲む。
「聞かねぇのか? 結婚式のこと」
 望美は穏やかな笑顔を浮かべた後、ゆっくりと間を置いて頷いた。
「聞かないよ。将臣くんが素敵に用意をしてくれているから、私はめいいっぱい楽しみにしようと思っているから。だから聞かないよ」
 望美はにこやかに笑うと、頬を真っ赤に紅潮させる。
「だけど凄く楽しみなんだ。飛び上がって暴れまくりたいぐらいに、楽しみで嬉しいんだけれど、それをすると将臣くんが怒っちゃうかなあって思うから、やらないよ」
「ったく、当たり前だ。近所迷惑だし、お腹の子供にも迷惑だろうが」
 将臣は苦笑すると、望美の頬を撫でてくれた。
「綺麗にしてやるから楽しみにな」
「今でも充分に綺麗だよ」
 望美が茶目っ気たっぷりに言うと、将臣は楽しそうに笑った。

 夕食と片付けが済み、ふたりにとっては秘めやかな時間が訪れる。
 甘くて幸福で、そしてお互いの秘密を共有出来る時間。
 先程まで、家出騒ぎがあったなんて、到底信じられないことだった。
「望美、風呂に入ろうぜ。久しぶりに一緒に」
「将臣くんと一緒に入ると逆上せちゃうもん!」
「逆上せねぇようにするから」
 結局は、将臣の甘い懇願に負けてしまい、望美は一緒に入浴となってしまった。
「赤ちゃんのこと考えてね」
「解った」
 将臣は頷くと、望美に約束のキスをくれた。

 ふたりで汗を流した後で、狭い湯舟に浸かる。全身の疲れが解れていくようで気持ちが良かった。
 将臣が望美を背中ごと抱きしめるようなスタイルで、狭い湯舟に浸かる。
「やっぱ本当だったんだな」
 将臣が感慨深げに言うものだから、望美は訳が解らず将臣を見た。
「何がホントなの?」
「妊娠したら胸が大きくなるってことだよ。湯舟に浮き上がるぐらいに、でかくなっている」
将臣が恥ずかしげもなくさらりと言うものだから、望美は逆に恥ずかしくなってしまい将臣の顔にお湯をかけた。
「もうっ! スケベっ!」
「お前にしか欲情しねぇんだから、いやらしいことでも言えるんだろ?」
「やっ…っ!」
 乳房をもちあげるように揉みこまれてしまい、望美は思わず甘い声を上げてしまう。
「…乳首も…もっと色が変わると思っていたのに、お前のは可愛い色のまんまだな」
「あっ!」
 乳首を摘まれるだけで、子宮の奥がじんじんしてくる。
 望美の反応が楽しかったからなのか、将臣は余計に弄ってくる。
「最近、お前とやれなかったから、俺は相当限界まで来ているぜ? 嫉妬だなんて、可愛いことまで見せてくれたら、もう堪らなくなる」
「あっ、あんっ!」
 将臣は、望美の肩を甘く噛みながら、胸を強く揉み上げてくる。
「あっ! ああっ!」
 自分ね甘くていやらしい声が浴室にこだまする。
「何だか…恥ずかしいよ」
「俺しかお前の可愛い声は聞いちゃいねぇんだから、恥ずかしくなんかねぇだろ?」
 将臣はセクシィなよく通る声で囁き、止めようとしてくれない。
「…だって…赤ちゃんが聞いているような気がして…」
「聞かせておけばいいんだよ。お父さんとお母さんが凄く仲が良いことを見せ付けてやればいいんだよ…。生ま れても、俺は止めるつもりねぇからな。こんなことやあんなことを…」
「んっ…!」
 望美だって将臣には、ママとしてではなく、女として見て貰いたいと思っている。ずっと甘く愛し合うことが出来れば、これほど幸福なことはない。
 最初は力が入っていた望美の下肢がだんだん将臣に開かれてくる。
 ローズの香りが麗しい入浴材の入ったお湯は、それだけで肌が美しくなるような錯覚を覚えた。
「…すげえ、良い香りだな…お前…」
「入浴材の香りだよ」
 将臣は、望美の濡れた肩を甘く噛みながら、襞を指で開いていく。
 気持ちが良すぎて、望美は熱い吐息を吐いた。
「…んっ…! 将臣くん…っ!」
 お湯の中で剥き出しになった肉芽を、将臣はぐるりと円を描くように弄る。そこに触れられるだけで、望美の下腹部はじんじんと疼いた。
「んっ…ま、将…臣く…ん」
 望美が腰を揺らして喘ぐと、将臣は胎内に指をゆっくりと沈めてくる。指の圧迫に、更なる快楽が襲いかかってきた。
「ま、将臣く…んっ!」
「お前の胎内、とろとろだぜ…」
 意地悪に囁かれると、望美は恥ずかしさの余り、いたたまれなくなる。
「だって…、お湯だもん…っ!」
「お湯じゃねぇだろ…。とろとろしていて何かが熔けているみてぇだぜ? こんなお湯があるかよ?」
 余りに将臣が意地悪に言うものだから、望美は唇を尖らせて悪態を吐こうとした。
だが、それを言わせる前に、将臣の指は、望美の胎内をくすぐる。
「あっ…! やんっ…!」
 まるで胎内を探るように、出し入れを繰り返されて、たまらなくなる。望美の胎内を良く知っている指は、イタズラを繰り返した。
「あっ…、やっ、んん…!」
 将臣の指は、望美が一番感じてしまい一番奥をひっかくように触れてくる。気持ち良すぎて、涙が出そうになった。
 あんなに恥じらいを感じていたというのに、いつの間にか、望美は腰を揺らして、将臣の指を締め付けてしまう。
 指だけでも気持ちが良いけれども、今はもっと強い快楽が欲しいとすら思った。
「…ま、将臣くん…」
 指だけで達しそうになるぐらいに、躰をヒートアップする。視界が曇るぐらいに熱さを感じていた。
 望美は将臣にもたれかかる。そうしなければ躰も心も支えられないような気がしたから。
「あっ…、ああっ!」
 脚を大きく開かれて、将臣の指は激しさを増していく。もうたまらないところまで、望美は追い詰められていく。
 快楽からなのか、それとも逆上せから来るのかは解らないが、とにかく頭がくらくらして、ふわふわする場所にいるような錯覚を感じた。
「まっ、ああっ!」
 将臣の指が奥を突き上げてきた。
 たまらないぐらいの気持ち良さが、頭の芯までさざ波のように伝わる。
 もうダメだと思った瞬間、望美は快楽に飲み込まれた。
 今すぐに酔ってしまいそうで、望美は息を乱す。
「…逆上せそうか?」
「うん」
 力無く応えると、将臣は抱き上げて湯舟から出てくれた。
 水分を取るように、洗い立てのバスタオルで望美の躰を包み込んでくれる。
 そのままベッドに運んでくれると、優しく寝かせてくれた。
「…有り難う」
 将臣は頷くと、ミネラルウォーターを持ってきてくれた。
「少しぐらいは、水分を取ったほうがよいだろう」
「有り難う」
 将臣はペットボトルの水を口に含むと、そのまま望美の唇に重ねて来た。
「…んんっ!」
 熱くなった口腔内が水によってクールダウンしていく。
 望美は喉を動かし、それを飲み干した。
「口の中はひんやりしても、こっちは困るだろ?」
「あっ!?」
 将臣の指が肉芽を擽る。するとみるみるうちに欲望で熱くなる。
 将臣は望美の脚を強引に開くと、そこに自分の躰を入れ込んできた。
 もうすぐ、一番欲しいものが手に入る。
 望美は期待に無意識に腰が動いた。
「あっ、んんっ…!」
 将臣の最も男である部分が、胎内を押し広げるように入り込んでくる。
 夢見ていた圧迫に、望美は背筋を強くのけ反らせた。
 力強い将臣の雄が、望美の胎内に入り込む。ずんずんと湿った音を出しながら、将臣は腰を押し進めた。
「あっ…! ああっ!」
 完全に将臣を飲み込むと、どうしようもない幸福を感じた。離したくない余りに、将臣を自分の胎内で強く締め付けた。
「…望美…!」
 将臣は、まるでドラキュラみたいに、望美の肌を強く吸い上げ、沢山の噛み痕をつけていく。
 花のような紅い痕が刻まれ、望美もまた将臣の肩にキスを浴びせかけた。
 将臣がこの上ないほど優しく動き始める。そのじんわりとした動きに、望美は狂いそうになりながら、腰を動かした。
 胎内で暴れ狂うほどの熱を持った将臣が、総てを蕩かすほどに優しく動く。
 離したくなくて、望美は強く抱きつかずにはいられなかった。
「…好きだ。愛してる」
 あまり言わない愛の言葉を、将臣が囁いてくれる。嬉しくて思わず涙が出た。
 将臣が涙を舌でなぞってくれる。
「何を泣いている…?」
「だって嬉しいんだもん…ああっ!」
 将臣は望美を思い切り突き上げてくる。
 もう離せないぐらいに追いつめられ、望美は将臣を支配するように抱きつく。
 将臣の先端が何度も突き刺さり、全身が痺れて震えが止まらなくなった。
「あ、あああっ!」
 命の源である光を感じる。
 望美はそのまま高みに登り詰め、意識を手放した-----


 ゆらゆらとふたりいで抱き合っていると、何て幸せなのかと思う。
「温かくて、柔らかいなお前…」
「将臣くんのほうが温かいよ」
 ふたりで足を絡ませながら、本当の意味の幸せを感じた。
 温もりを感じながら思う-----きっとふたりなら、どんな誤解も乗り越えていけるから-----
 これからもきっとこうやって、仲直りをしていけるだろう。
 望美は幸せを歩輪補輪と感じながら、にっこりと微笑んだ-----
コメント

キリ番で書いた「筒姫」の続編です。
四季のお姫様の名前で、シリーズにしたいと想っています。



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