Seven Days


「今日は俺の仕事場に着いてこい。服は用意させた」
「はいっ!」
 メイドを始めて二日目、今日はレウ゛ィアスの仕事場に向かう。
 用意されたノーマルなワンピースを着て、車で会社行く。
 連れていってもらうと言ったほうが正しいかもしれなかった。
 来たときと同じように、車内私語厳禁。
 禁止されると話したくなるのが普通だ。
 口許がむずむずとするのを我慢しながら、会社までやってきた。
「大きなビル!!」
 流石アルウ゛ィース。
 一流企業体なだけあり、その本社ビルはとてつもなく大きい。
 ぽかんと口を開いて、思わず見上げてしまうほどだ。
「ほら、行くぞ」
「はいっ!」
 連れていかれたのは、ビルの最上階のとても広々とした部屋。
 総帥室だ。
 そこに入ると、何人もの秘書がやってきて、次々にレウ゛ィアスに報告していく。
 その間、アンジェリークはどうしていいかが判らず、おろおろとするばかりだ。
 不安げにアンジェリークはレヴィアスを見た。
「アンジェリーク、奥にミニキッチンがあるから、昨日と同じ要領で、コーヒーを淹れてくれ。おまえもカフェオレを作っても構わんから」
「はい」
 てきぱきと仕事をするレウ゛ィアスをちらりと見た後、ミニキッチンに入った。
 昨日教えてもらったように、アンジェリークは慎重にコーヒーを淹れていく。
 同時に牛乳も沸かしてご満悦だ。
 屋敷と同じタイプのコーヒーメーカーだったので、とてもスムーズに作ることが出来た。
 コーヒーを持っていくと、すでにスタッフたちは部屋から出ていった後だ。
「コーヒーです」
「ああ。置いておいてくれ。おまえも机に座って、ゆっくりしてくれ」
 コーヒーを淹れるだけの世話ではどこか心許無い。
「あの・・・、何かお手伝い出来ることはありませんか?」
「・・・そうだな。パソコンは出来るか?」
「はい。あまり難しいものでなければ」
「そうか。だったら、これをそこにあるノートパソコンで入力してくれ。出来た文書はCDに焼きこんでくれ」
「判りました」
 これぐらいなら、ひとりで何とか出来る。
 アンジェリークはしっかりと頷くと、作業を始めた。
 レウ゛ィアスの役に立てるのが、凄く嬉しかった。
 入力する文書は他愛のないものだったが、それでも良い。
 パソコンは触るのが大好きなので、入力するのも楽しかった。

 午前中は、レウ゛ィアスの仕事とコーヒーを淹れることで終わってしまった。
 昼食は大食堂でレウ゛ィアスと食べる。
「会食以外はここで食事をしている」
「美味しいですもの、この食堂。その上、とても安いですし」
「そうだな」
「学食もこんなんだったら良いのに」
 しみじみとアンジェリークが言うと、レウ゛ィアスは苦笑していた。
 午後からはレウ゛ィアスはかなり忙しそうだ。
 次々に電話や書類をこなしていく。

 凄いな。私なんか、今日は社会見学みたいだもんね・・・。

 時折頼まれて飲み物を出すときが、楽しかった。
 パソコンの入力作業も終わってしまい、アンジェリークは手持ちぶたさで、レウ゛ィアスの横顔を主に見つめていた。
 真剣に仕事をしている姿を見つめるのが凄く楽しい。
 本当に仕事をする真摯な姿は素敵すぎて、見惚れてしまう。
 やはり働く男の姿はとても素敵だ。

 やっぱりご主人様は素敵・・・。皇子様みたいだな・・・。

 皇子様は剣を使ってばったばったと敵を斬るけれど、レウ゛ィアスさんは頭脳を使ってスマートに敵を倒すの。
 素敵だな・・・。

 お三時に出た栗饅頭までたらふく食べ、午後はほとんど仕事しなかった。
 これでもレウ゛ィアスに怒られなかったのが不思議なくらいだ。
 午後からやったことと言えば、レウ゛ィアスを見て栗饅頭を食べただけ。
 その間にレウ゛ィアスは山のようにあった書類を片付けてしまった。
「帰るぞ」
「えっ!」
 時計を見ると五時を過ぎており、アンジェリークは慌てて帰る準備をした。

 帰りの車の中で私語厳禁を知りながらも、これでは悪いと思ったアンジェリークはうなだれながら口を開いた。
「あの、今日は余りお役に立てなくてもうしわけなかったです」
「いや、今日はあれで構わなかった。十分だ。コーヒーも美味かったしな」
 レウ゛ィアスの言葉には、正直驚いた。
 仕事をしている間はとても厳しそうだったのに、自分には甘い。
「いいのでしょうか。ホントに・・・」
「俺がいいと言えばいい」
「はい」
 きっぱりと力強く言い切られて、アンジェリークはそれ以上言葉を繋げることが出来なかった。

 翌日、アンジェリークは屋敷でお留守番となった。

 昨日のことが原因かな・・・。

 そんなことを考えながら仕事をすることにした。今日はベッドメイキングをメイド長から習う。
「ではご主人様のベッドを綺麗にいたします。シーツやカバーを取り替えてベッドメイクをします。見本をお見せしますから、後についてゆっくりやりましょう」
「はい」
 まずはメイド長から。
 やはり熟練した動きに、感心せずにはいられない。
 ほんの少しの時間で、ベッドメイクを完成させてしまった。
「次はアンジェリークさんです」
「はい」
 自分のベッドはきちんとしているので、ベッドメイクには慣れている。
 が、やはりレウ゛ィアスのベッドは広くて大きいので、なかなか時間がかかってしまう。
 メイド長には適うはずはないが、なるべく丁寧にするように心掛けてみた。
「出来ました」
「はい。とても綺麗に出来ていますよ。アンジェリークさん。しかし、少し端などが依れていますので、お気をつけますように」
「はい」
 自分では丁寧にやったつもりだったので、やはりうなだれてしまう。
「ではもう一度!」
 ニコリと笑われて、最初から始める。
 結局、何度も駄目出しをされてしまい昼までかかってしまった。

 昼食の後は、なぜか厨房の手伝い。
「私が料理長です。よろしくお願いします」
 アンジェリークもまた頭を下げて挨拶をし、料理作りが始まる。
「今日はご主人様のお好きな、ラム肉のシチューです。柔らかく煮たお肉は非常にジューシーで美味しいんですよ」
「はいっ! 頑張ります!」
 アルウ゛ィース家にいるシェフは世間でも超一流で、アンジェリークは真剣にレクチャーを受ける。
 料理を作るのに七転八倒したが、夕方近くになってようやく料理が完成した。
「きっとご主人様もおよろこびになられますよ」
「そうだと嬉しいです」
 レウ゛ィアスが家に帰ってくると、アンジェリークは出迎えをした後まっすぐ部屋に入る。
 そこでレウ゛ィアスの着替えを手伝う。
 まだまだぎこちないが、起こらずに接してくれるレウ゛ィアスに感謝していた。
 着替えの後は夕食。
 ここは同席するのだ。
 運ばれてきたラムシチューにアンジェリークはドキドキとする。
 ちゃんとレウ゛ィアスは”美味しい”と言ってくれるだろうか。
 そんなことが頭によぎる。
 ラムシチューを今口に運ぶレウ゛ィアスの姿に胸を高まらせる。
「美味いぞ、アンジェリーク」
 そのたった一言で、天にも昇る気持ちになった。
 その証拠に目の前に花畑が見える。
「ホントですか!?」
「ああ」
 淡々としているが、瞳には笑みが滲んでいる。
「おまえも食べてみろ」
「はいっ!」
 すすめられるまま食べると、本当に美味しい。
「おいし〜! きっと料理長のお陰だわ!」
「おまえが頑張ったからだ」
 レヴィアスに素直に褒められると嬉しい。
 少し照れくさい微笑みを浮かべながら、シチューを食べる。
 ダイニングルームが花園のように思えた------


 翌日、レヴィアスを送りtpどけたあと、彼の部屋をベッドメイクをして一端自室に戻ると、ベッドの上に箱が積み上げられていた。
「これは…?」

 シチューのお礼に。
 今夜食事に行こう。
 レヴィアス。

 そこには、アンジェリークの白い肌によく似合うイエローの品の良いドレスと、それに合わせたバッグ、ヒールが置かれていた。

 レヴィアス様…!!

 アンジェリークの期待は嫌が追うなく高まってきた-------

コメント

きっと3回で終わる〜(笑)




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