今日起こった銀行強盗事件をテレビで見ながら、このニュースに間接的でも関わることが出来たと思うと、喜びがふつふつと沸き上がってくる。 報道現場にいて、実際にその一部始終を目撃することが出来たのだ。 ニュースの向こう側が判り勉強になった。 そして何よりも、切れ者のニュースディレクターであるアリオスに、偶然でも関わることが出来て嬉しかった。 アリオスさん・・・。凄くかっこよかったな・・・。 思い出しただけで、アンジェリークはぬいぐるみをぎゅっと抱き締めたいぐらいに興奮する。 頬は紅潮し、余りにもの興奮にぬいぐるみの兎の耳を噛んだ。 じたばたと手足を暴れさせずにはいられなかった。 興奮ついでに変な踊りを踊ってしまう。 「うお〜んっ!」 「アンジェ、静かになさい!」 母親に怒られてしまい、少ししゅんとした。 明日からアリオスさんの下で働けるんだ・・・。 凄く嬉しい・・・。 「わんっ!」 嬉しすぎて、犬の遠吠えをしてしまうアンジェリークであった。 翌日、指示を受けた通りに、ジーンズとシャツというとてもラフなスタイルで、ご出勤となった。 テレビ局のニュースセンターでのアルバイトとなる。 まず、朝一番に事務所に向かい、仕事内容のガイダンスを聞く。 担当は総務の女性だった。 「コレットさんね。あなたのお仕事はアリオスディレクター付のアシスタントよ。アシスタントと言っても、彼宛のファックスを取ってきたり、身の回りのお世話をしたり、パソコン入力をしたり・・・。まあ、雑用係かな。後は上司であるアリオスに訊いて頂戴。案内するから」 「はいっ!」 アンジェリークは明るく返事をすると、アリオスに逢える実感がふつふつと沸いてきた。 タイムカードの管理や昼食時の休憩室などの案内が終わった後、いよいよアリオスのところに向かう。 「アリオス、新しいバイトさんが来たわ」 「サンキュ」 小さな個室に案内されて、アンジェリークの心が晴れ上がった。 そこには大好きなアリオスがいる。 「じゃあ、後は指示に従ってね」 それだけを言って女性が立ち去ると、アリオスが表情を変えずに見つめてきた。 「早速だが、俺宛のファックス、郵便物、新聞を持って来い」 「はいっ!」 ぱたぱたと走り、アンジェリークはニュースセンターでまずはファックスを受け取る。 その後に、辺りのスタッフに訊いて、新聞と手紙を受けとり、アリオスの下に走った。 「お待たせしました」 「遅い」 きっぱりと言われてしまい、言葉も繋げず俯く。 「コーヒーを淹れてくれ」 「はいっ!」 昨日使ったパントリーに行き、アンジェリークはコーヒーを準備する。 慌ててアリオスに出すと、すぐ次の仕事を言われた。 「これをそこのパソコンに入力して、プリントアウトしてくれ」 「はい!」 目まぐるしくアリオスが用事を言うものだから、息を吐いている暇がない。 ばたばたとしている間に午前中が終わり、おなかが空いているのを感じた。 だがお昼にアリオスが立とうとしないので、なかなか言い出せない。 おなか空いたな・・・。 でもアリオスさんがこんなに頑張っているんだもん、おなか空いたなんて言えない・・・。 アリオスに言われた通りに仕事をこなして、プリントアウトしたものを持っていく。 「持ってきました」 「サンキュ」 アリオスは、アンジェリークが入力したものをさっと目を通して、頷く。 「このファックスの赤くまるをつけたキーワードを入力してくれ。一語ごと改行してくれ」 「はい」 勢い良く返事をした途端に、おなかが大きく鳴った。 「クッ、腹が減ったのかよ」 「あの・・・」 くつくつと喉を鳴らしてアリオスに笑われ、アンジェリークは耳まで真っ赤にする。 不意に時計を見ると、もう1時をとうに回っている。 「そうだな、昼飯食うには良い時間だもんな。よし、社食に行こうぜ」 「あ、有り難うございます」 アンジェリークは本当に恥ずかしそうにしながら、僅かに俯いた。 アリオスが連れていってくれたのは、社員食堂。 「結構メニューは豊富だが、腹ヘラシーにはAランチとかお得なレディースランチなんかがいいんじゃねえの?」 アンジェリークはメニューを見るなり、少し拗ねて無言でレディースランチを選んだ。 Aランチは別名”おっさんランチ”と言ってもいいような内容だ。 アリオスが選んだのはBランチ。 ふたりで仲良くランチを取り、アリオスが払ってくれた。 「有り難うございます」 「腹いっぱい食って、午後もしっかりと働いてもらうからな」 「は〜い」 ぱくぱくとレディースランチを食べると、案外美味しくて食が進んだ。 「アリオスさんは、どうしてこの業界に入られたんですか?」 「真実を報道したかったから」 シンプルな理由だった。 だがすごく共感出来る。 「私もそれは凄く思います」 力強く頷いて、アンジェリークは同意を示した。 「サンキュ。だが、真実を追うと言うのは大変だぜ。真実に食いつかねえとな。俺は一度これだと思ったら逃さない」 一瞬、アリオスの異色の瞳が不敵に輝く。 それは獲物を追うハンターの狡猾的なものがある。 「アリオスさんに捕まったら、それで最後」 「そうだぜ。一度狙った獲物は絶対に逃さねえ」 不意にアリオスに顔を近付けられて、アンジェリークはドキリとする。 「・・・なんてな」 アリオスが顔を放した後も、しばらくは心臓が飛び出してしまうのではないかと思うほど、ドキドキとしていた------ |
| コメント 新しい、アリコレのカップルものを立ち上げたくて書きました。 ジャーナリストと女子高生。 今回は出逢い〜恋に落ちて編です。 頑張ります〜。 |