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叔父ちゃんと暮らし始めて一週間。 御飯作りにはまだまだ馴れてはいないけれど、ふたりで過ごすごはんとお茶の時間が楽しみな今日この頃。 アリオスが部屋に入ってくる音が聞こえ、アンジェリークは早速出迎えにいく。 「おかえりなさい、叔父ちゃん!」 「ああ。今日は疲れたぜ。激しいベッドシーンがあったんだからな」 アリオスはシャツのネクタイを緩めながら、本当に疲れたように溜め息を吐くが、話の内容が内容だけに、アンジェリークは真っ赤になってしまった。 「ベ、ベッドシーン・・・?」 「ああ。腰をつかわねえといけねえから、辛いのなんのって」 アンジェリークはこれ以上、恥ずかしくて言葉を繋げられない。 「アンジェ、今日のメシは?」 「あ、ハンバーグ、すぐ焼くね」 「ああ」 アンジェリークがハンバーグを焼いて準備をする間、アリオスは部屋に戻り、楽なスタイルに着替えた。 今日は焼くだけだから、大丈夫でしょう・・・。 緊張しながらも、アンジェリークはハンバーグを焼いて準備を始める。 「お、いい匂いだな」 駅で買ってきたおっさんの新聞”夕刊スポーツ”を片手に、アリオスはダイニングテーブルに座る。 「叔父ちゃん、おまたせ〜」 ほどよく焼けたハンバーグを、彼女はテーブルに運んだ。 「焼くだけだから、なんとか」 包丁を使わなくていいレタスとプチトマトの付け合わせと、カットワカメで作った味噌汁に、スーパーでカットされた漬物だ。 「いただきます」 ふたりで手を合わせて、挨拶をしてから食べ始めようとした。 が。 「おまえっ、生焼け!」 「あっ、ごめんなさいっ! すぐ焼くからっ!」 アンジェリークはキッチンに入ると、ばたばたと調理を始める。 「とろ火で、蓋してやれよっ!」 「うんっ!」 アンジェリークが焦りながらも一生懸命調理をする姿が何とも可愛く、アリオスはじっと見守っていた。 夕食と片付けが終わった後は、お茶の時間。 テレビを見ながらばたばたとすることが多い。 「湯のみ買ってきたぜ」 「ホント!!」 アリオスはキッチンに立つと、包み紙をはがして、湯のみを綺麗に洗ってくれる。 お茶を美味しそうに淹れてくれた後、アンジェリークの元に持ってきてくれた。 「アンジェ、お茶だ」 「有り難う〜!!」 アンジェリークは目の前に置かれたお茶に感激をする。 湯のみには”アンジェ”と書かれていた。 「特注、だったんだからな」 少し照れ臭そうにする叔父が、凄く可愛らしくて、アンジェリークはくすりと笑う。 「でも、本当に有り難う」 「ああ」 アンジェリークは嬉しくて堪らなくて、自分の名前のところを指でなぞった。 アリオスの湯のみを見ると、おそろいで”アリオス”と書かれてある。 「これからお茶が凄く美味しくなるね。嬉しい。大事にするね」 アンジェリークの嬉しい笑顔に、アリオスは更に照れくさそうにした。 こんなに美味しいお茶は初めてだわ・・・。 「五臓六腑に染み渡る美味さだわ」 「おまえおっさんみてえ」 「そ、そうかな」 アンジェリークはくすりと笑いながら、アリオスを見る。 こんなに温かくて、素敵なティータイムがいつまでも続けばと、思わずにはいられなかった。 翌日、アンジェリークはレイチェルと一緒に、料理クラブに向かった。 「今日はケーキについてお話します。作るのは今日は簡単なスポンジケーキです。生クリームを使ったケーキですが、白いから生クリームを使ったケーキは”天使のケーキ”、チョコレートを”悪魔のケーキ”と言います。だから、今日はこのケーキの基礎を作りましょう」 天使のケーキ・・・。 叔父ちゃんみたいだわ・・・。 アンジェリークはそう思った瞬間、はっとする。 な、何考えているの・・・!! バカバカバカ!!! アンジェリークは真っ赤になりながら、闇雲にホイップを泡立てる。 「アンジェ、あんな生クリームに恨みでもあんの?」 アンジェリークが力任せに泡立てたせいで、ふわふわになる。 そのおかげでロールケーキはとても美味しいものになった。 「アンジェのおかげよ!」 「えへへ」 アンジェリークは笑いながら、少し照れ臭そうにした。 叔父ちゃん、甘いもの好きかな・・・。 少し残して持って帰っちゃおうかな? アンジェリークは初めて作ったケーキを、心の中で”天使のケーキ”と命名した。 箱に綺麗に入れて、アンジェリークはご機嫌になる。 「アンジェ、一緒に途中まで帰ろうよ」 「うん!」 レイチェルに誘われて、アンジェリークも一緒に途中まで帰ることにした。 「これ、エルンストにあげるんだ」 「きっとよろこんでくれるわ」 「うん」 ふたりは大切な人達のために、一生懸命作ったケーキを丁寧に持っていく。 「あれ、あんなところでロケやってる」 「ロケ?」 ロケと言われて、アンジェリークは一瞬ドキリとした。 ひょっとしてアリオスがいるかもしれない。 そう思いながら、アンジェリークはつい気になってちらちらとそちらを見る。 「何だ、アンジェも気になるんだ?」 「そんなことないよ」 アンジェリークは気も漫ろにロケ現場を見ていた。 「もう・・・」 苦笑しながら、レイチェルはアンジェリークの様子を見ている。 「誰か気になる俳優さんが出ているの!」 「うん・・・、ちょっとね」 叔父ちゃん!! 「あっ! アリオス! だったら、これロクなシーンのロケじゃないわよねえ」 アンジェリークはドキドキしながら、アリオスの姿を見た。 アリオスはスタッフの誰かと打ち合わせをしている。 叔父ちゃん、やっぱりちょっとだけ素敵かな? 「アンジェ、行くよ!」 「待って!!」 先に歩き始めたレイチェルを追いかけるように、後ろ髪を引かれながら、アンジェリークはその場を離れようとした、その時だった。 「アンジェ!!!」 アンジェリークが信号を渡ろうとした時、車が突っ込んで来ようとする。 迫る恐怖にアンジェリークは立ちすくむ。 目を瞑った瞬間に、躰がふわりと舞った。 力強い腕に抱き上げられ、アンジェリークはしっかりと目を開けた。 白く眩しい影。 白い羽根がふわりと目の前で揺れたような気がした。 アリオスだ。 胸の奥が切なくときめき、アンジェリークは甘く苦しくなった。 「叔父ちゃん・・・」 「大丈夫か!?」 周りが凄くざわついているのが耳に入る。 「叔父ちゃん? アリオスの姪ごさんか」 「子供じゃなかったんだ…」 アンジェリークはアリオスの腕がとても逞しくて、心地よかった。 助けてくれた叔父ちゃんは、まるで天使様のようだった…。 目を閉じて、アンジェリークは安心してその胸に甘える。 叔父ちゃんはやっぱり天使様のケーキ。 私にとっては白い王子様… |
コメント 昔懐かしい少女マンガを踏襲した物語です。 悪役スターアリオスとその姪アンジェリークのお話です。 アンジェちゃんとアリオス叔父ちゃん。 まだまだお互いを知る段階です。 恋はここから始まります------ |